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世界がキミに夢見ている!〜この星を守るピンクレンジャーの不器用な恋〜  作者: 水地翼
第三章:俺と恋しよう?(第14代目六連星始動)
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46.恋人にしたいランキング

 ある日、作戦会議室に出勤すると、テーブルの周囲にみんなが集まっていて、何やら騒いでいた。

 ちらりとその輪の中心を覗くと、そこには二種類のファッション誌が置いてある。


「あ! 『fan・fan』と『MEN'S fan・fan』だ! 何事ですか?」


 背伸びしながら話しかけると、輪に入れてもらえた。


「実は、毎年恒例の恋人にしたい有名人ランキングが発表されたんだ」


 陽太さんは少し照れくさそうに頭をかいている。

 

 恋人にしたいランキングか⋯⋯

 投票者であるfan・fanの読者の層は、女子高生が中心のはず。 


 その反応から察するに、おそらく陽太さんは良い線をいっていたのだろう。


 このお方は、国民的ヒーローのリーダーを任される男。

 それでいて、スタイルや顔立ち、キャラクターにも申し分ないのだから、恋に落ちる女子が続出してもおかしくない。


「妥当なところに落ち着いたな」


 冬夜さんは冷静にコメントする。

 このお方もクール系イケメンで、モデル並みの高身長だから、女性受けも間違いなし。

 

 ここが五人の中でのナンバー1、2ということか⋯⋯


「――――小春ちゃんは?」 


 光輝くんはニマニマしながら、私の顔を覗き込んでくる。


「陽太さんと冬夜さんですかね」


 正直に予想を答えたところ、場の空気が一変した。


「⋯⋯⋯⋯小春、すまない。三歳下は、俺の中では恋愛対象というよりも、保護対象の側面が強い。もし、小春が二十歳になった時に気持ちが変わっていなければ⋯⋯⋯⋯その時、再考しよう」


「⋯⋯⋯⋯小春くんの気持ちはありがたいが、秋人くんのお姉さんと、どうこうというのは、彼に申し訳が立たない。もし、秋人くんが応援してくれるというのなら、僕もキミの気持ちに真摯に応えたいと思っている」


 冬夜さんと陽太さんは、いったいなんの話をしているのか。


「まさかの二股?」


「⋯⋯⋯⋯ダメ絶対」


 何故か、樹くんと海星くんも私を責めるような空気に⋯⋯


「え? 陽太さんと冬夜さんが一位、二位じゃないんですか?」


「俺は、小春ちゃんやったら、五人の中で誰を恋人にしたいかって、聞いたんやけど〜?」


 光輝くんは、話がすれ違っていることに気づいてくれたみたいで、面白そうに笑っている。


 誤解が解けたところで、本誌をチェックする。

 恋人ランキングは、18ページからか。


 該当のページをめくった途端、目に飛び込んで来たのは、上半身裸でベッドにうつ伏せになり、上目遣いでカメラを見つめる黄田光輝。

 しょっぱなからインパクトがすごい。


「えーー!! 光輝くんが一位!? すごい! さすがモデル! 女の子の海を彷徨う男!」


 ただのチャラ男ではなく、世間も認める実力派だったと⋯⋯

 

 隣のページには、スーツスタイルでカメラを見下すように睨みつける緑川樹。 


 だめだ。

 まだ推し疲れが完治していないからか、あまりの破壊力に動悸がする。


「俳優陣やアイドル、スポーツ選手を抑えての、まさかのワン・ツーフィニッシュ! 強い! 強すぎる!」


 三位〜七位は、今をときめく人気俳優とアイドル。

 八位にメジャーリーグに行った、プロ野球選手。

 そして、九位には唇に人さし指を当てて、秘密のポーズをする青山海星。

 そして十位は、先代六連星の烏丸朔太郎だ。


「ぐはぁ! 十人中、四人が防衛隊ってどうなってるんですか!? 感無量です⋯⋯」


 天にも昇るような気分だけど、ふと我に帰る。

 陽太さんのはにかみの理由とは、いったい⋯⋯


 陽太さんの顔をじーっと観察していると、再び彼は照れたように笑った。

 

「実は、僕と冬夜くんは、こちらのランキングで選ばれたんだ⋯⋯」


 それは、MEN'S fan・fanに掲載された、『男が選ぶ男前ランキング』


 一位が四十代のベテラン俳優で、二位が先代のレッドの紅野炎悟、五位が赤木陽太で、七位が黒瀬冬夜だ。


「なるほど。男性が選ぶ男性というのもまた、価値がありそうですね。みなさんのハイスペック具合を再認識しました⋯⋯」


 そっと目を閉じて感激にひたる。


「恋人にしたい〜の方は、もともとメディア露出もあった光輝くんはともかく、俺の場合は実力と言うよりも、三位の俳優が投票期間中に熱愛報道が出たから、繰り上がっただけでしょ。人気なんてちょっとしたきっかけで、簡単にひっくり返るんだから」

 

 樹くんは現状に甘んじることなく、厳しい姿勢を見せる。


「とは言え、僕たちが無事にランク入り出来たということは、国民の注目と期待を集められているということだ。僕たち自身と広報部の努力のたまものだ。このまま引き続き盛り上がって行こう!」


「おーー!!」

 

 陽太さんのかけ声に、みんなの士気も高まったのであった。 

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