Ep-13 レッサーワイヴァーンとの戦い
小説って書くとすぐ飽きませんか?
飽きないようになろうに上げてテンポはやめで書いてる今回は飽きてませんが...
(21/7/10)指摘された部分を修正しました
(11/11)軽微な修正
「GYAOOOOOOOOOO!」
「仲間を殺されて怒り狂う...ゲームの時にはなかったな、やっぱり。」
ちょっと罪悪感が沸く。
だが、ここで手を抜けば死ぬのは俺と、背後の飛行船に乗る人達だ。
いくらイベントとはいえ何故魔導飛行船に飛竜の群れが群がるのかは不明だが、
俺を殺したくらいで下等翼竜が満足して帰るとは思えない。確実に背後の飛行船も攻撃するだろう。
「恨みはないが、諦めてくれ!メイクウェポン、竜滅槍!スキルセットチェンジ、セットスピア!」
設定では古代のドラゴンを滅ぼしたとされるエピッククラス最強格の槍を呼び出す。
その槍を見たとたん、レッサーワイヴァーンが少し怯えたように後退する。
この槍は先端が赤黒く染まっており、それは古代の竜の血と呪い、そして怨嗟の念が染み込んだ結果という設定だったはずだ。レッサーワイヴァーンはきっと、この槍に込められた凄まじい怨嗟に怯んだのだろう。
「行くぞ!空転・略撃!」
空転系スキル、略撃で指定したレッサーワイヴァーンの目の前に転移する。
急に移動した俺に怯むことなく、レッサーワイヴァーンは俺に爪を振るう。
一般人であれば当たれば即死するであろう爪の攻撃を、俺はたやすくいなす。
「ガトリングスピア!」
ドドドドドドドドドと音を立てて俺の槍から光の矛先が飛び出す。
しかし、それらが突き刺さってもレッサーワイヴァーンに傷一つ付けられない。
「チッ、何て硬さだ!ゲームの時は1でもダメージは入るはずなんだが...」
現実化の影響で”1ダメージだけ”と言った都合のいい現象は起こらなくなっているようだ。
だが、問題はない。それならそれで、やりようがあるからだ。
「空転・跳躍!空転・空突!空転・重落!」
空転術の移動スキルを駆使してレッサーワイヴァーンの背後に回り込む。
反動で身体が悲鳴を上げるが、今は余裕がないので構っていられない。
向こうも反転しようとするが、あの巨体では一度前進しながら旋回しないとこちらを向くことができないようだ。反転しようと旋回するその隙に、槍の上位スキルを叩きこむ!
「雷帝の震槍!」
槍を掲げながらそう叫ぶと、どこからか稲妻が走り、槍に当たる。
すると槍全体に稲妻のエフェクトが走った。この状態の槍には雷属性が付与され、攻撃力が増加する。
「槍投げ!」
槍投げによって投げられた槍は向きを変えようと旋回しているレッサーワイヴァーンの急所...翼の付け根に突き刺さり、貫通した。そのうえ込められた電撃が爆発し、レッサーワイヴァーンは背に雷を受けたような風になった。傷口を突いて電撃が内臓を焼いているのを俺は想像した。
「GU...GURYUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
「おっと、まあ内臓焼かれたくらいで落ちたりはしないか」
レッサーワイヴァーンは少し硬直した後、旋回を再開し、砲弾のような速度でこちらに向かって飛んできた。
「エアースライド!」
エアーダッシュの同系統スキルのエアースライドで横に避ける。
空転系やエアー系のスキルはレベルアップではなく熟練度によって種類が増えていくのだ。
よって、空転系やエアー系のスキルだけは極めれば序盤から使える。
「これでも喰らえ!渦潮槍!」
突き出した槍の先から渦を巻いた水が飛び出し、叩きつけるような勢いでレッサーワイヴァーンに激突する。鱗を貫き、肩の付け根から背中の辺りまで水の渦が貫通する。
「GYAAAA!」
「可哀そうだが...弱い者いじめみたいで嫌だけど...いや、弱い者は俺なのか?まあいいや、雷帝の怒号!」
先ほどの雷帝系スキルで強力な電撃を水で濡れたレッサーワイヴァーンにぶちかます。
そしてレッサーワイヴァーンは全身を雷で焼かれ続ける。空中だから雷の逃げ場もないしな。雷が付与されてるなら、あとは火をぶち込んでやれば属性反応を起こして大爆発するはずだ。
「これでとどめだ...炎神の――—」
「GURAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
「うわっ!?」
俺が詠唱をしようとした瞬間、レッサーワイヴァーンから暴風が放たれた。俺は軽々と吹き飛ばされ、雲をいくつも突き抜けた。途中で、暴風に捕まった飛行船がバランスを崩しているのを見た。魔導飛行船がバランスを崩しているということは、魔力場が乱れてるのか!?
「っ!ヤバイ!魔導飛行船は魔力場が安定しないと飛べない!」
魔力場とは世界を流れる脈のようなもので、簡単に不安定になる。だが、空ではそれがないので安全装置も当然無いはず。このままでは自由落下と同じスピードで飛行船は墜落する。
先に魔導飛行船に向かわないと!
俺は魔導飛行船に向かって空転・雷動で飛ぶ。
◆◇◆
俺が雲をいくつも突き抜けて船に接近したとき、既に船は左向きに傾いたまま自由落下していた。魔導機関を全力にしているようだで、推進器のあたりが赤く焼け付いているが、魔導浮力場システムを正常化させないと落下を止めることは出来ない。
「どこだ...どこから入れる...?」
魔導浮力場システムは船の先端の内部にある。が、ゲーム時代、そこへはワープポイントでしかつながっておらず、実際の行き方が分からない。
「ええい、ぶち破ってしまえ!」
艦内の複雑さに頭を抱えた俺は考える事を止めた。
槍スキルで壁をぶち破って魔導浮力場システムまで突撃する!
「うおおおおおお!飛槍大回転!」
俺は槍を構えたまま突進する。
そして魔導飛行船の横に突っ込む。
何枚か壁をぶち破って、少し広い空間に出る。そのままスキルを解除してごろごろと転がる。
「うわ...遠い!」
壁を突き破って出てきたが、装置は部屋の中心にある。
エアーダッシュでは届かないし、空転系は”空間移動”か”転移”系の移動手段しかないので、高速で落下している船内で使えば空中に放り出される。
乗客の悲鳴がやけに大きく響く。
どうすれば...?
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