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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-759 ピラミッド?

「何か知ってるの?」

「いや....知ってる建物と似てるって言った方が近いかな.....」


砂嵐の先にあったのは、三角錐状の建造物だった。

ただし、石がむき出しな地球のピラミッドではなくて、全体が艶やかな石で組まれていて、魔法文字が掘り込まれた状態で機能している。

私たちの側から見えている二面には、特徴的な紋様が刻まれている。


『これは.....』

『バカな....なぜ今になってっ!』


その時、ダンタリアンとプロメテウスが同時に呟くのが聞こえた。

.....ここは、彼等にとっても何かしら思うところのある地らしい。


「とりあえず、中に入ろう。入り口は反対側かな?」

『違う、とりあえず玄関へ向かえ』


プロメテウスが言うので、私たちはエントランスの設置された場所へ向かう。

そこは壁が埋められていて、入る事が出来ないように思える。


『炎神たる我が命じる、隔たれた門を開け』


アイに憑依したプロメテウスが、詠唱する。

それと同時に壁に光が走り、その部分のレンガが消え去った。


「すごい.....これはお宝があるわ!」

「あっ、待って! ベル!!」


目を輝かせたベルが、突撃していってしまう。

とはいえダンタリアンがついてるし、危険はないか。

私は皆に目配せすると、中へと踏み出す。


「......広い?」


外と中の大きさが一致していない。

ベルが先に突撃していったからか、篝火が奥で消えていく。

一歩踏み出せば、私の左右に置かれている篝火が着火される。


「これ......物理的な炎じゃない」

『.....聖なる炎だ、邪悪な奴はこれで燃える』

「そうなんだ」


プロメテウスが解説を入れてくれる。

ということは、ここは炎神を祀る神殿?


「そういえば.....」


先日急に、私に炎神系のスキルが付いたね。

戦闘中のいざこざですっかり忘れてた。


「プロメテウス、聞こうと思ってたんだ。...プロメテウスは、炎神なの?」

『だからそう言ってるだろうが...』


プロメテウスはそれだけ言うと、奥に進んでいってしまう。

私はその後を追う。

篝火の通路を抜けると、祭壇があった。

大きな、大きな祭壇が。


「階段...」


登る前から吐きそうな長い階段が見えていた。

私は階段を、一段一段と登っていく。

そして、その上に辿りついて...


『私は、炎神プロメテウス様を信仰する聖女パレシア。ここに、炎神様への信仰と...憎悪を、示す』


その言葉を聞いた。

アイの手から魔剣プロメテウスが落ち、地面に落ちて大きな音を立てた。


「これは...?」

「映像みたい、なんか近付いたら出てきたわ」

「そうなんだ...」


ベルが言うにはそうらしい。

映像は私たちと同じ位置に降りてきて、語り始めた。


『ことの始まりは、炎神様が我々をお見捨てになった時...』


私たちはそれを、神妙な面持ちで聞き始めるのだった。




『我々は信仰を捧げてきました。神族のために命を捧げたのです。ですが、炎神は我々を裏切りました。炎神の都ハルキリュースを焼き払い、魔王に降ったのです。ありえないことでした、戦の神は相手欲しさに不利な方へと着いたのです。』


ふーん、炎神がねぇ...って、それがもし本当なら、プロメテウスって割とやらかしてない?

私はそんな感想を抱く。

だけど、話はまだ終わってなさそうだ。


『多くの者は炎神様を卑怯者と誹ります。ですが私には信仰があります。例え炎神教最後の都市...ここバルアが魔王に攻め滅ぼされようとも!』


ん? どういうこと?

前後関係がよくわからない。

だってこの場所は砂漠のど真ん中にあって、魔界ができたのはルシファーが台頭する遥か前じゃないの?


「ユカリ様、ルシファーとして貴方様が君臨された時も、バルアは占領されたのみに留まっております」

「あっ、そうなんだ」


ハルファスが口添えしてくれる。

助かるー。


『あなたを信じております、穢らわしい魔族の口車に乗せられただけの貴方は、再び勇猛な炎を従えこの地に舞い戻ってくれると』

「...」

『光神様にも神託を頂きまし...』

『知ったような口をぉオオオオ!』


直後。

映像装置を、プロメテウスが叩き斬った。

魔法陣が砕け散り、映像は乱れて消える。


「ぷ...プロメテウス?」

『オレが何故お前ら人間を裏切ったか! 信徒なら理解くらい出来るだろうが! これだから人間共は!』


その話は知っている。

プロメテウスの妻が勇者に殺された云々のやつだっけ?

いや、それはもっと後の話だったかな。


「プロメテウス...」

『後で話す! オレはキレてんだあああああッ!』


プロメテウスの全身から炎が立ち昇る。

うーん、なにがあったか聞くわけじゃないんだけどな、これ壊したらなんかヤバいんじゃないかと思っただけなんだけど。


『やはり...貴方は我々の信仰を受け取ってはくださらない...!』


その時、声があちこちから響いてきた。

やっぱり...


『我々は貴方に全てを捧げるつもりでいました』

『何故...何故...』

『神族を裏切るのであれば、理由を教えて欲しかった!』

「ねえ、これヤバくない?」

「だからさっきからそう言ってたんだけど...」


装置が振動しながら破壊され、そこから光が噴き出した。

光は形を取り、先ほどの映像の女性と同じ姿を取った。


『私はこの地にて、貴方様が還られる日をずっとお待ちしておりました』

「オレはオレの意思で裏切った! 魔族だ人間だってのは関係ないなッ!」


プロメテウスは啖呵を切る。

だけど、狂信者って怖いよね。

既存の理屈が通じないんだから。


『いいえ、貴方様を疑うことは致しません。けれど魔族は卑劣な術を使い、貴方様が気づかないうちにその心に憎しみをすり込んだのです』

「違うわ! オレに怒りがあっても憎しみがあるわけねーだろ!」

『可哀想に...今救って差し上げます、我らの神よ!』


会話になってない。

やっぱり人間って、信じたいことだけを信じるってことだね。

その時、パレシアが私の方を向いた。


『邪魔者には退場してもらいますが』


直後、床全体が輝く。

これは...転移魔法陣!? レジストできないっ!

視界が白に呑まれ、私たちは何処かへと飛ばされた。


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