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世界の終わり

本日からKADOKAWAさまよりカドコミ(WEB・アプリ)とニコニコ静画にて本作のコミカライズがスタートします‼

カドコミ(WEB)

https://comic-walker.com/detail/KC_006932_S/episodes/KC_0069320000200011_E

ニコニコ静画

https://manga.nicovideo.jp/comic/74034


詳細は活動報告よりご確認ください。


「ひとまず魔物をなんとかしないと、ローレンスどころかレニ・タングスに触れもできねえぞ!」

「王家の騎士団は今さっき聖女の存在を思い出したばかりです! 僕たちで魔物を倒していくしかありません!」


 レティクスの言葉に、抜刀したラングレンが魔物を切り裂いていく。しかし魔物は攻撃を受けるとどんどん分裂し、群となってこちらに襲いかかってきた。


「やはり本星を叩かなければ駄目なようです!」

「ひとまず全員固まって……」


 リリーが魔法を発動しながら、皆に集まるよう誘導していくけれど、なかなか上手く行かない。私もエヴァルトと一緒に中心に集まっていこうとするけれど、迫りくる魔物たち相手に、同じところに留まっていることがやっとだ。やがてリリーの背後に、大きな獣型の魔物が襲いかかった。


「リリー!」

「水よ! 万物を断つ雨を降らせ!」


 おばあさんの声が響いた瞬間、まわりが閃光に包まれ、一瞬にして禍々しい獣は、消滅していく。倒されていく魔物の隙間から、ハーシェル先生がこちらへ向って歩いてきた。彼女は浅紫色の女性――リリーと私のお母さんに姿を変えて、リリーの背中を支えた。


「ママ……!」


 リリーがハーシェル先生に驚く間に、テオン先生が私の隣に立った。すると、魔災と化しているレニちゃんが「何故!?」と絶叫した。


「僕は聖女から狂気の大犯罪者まで、全てどうでもいいのですよ。皆、平等に大切な命で――結局の所、研究材料にしかなりません。そういう人間に対して、たとえ禁術級の精神干渉魔法を使ったところで――笑止、というやつですね」


 くすくす、とテオン先生が笑い、長い杖を奮うと、竜巻が起こり魔物たちを絡め取っていく。


「なので、聖人君子の集まりである王家の援軍は見込めないと言っていいでしょう。聖女様、貴女は今までで一番辛い魔災を相手にしなければいけない聖女となったわけですが、お気持ちはどうですか!」

「沢山がんばります!」


 私も張り切って光魔法を使って、早速目の前の四つ首の魔物と退治しようとする。でも、目の前にさっとエヴァルトが立った。


「滅びの業炎よ、舞え」


 呪文とともに放たれた血のように赤い炎は、曲線を描きながら四つ首の魔物を囲い、そのまま焼き尽くしていく。一瞬のことで呆然としていると、彼はさっとこちらに振り返った。


「僕が君を守る。君には必要ないかもしれないけど――守らせてほしい」


 じっと見つめられ返事に困っていると、「あわわ」とルモニエちゃんの声が聞こえてきた。


「人攫いされてる。今まさに攫われてる。白昼堂々行われた凄惨な犯行の被害者になってる」

「守ってるんだよ! 危ねえから!」

「なるほど。ありがとう」


 何が起きたのかと振り返ったけれど、ルモニエちゃんはレティクスの作ったゴーレムにのせられていた。上から手榴弾や煙幕をぽんぽん放り投げている。魔物たちは魔法には耐性があるけれど、人工的な爆撃に対する耐性は無く、効果はてきめんの様子だった。ただ、数が多くて厳しい。


