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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
序章

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Ep-12 《ウェポンマスター》の戦い

初めての高速戦闘回です。おかしいところは見逃してください

(11/11)タイトルと内容直しました。

初期は”ウエポンマスター”だったんですね。

「――そろそろか」


俺は顔を上げた。パシャンと水しぶきが上がる。

場所は風呂。俺は飯の後風呂に入っていて、今は風呂の最中である。

だが、そろそろというのは風呂を出る時間ではない。


「魔導飛行船襲撃イベント...」


俺は体を拭きつつ、そう呟く。

魔導飛行船が飛竜の群れに襲われるイベントで、不定期開催だが、予兆はしっかりと見えていた。飛行船発進場に貼られていた飛竜出没の張り紙、妙に少ない個室の客、そして...


「あ、姉御!どこへ行かれるので?」


アスキーの存在だ。

アスキーは定期的に乗船するNPCだが、彼がいるときにイベントが発生する確率が50%上昇するのだ。食堂でのイベントも、本来はすぐに鎮圧されるはずだったものが、俺が勝手に入って止めてしまっただけで、本来のイベント通りだ。


「お前には関係ない。部屋でゆっくりしてろ」

「わかりました姉御!」


俺はアスキーを追い返し、甲板へと向かう。

そして、甲板の先、船の穂先を見やる。

昼の12時か夜の8時にこのイベントは発生し、低確率でボスも出現する...のだが。


「おいおい...俺ってば運悪すぎ」


俺の目の前には、数十はいるであろう飛竜と、その奥を飛行する巨大な影を捉えていた。


◇◆◇


「やれやれ、ゲームの時とは威圧感がダンチだな…!」


当たり前だが、これが結構重要でもある。

NPCこそ戦闘パターンが単調で油断していたかもしれないが、現実化した影響で魔物はランダムな行動を取ってくることがなんとなくわかっていた。

デスナイトを呼び出した時に戦ったマグマスライムやマグマゼリーなどはゲームでは体当たりしかしてこなかった。

だが、この世界ではマグマを吐いて攻撃してきたり、接近戦に持ち込み飲み込もうとする動作を見せた。ならば、飛竜たちも単調な攻撃はしてこないはずだ。


「まあ、御託は良い。行くぞ!」


そう言って、俺は甲板から空中に躍り出た。

当然、落下する。だが、なんの対策もなく俺が空中に出るわけがない。


「空転・跳躍!」


そう叫ぶと俺の体は一気に上方向へ加速する。

まずは露払いだ。


「メイクウェポン!クラスターボウ!スキルセットチェンジ!ボウセット!」


俺も1ヶ月でレベルを相応に上げた。

今のレベルは26。こいつらを片付けるには力不足かもしれんが、やってやる。


「クラスターショット!」


バァン!と放たれた矢が弾け、数千もの矢が飛び出す。

そしてその内の何本かが、飛竜に突き刺さる。かなり痛そうな音も遅れて響く。

だが、それくらいで飛竜は動じなかった。

やはりレベル26で広範囲スキルだが低威力のクラスターショットではダメか。


「こういう手はあんまり好きじゃないんだが仕方ないな!ブースト・メイクウェポン!クラスターキャノン!」


俺の手に手持ち大砲が出現する。少し特殊な武器だが、ウェポンマスターの能力を使えば充分に扱える。


「スキルセットチェンジ!セットキャプテン!」


俺はさっきのクラスターショットによってこちらを敵として認識し、向かってくる飛竜どもに照準を合わせる。

すまない、許してくれ....と思いつつ俺は引き金を引いた。


「クラスターマグナム!」


ヒュ~と間抜けな音を立てて竜たちの目の前まで飛んでいった砲弾は、そこで弾けて凄まじい音と共に熱風と鉄片、魔法の小爆弾を撒き散らした。いかに飛竜と言えども、圧倒的な爆発力から生まれる爆風と、高速で飛来し硬い鱗を貫く鉄片と、その小ささからは想像もできない爆発力を持つ小爆弾の爆発に耐えきれず、爆散するか浮力を失い落下していく。


「いやー…やっぱりオークストーリー最凶と言われることはあるな」


キャノンシューター専用武器であるクラスターキャノン。それから放たれるまんまクラスター爆弾であるそれは、あまりのエグさに対人では誰も使わなくなったと言う背景がある程の色んな意味での高威力攻撃なのだ。

え?なんで最初から使わないのかって?

そりゃお前…確実に勝ちたいわけでも無いのにこんな高威力グロ量産兵器使わんよ。


ギャオオオオ!


「アレは…【風竜の息吹】か!メイクウェポン、アースシールド!」


風竜の息吹は風属性の高威力攻撃だ。発動までに時間があるため、普通は避けられる。だが、背後にある魔導飛行船にあたれば何かしらの損害が発生するだろう。

俺は高威力の風竜の息吹を防ぐため、反対属性のアースシールドを展開する。

飛竜を倒したことで、レベルが少しは上がったが、通常の盾では風竜の息吹は防げない。


「スキルセットチェンジ、セットシールド!グランドウォール!」


グランドウォールは広範囲に大地属性を持つ壁を発生させる盾スキルだ。

大地属性は自然属性の上位属性なので、レベルが低くとも十分に下位属性の風攻撃を防げるはずだ。


「っく!やっぱり足場が欲しい…なっ!空転・滑走!」


ドゴン!と大きな音を立てて衝突した風竜の息吹は、その後も減衰しつつもガリガリと土壁を削り始めている。こちらも反作用に対する作用をしなければ、どんどんと押されてしまうだろう。そこで登場するのが空転術の滑走、空中を滑るように移動するスキルである。このスキルは何故か滑走中に地面判定が発生するので、空中発生するので、空中で武器を変えたい時などに便利だ。

今回は地面判定を利用して盾を押し込ませてもらった。

風竜の息吹が収まってきたので、俺はアースシールドを仕舞って新たな武器を呼び出す。


「メイクウェポン!ノービスソード!」


俺の手に粗い鉄で作られた剣が出現する。

この剣の攻撃力は+3で、とてもじゃないが竜の鱗には届かない。

だが、これでなければいけないのだ。


「スキルセットチェンジ!セットファイター!」


近接職であるファイターのエクストラスキルに、凄まじい威力を誇るスキルがある。

だが、誰もそのスキルを好んで使うことはない。何故なら...


「クリムゾン・スラスト!」


俺がそう叫ぶと、シュバオオオオン!と音を立てて凄まじい熱気と共に紅い剣先が飛んでいく。

そして、進路上にいた飛竜たちは...跡形もなく消滅した。

一部分だけが消滅した飛竜は、消滅した個所から燃え上がり、そのまま火だるまになるか、先ほどの飛竜と同じく浮力を失い、落下していく。

それを確認すると同時に、持っていた剣からバキリ、と音がした。

剣を見ると、全体にヒビが入っていた。少し動かすとバラバラと砕け散った。

...そう、クリムゾン・スラストの副効果は手に持った武器が破壊されるということである。

だが、武器が壊れてもクールタイムが発生するだけで済むウェポンマスターは、このスキルを自由に扱える。まあでも、クールタイムは武器のレア度に応じて増加するので、弱い武器しか使えないのが少しつらいところだが。


「よっし、これで後は...」


奥に見える、仲間を殺されて怒り狂うレッサーワイヴァーンだけだ。


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