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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-765 帰結

『バカなっ!?』


プロメテウスとアイ、二人との戦闘を行っていたパレシアが、驚愕の表情を浮かべ、退く。

転移させ、同時に自分の中での最大の裁きを下したが、ほぼ全員が同時にそれを打ち破ってしまったためである。

しかも、そのうち二組は術式を地下で荒らしまわっている。

このままでは、戦闘すら不可能になる。

仕方ないと歯を食い縛り、パレシアは転移術式を逆行させる。


「ユカリ様!」

「うん!」


最初に転移してきたのはユカリとコルだった。

次に、シロとベルが、ダンタリアンとハルファスが、最後にゼパルとジングが転移してくる。

全員が武器を構え、ジングは再び顔を青くして吐きそうになっていた。


『魔女パレシア、貴様の浅ましい考えなどお見通しというわけだ』

「我が主人に手を出した罪、購ってもらおう」


ダンタリアンとハルファスがそれぞれ魔法陣を描く。

それに合わせて、ベルが魔術を待機し、シロが結界を張った。

ゼパルが剣を構え、ジングは持ち直して拳を構える。


「待ってください」


ユカリが攻撃しようと号令をかける瞬間。

アイがそれを手で制した。

プロメテウスも同様に動く。


「どうしたの?」

『貴様、今になってどういうつもりだ!』


ユカリは怪訝そうに尋ね、ダンタリアンはまたもやプロメテウスに怒る。

だが、プロメテウスはそれを無視してパレシアに向き直った。


「オレは気づいた...いいや、思い出したというか、まあそんな感じだ」

『思い出してくださったのですね! 私たちの、信仰を...!』

「いいや、それは欺瞞に過ぎない、オレはわかってる」


プロメテウスは、魔剣プロメテウスをパレシアへ向けた。

その刀身に、赤い波紋が走る。


「思い出したぜ、ジェルバスの悲劇。それを引き起こした奴が誰だったかをな」

『それが誰であろうと、この信仰には...』

「胸糞悪りぃ、オレへの信仰を騙り、オレの全てを裏切ったやつをな」


魔剣プロメテウスが、赤い輝きを増していく。

そして、その周囲に魔法陣が浮かんだ。


「揺らめく火種は、隠されし言葉を呼び覚ます...炎神である我が命じよう、嘘に塗り固められ、埋められ隠された真相を白日の元に晒すがいい、〈揺炎神実(ようようしんじつ)〉」


魔剣プロメテウスから放たれた光が、パレシアに直撃した。

強烈な光が、空間を埋め尽くす。

その光が収まった時、そこにはパレシアではない別の誰かが浮かんでいた。


『な、何故ですの...!? 映像の身体を元に戻すなんて...』

「隠された真実を、正義と営み、真実を暴く炙り火であるこのオレは暴くことが出来る...分かったか、ラヴェリア王女?」


ラヴェリアと呼ばれた少女が、顔を顰めた。


「パレシアなんてオレは知らねえ、だがオレはお前をよく知っている。知っていたと言うべきか?」


プロメテウスは怒っていた。

身を焦がすような憎悪に身を浸し、それでも胸の内では炎が燻っていた。


「よくも信仰なんて語れたもんだな、オレを騙し、ジェルバスを火の海に沈めたお前が」

『あら?騙されるのが悪いのですわ、愚かな炎神』


ラヴェリアは、不敵に笑った。

それを聞いて、プロメテウスは振り返らずに言った。


「姐御ォ、オレに協力してくれ」

「うん」


その言葉に、一も二もなくユカリは頷いた。

彼女もまた、炎神が何をやろうとしているか理解しているのだ。


『何をやろうと、映像である私には...』

「この場所は、巨大な聖遺物...」

「聖遺物は神しか作れねぇ、もしくはそのやり方を知っているのは神だけだ」

「つまるところ...」

「壊す方法も知ってるんだぜ?」


顔を歪ませるラヴェリアの前で、ユカリとプロメテウスは同時にニヤリと笑みを浮かべたのだった。




聖遺物の破壊、それは穏便な破壊という意味での破壊だ。

もちろん壊すだけなら、魔法で壊せばいい。

神でも壊せる。

ただこの手法を用いた場合、妨害も再起動もできない、完全なる不活性化を実現できる。

それが、聖遺物を初めて作った神が定めた不文律...らしい。

海神の朧げな記憶から与えられた情報だから、全部合ってるかは後で炎神のプロメテウスに聞かないと。


「永劫不滅の焔たる炎神が命じる」

「陸・空・そして海。流れゆく潮の流れを支配するこの我が命じる」


詠唱が交差する。

プロメテウスは神として信頼があるのか、詠唱が短くて効果的だ。

私もアレくらいにならないと。


「「神に牙剥く聖なる遺物よ、己の役割を鑑みよ」」


言うなれば、聖遺物に対して「俺ってお前の制作者の友達なんだけど、どういう許可得て俺攻撃してるの?」という問いに他ならない。

術式そのものが、聖力によって大きく揺らぎ始めるのを私は感じた。


『そ...んな...神をも超える信仰が......』


ラヴェリアの姿が明滅する。

彼女を維持していたシステムが、停止しようとしているのだろう。


「謂れなき術式共よ、何を思いて楯突いた?」

「考えもせぬ聖力よ、何に従うか思い出せ」


私とプロメテウスがそれぞれ詠唱する。

もうすぐ完成する。


「「古代の盟約に従い、理のもとにこれを滅する」」


...〈聖器遮断(シャットダウン)〉。

発動した盟約神術により、遺跡は完全に停止した。

直後に、轟音が響く。


「? 何?」

『動力源に仕掛けた魔術が爆発したようです』

「恐ろしいことを...」


どうやら、転移させられる直前に時限起動の魔術を仕込んでいたらしい。

それも、ダンタリアンとハルファス二人とも。

抜け目がないというか、末恐ろしいというか...


「抜け目がないのはいいことだけど、貴重なものが失われたかもね」

『旧世代の聖石炉です、特に見るべき事はないかと』

「そうかな...?」


まあ、知識にあるのなら再現もできるか。

私は深く考えないことにして、みんなの元に振り返った。


「戦いは終わった、ここで休憩していこう」

「で...」


言い終わった時、ベルは俯いて何かを呟いた。

なんだろうと私が気がかりになった時。


「出来るわけないでしょ!」


ベルが顔を上げた。

その目は輝いていた。


「こんな昔の遺跡、絶対お宝......考古学的価値があるわ!」

「そ、そうなんだ...」

「シロを借りるわ、ついて来て!」

「ワン!」


ベルとシロはそのまま駆け出してしまう。

どんな危険があるかもわからないのに...そう思っていた私に、ゼパルが話しかけてくる。


「ユカリ様、少しお話が」

「どうしたの?」

「かつての魔王軍のメンバーを確保したのですが、下層に置き去りにしてしまい...」

「転移対象じゃないからね...行こう」


私はゼパルの後ろについて行くのだった。

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