 ラスさんも、圧倒的な魔物の数に押されつつ、紫の光を纏った大剣を振るい凄まじい剣裁きで魔物を両断していく。


『なぁ聖女! もう我、ここ一週間二週間で、六百年分は動いてるんだけど! 我の代じゃないのに! なあ聖女や! 我は死者なんだが?』

「すごい! 生涯現役!」

『我もう生涯終えてるんだわ! 何千年と前にぃ!』

「でもラスさんが一番実践慣れしてるじゃないですか、そうですよね! キーリングさん!」

「俺に振るんじゃねえ! あっ剣王様は世界で一番強いです!」

『お、おお、お主のゴーレム錬成技術も目を瞠るものがあるぞ!』


 ラスさんがレティクスの作ったゴーレムに飛び乗っては、魔物に剣を振り下ろしている。レティクスは嬉しそうに涙を流し、ルモニエちゃんに拭いてもらっていた。


「皆さん、和んでいる場合ではありませんよ! 我らの殿下の暴走を止めてください」


 テオン先生の杖の先には、魔物を闇雲に切りつけながらレニちゃんへ向かうアンテルム王子が見えた。でもその動きは攻撃を受けながらでも前に進むもので、自爆も辞さないような捨て身の戦い方だ。


「アンテルム王子! 一旦こちらへお戻りください」

「うるさい! ノヴァがそこにいるのだ! 俺は取り戻さなくてはならんのだ!」

「アンテルム王子!」

「黙れ!」


 ラングレンの制止を振り切ってアンテルム王子はレニちゃんの元へと飛んでいく。そのまま聖剣で彼女を切ったのも束の間、大きな魔物の手によって防がれ、そのまま叩き落されていった。傷がかなり深い。私はアンテルム王子へと飛んだ。


「アンテルム王子!」


 地面に落下した王子の元へ着地すると、すぐさま治癒魔法を発動する。しかし、魔物の爪痕によりざっくりと切られ、さらに瘴気にもあてられており、浄化と並行しなくてはならない。全力で治癒に集中すると、リリーが絶叫した。


「スフィア! 危ない!」


 アンテルム王子を治癒する私の背後に、音もなく三体の魔物が現れた。とっさに光魔法を使おうとするけれど、魔物の一体が触手を使って王子を狙い始める。ぎりぎりで防御魔法に切り替えようとするけれど、間に合うかはぎりぎりだ。最悪王子だけでもと魔法を使う先を変えた瞬間、私の目の前に何者かが――エヴァルトと、お母さんが立った。


「囚炎よ、全てを灰にせよ」

「水龍よ! 万象を削げ!」


 エヴァルトが発動した炎が、全てを焼き尽くしていく。一方お母さんの発動した魔法は、リリーのよく使う水魔法によく似ていた。水で作り出された龍は魔物を喰らい、水飛沫をあげながら噛み砕いていった。


「お母さん……!」

「……貴女にお母さんと呼ばれる筋合いなんてないわ。それより、手元を動かしなさい」


 そう言ってお母さんが私の側に立ち、水魔法を発動して周りの魔物を倒していく。それでも、なかなか魔物の数は減らないし、レニちゃんは上空で高笑いをしながら魔物を生み出し続けていた。


「このままだと私達の魔力が尽きるのが先だわ!」

「アンドリア嬢、爆弾はあとどれほど残っていますか!」

「もう無い……」

『我の魔力にも底というものはあるぞ!』


 皆が、やられてしまう。エヴァルトを見ると彼も疲弊していた。私が聖剣を持ってレニちゃんのところへ行けたらいいけど、アンテルム王子の治療もある。拳を握りしめ、治癒をなんとか加速させようとしていると、一斉に魔法陣が展開し始めた。


「全軍! 標的はレニ・タングス――いや、魔災レニ! 薬師と医者は全員アンテルム王子の治療へ向かえ! 騎士団は隊列を組み確実に魔物の数を減らせ! 誰一人子供の死傷者は出すな! 絶対に街に魔物を逃がすな! 此度の魔災、我らで絶対に食い止めるぞ!」

「親父が、助けに来てくれた……?」


 レティクスの視線の先に、キーリング宰相が立っていた。あれ、でも王家からの援軍は望めないはずでは――?


