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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都大会編

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side-S7 アスキー・ロイヤルブレーンの探求

何気にアスキーの家名ってこれが初出っぽいですね。

元々モブにする予定だったのであんまり設定が深くなかったです。

今ではバカ貴族から忠臣に、

豚体型から筋肉塊に....

俺はアスキー・ロイヤルブレーン。

ロイヤルブレーン侯爵家に貴族として生まれ、ちやほやされて伸びた鼻をへし折ってくれた、敬愛するユカリ様に仕えている。

さて、今日は何をしようか.....

俺は敬愛するユカリ様の為に、今までやっていた無駄な小細工を全てやめ、日々鍛錬と家を大きくし、財を溜め込む事を続けている。

だが、それらももう、限界にきている。

飛ぶ鳥を落とす勢いであったエストニア家が内部の問題で少し勢いを落とし、そこをロイヤルブレーン家が追い抜くようであったので、家力はもう上がらない。.......上が無いからな。

エストニア家にはユカリ様のご親友が家長として君臨しているらしい。

...何処も苦労は同じなのだろうか?

俺が物憂げな表情を崩さず書斎から出ると、部屋のすぐ外に立っていたメイドが叫ぶ。


「あ、アスキー様!?大丈夫ですか...?」

「大丈夫ですぞ...ただ、どうすればあの御方に尽くせるか考えていた所ですから...」

「そ、そうですか....メイドが出すぎた真似をしてしまいました....」


俺は謝るメイドを横目に、どうすればユカリ様の為にこれ以上のことが出来るかを考える。

自己鍛錬はもはや限界にきている。......A級冒険者にトレーナーとして付いてもらおうか?

ユカリ様と会った時のでっぷりとした体形はもはやなくなり、俺の身体は筋肉の塊だ。

だが、これではまるで足りない。....ユカリ様はスキルを使って戦い、とても強いのだが...

何故か俺は、ユカリ様の周囲にいるような方たちと違って容易にスキルを獲得できないのだ。


「.......メイド」

「は、はいっ!?何でしょうか!」

「意見を求める。....どんなに非現実的でも良い、何か大きな力を得る方法を考えてくれますかな?」

「.....力.......」


そこからメイドはしばらく熟考し、答えを出した様に顔を上げた。


「力なら、吸血鬼とかになればいいのでは?」

「しかし、吸血鬼になっても高速で動き、熟練した動きで剣や槍を扱えるのか?」

「.......武器を魔法に切り替えて、いっそリッチになってしまうってのはダメなんですか?」

「...リッチではあの御方は喜んではくれないだろう....」

「じゃあどうするんですか!」

「もういい!お前には頼まん!」


俺は役立たずのメイドを放り、他の使用人共に尋ねようと廊下を歩く....が、

メイドが叫んだ次の言葉に足を止めた。


「あることはありますよ!分かりやすく力を得る方法!」

「なんですか?言ってみてください」

「あの~....余りに非現実的すぎて言わなかったのですが.......巨人です。機械の巨人」

「機械の巨人とは何ですかな?」

「私の兄がそう言った小説を集めていて、私も知ったのですが.....大きな金属でできたゴーレムに乗って戦う物語があって....腕を飛ばしたり魔法の砲弾を飛ばしたりする巨人が出てくるんです」

「....素晴らしい」

「へ?」


俺はメイドの肩を掴んだ。

あまりの素晴らしさに俺は今、激しく感動している......!


「素晴らしいアイデアですぞ!魔金属で作られた巨人に乗って戦う!これならばユカリ様のような素早さも武器の熟練も必要ありませんな!」

「え、でも....それって余りにも実現不可能な....じゃなくて!そんなもの作ったら王家に目を付けられちゃいますよ!」


確かに、そんなものを作るには大量の資材が必要となり、王家に目を付けられてしまうだろう。だが......


「俺はかつて贅沢三昧のバカ息子として知られていましたな...なら!豪奢な家を作るという事にしてしまえば問題ありませんな!」

「え...それでも無理がありますって!アスキー様!どうかお考えを改めてくださいませ!」

「大丈夫ですな、問題ありません!...早速優秀な魔導技師と錬金術師、鍛冶師、魔導兵器研究家を集めなければ!」

「.......................」


そして俺は、王家に新しい家を作るからと申請を出し、ヒヒイロカネとミスリル、オリハルコンプレートを集めさせるのであった......


◇◆◇


「よろしくー」

「よろしくだね!」

「よろしくお願いしますだぜ!」

「よろしくお願いします。」


数日後、俺のもとには4人の俺が直接集めた優秀な面々が揃っていた。

そして、その後ろでは俺が直々に会って見定めた同じく優秀な技師が揃っていた。


「それで、魔導技師の私に何を作ってほしいんですか?」

「巨人だ」

「へ?」


当たり前のことを聞く魔導技師に、俺は高らかに宣言した。


「ミスリルの巨人を創れ!....俺が乗って操縦できるようにな!.....予算は出せるだけ出す!そうだな.......30億オルクまでなら出せるぞ?」

「.........やる!やります!....趣味が入ってもいいですか?」

「無事に完成すれば問題ない!」


俺と魔導技師の会話に好奇心を刺激されたのか、他の面々も次々質問を浴びせてくる。


「それで、錬金術師の私は何をすればいいの?...ああそうか、ヒヒイロカネとミスリルの加工か。....分かったよ!」

「ボクは何をすれば.....鍛冶だから内部部品の作成か。.....大役だなあ」

「私は何を創ればよいので?」

「当然、思いつく限りの凶悪な魔導兵器を搭載してくれ」

「....あなた、最高よ」


という会話の後、全員が作業を開始する。

魔導技師組は内部に仕込む魔術回路の作成を、錬金術師組は今のところは何もすることが無いので、今日のところは帰るようだ。鍛冶師組は早速、俺がロイヤルブレーン家お抱えの技官に3日徹夜で頑張って作らせた設計図通りの部品を錬成するようだ。

魔導兵器研究家は「収納空間」らしき魔法を使っていくつかの部品や荷物を取り出している。恐らく、積み上げられた資材から何かを作るつもりなのだろう。

俺は満足して、その場を後にした。




数日後、俺は再び魔導巨人建設現場を訪れた。

そこでは既に、巨人の腕らしき巨大な円筒形の何かが作られていた。

建設責任者の4人は、一斉に問題ないと報告した。

問題だった動力問題は魔導水晶を使うことで解決し、内部部品も、金属コーティングも上手くいっているという。

...完成が楽しみだ。


この魔導巨人の性能は後々また。




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