CEP 宗次郎編・弐 果て無き旅路とシンセンの街
遅れました、すいません....
街の名前は特に意味があったりはしませんが、一部の街は後々本編に出てくるかも。
(3/31)設定変更につき武器の名前を変更。
宗次郎とラーンハルトは、宿場を抜け、大きな街道を踏破した。
その先には、巨大な湖と、その畔にある城壁に囲まれた街が広がっている。
その風景を、少し高い丘から眺める宗次郎とラーンハルト。
「シンセンの街か......久方ぶりだな」
「うん?...宗次郎、この街は初めてじゃないのかい?」
「いや、お主が既に旅したところを旅するのも風情が無いと思い、前は通らなかった旅路を通っている」
「おや?ということは僕と会うまでにここを通るたびをしていたということかい?」
「ああ。......とあるやんごとなき身分の女を護送する依頼を受け...てな」
「そうなんだ、じゃあ着くまでその話をしてよ」
「ああ、いいぞ....」
そうして二人は歩き出す。
道中魔物が襲ってくるが、基本宗次郎が一刀のもとに倒してしまう。
「悪いね、宗次郎にばっかり戦わせて」
「老骨が何を言う。拙者はそれほど落ちぶれてはおらぬ」
「はいはい、じゃあ僕は素材をはぎ取らせてもらうよ」
ラーンハルトは比較的短時間で、サッと素材をはぎ取る。
それを見た宗次郎が、疑問の声を上げる。
「剥ぎ取りが速すぎはしないか?......いくら慣れとはいっても無理があるが....」
「ふふふ、僕が国庫から持ち出してきた国宝の一つ、剥ぎ取りナイフさ。剥ぎ取りをしやすくなるナイフだよ」
「堂々と持ち出してきたなどと....」
「まあまあ、僕、頑張って国を導いたし?これくらいの役得は許されると思うんだよね」
堂々と国庫から盗んできたと言いながら、ナイフを巧みに動かすラーンハルトを見て、
宗次郎は目を細めながら溜息をついた。
「......他に国庫から持ち出してきたものは?」
「うーん、普段は同じく国庫にあった、「無限収納」のスクロールで覚えた「無限収納」にしまってるけど、全部で2、30はあるかな。この剣とかもそうだよ」
「.....今頃王国は大混乱ではないか?」
「もう関係ないよ。全部ロイアハイトが何とかしてくれるさぁ」
「.........................」
あまりに無責任なラーンハルトに呆れ果てた宗次郎であったが、自分の刀を見て考えを改めた。
「....そういえばこれも俺の物ではなかったな」
宗次郎の持つ刀、神龍牙・抑邪。
これもまた、ラーンハルトの剣と同じく宗次郎の物ではなかった。
「またいつか、あの刀を振るいたいものだ」
「あの刀?」
「.....俺が元々使っていた刀だ。今は何処にあるのやら......」
宗次郎は、故郷から逃げる際置いて行く他なかった刀を思い出し、懐かしさを覚えた。
「何だ、宗次郎も人のこと言えないんじゃないか」
「.....黙れ。小汚い盗人のような貴様の剣などとは出自が違う。.......仕方なかったのだ」
「酷いなあ、この先僕の王家の道具で助かるかもしんないのにさ」
「助かった時に改めて謝罪しよう」
二人は丘を下り、平原を突っ切りつつ魔物を狩りながら城壁へと近づいていく。
「その刀はどういう経緯で手に入れたんだい?」
「........執拗な...まあいい。これは拙者が本殿より引き抜いた刀。拙者以外には扱えぬが、拙者の物ではない」
「ふーん......そう言う意味では僕より良いんだね」
「どういうことだ?」
「僕の剣は正確には持ち出しじゃないんだよね。......王になった時に引き抜いたんだ。どうやら王族にしか扱えない剣らしいんだけど、当然僕は認められてないらしくてね...本来の力は天を裂き地を割る威力らしいんだけど....」
「そうか...」
あるいは...ラーンハルトが持つその剣にラーンハルト自身が認められた時が国に変えるべき時なのかもしれぬな....そう思った宗次郎は、
黙って前を向いた。
「さて、なまくらの話をしていても仕方がない」
「なまくらって酷いね!?これでも普通の剣よりは切れるんだよ!?」
「拙者の刀と比べれば大抵の剣はなまくらだ」
「くっそぉ....」
ラーンハルトが悔しがる。
それに反応したように、一瞬剣が淡い光を放った。
だが、宗次郎もラーンハルトもそれに気づくことはなかった...
◇◆◇
二人は、関所で金を払い街へと入った。
湖より風が吹き抜ける街で、沢山の人間が街を歩んでいる。
「へえ、城壁の外の寂しさとは打って変わって、だね」
「ああ、ここは大湖に隣しているが故に水運が盛んだ。湖は国内の幾つかの主要な河川と繋がっていると聞く」
「よく知ってるねえ」
「ああ。拙者も元々は......おっと、わざわざ話すべきことでもない」
「教えてくれないのかい?」
「その時が来れば.......」
二人は、仕事を探すべく街の中心へと歩き出した。
ボロボロの衣服、どう見ても浪人にしか見えない男と、異国の男。
目を引く二人が進む先では、常に人波が分かれていた。
「こんな状態で仕事を探すのかい?」
「....いや確か、受人宿という職を斡旋してくれる場所があったはずだ」
「へえ....どんな仕事があるんだろうね」
「基本的には雑用依頼だが、拙者たちには文字通り向いていないだろう。ここは次の街までの護衛依頼を探し、今日はゆるりと休むに限る」
「....全くそうだね。じゃあそうしよう」
その後、二人は次の街......イザナギへの護衛依頼を発見し、そこまでの護衛依頼を受けることになるのだが、そこで更なる事件へと巻き込まれる。
だがそれは、また別の話である。
毎回引っ張るようで心苦しいのですが、第一章終了間際まで宗次郎の過去は明かしません。
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