「突貫で軍と医者、薬師を連れてきました。ただ、騎士団長もいませんし私の独断なので、本来魔災を想定した人員とは程遠いものです、聖女様、貴女はいつもの五百倍奮戦して頂くことになります。よろしいですね」

「任せてください!」

「……元気な返事はいいことです。ひとまずリリー・ファザーリ、ラングレン・アルマゲストは上空の魔物を直線状に、レティクス・キーリング、ルモニエ・アンドリアとそこの黒い騎士は進行の援護に回ってください。エヴァルト・ジークエンド……君は聖女に着き、前線で守ること。アンテルム王子が倒れた今、聖剣を扱えるのは残念ながら聖女様のみです。魔災レニを聖剣で刺しなさい」

「えっ刺したらレニちゃんとノヴァ様は死んでしまうのでは?」

「魔災レニにさえ刺してしまえば、ノヴァ・ローレンスには刺さりません。そしてレニ・タングスは魔災の中心となった以上、最善の刑罰で生涯牢に入ることしか出来ません。さぁ!」


 キーリング宰相から置いてあった聖剣を受け取る。リリーが「変なことはしないでよね」と私を睨んできた。


「変なことって何ですか!?」

「言われてないこと全部よ! 貴女きちんと宰相の言われたとおりにしなさいよ!」

「しますよ。ちゃんと話を聞いてましたもん」

「貴女話を聞いていてなお変なことするでしょう!」

「変なことはしませんよ! なんだかいやらしいことするみたいじゃないですか! 命かかってることなんですよ! めっです!」

「姉妹喧嘩は後にして、早く行きなさい!」


 キーリング宰相に言われ、ハッとした私はレニちゃんへと向かって駆けていく。後ろにはエヴァルトが続いていて、道を作るように魔物を焼いていった。


「大地よ、人形の道を作れ!」

『永久の力よ、王の血脈よ、我に力を与えよ。雷撃を放て……ウワっ危なっ怖いなに!? 我の頭飛び越すように爆弾投げてくんの本当にやめて!?』


 レティクスとラスさんが魔法を発動したと同時に、ルモニエちゃんがどんどん爆弾を起動していく。彼女はゴーレムの上で満足気に笑い、「がんばれ!」と私に拳を突き出した。


「うん!」


 私はレニちゃんのいる上空へと、土と雷で作られた道で向かっていった。次々と行く手を阻もうとする魔物たちを、リリーとラングレンの魔法が撃ち落としていく。


「水よ! 穿て!」

「疾風よ! 切り裂け!」


 魔法を詠唱しながら、リリーがこちらを見た。


「スフィア!」

「なに?」

「絶対戻ってきなさいよ!」


 その言葉に、ぐっと親指を立てる。エヴァルトと共にレニちゃんまでもう少し――のところで、魔物の勢いがどっと増えた。けれど、轟々と燃える炎が魔物たちを焼き尽くす。


「豪炎よ、滅ぼせ!」

「エヴァルト、すごいです」

「今はそういう場合じゃない……ああ、言い方がきつかった。ごめん。でも……えっと……」

「謝らないでください! きちんとノヴァ様とレニちゃん、そして世界を救った後、沢山お話ししましょうね!」


 私は聖剣に光の魔力を込める。レニちゃんを取り込んでいる魔災は、彼女の声で苦しげな咆哮を上げている。やっぱり、どんなに悪いことをした人でも手を差し伸べて、救うのがヒロインだ。私も、この世界のヒロインだ。みんなごと、守りたい。


「いっけええええ!」


 私は、レニちゃんに聖剣を振るうこと無くそのまま突っ込んでいく。エヴァルトが後ろで私を止める声が聞こえるけど、私はそのまま彼女へと飛んだのだった。


本日からKADOKAWAさまよりカドコミ(WEB・アプリ)とニコニコ静画にて本作のコミカライズがスタートします‼

カドコミ(WEB)

https://comic-walker.com/detail/KC_006932_S/episodes/KC_0069320000200011_E

ニコニコ静画

https://manga.nicovideo.jp/comic/74034


詳細は活動報告よりご確認ください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] それぞれのキャラがすごくたっているけど、 面白いし好きです! コメディとシリアスの配分も 私にはちょうどよくハマって読んでます(つω`*) [一言] 無理せず執筆に励んでください!
[一言] あらら、せっかく災厄を未然に防ぐことができたと思ったのに、 元より叶わぬ夢と知りながらも禁術に手を出した乙女心といっぱいいっぱいの人の良さが完全に裏目に出たか。 闇の魔力の根源としては適任者…
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