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104.番外編 アイドルコラボpart2①

本編完結から時は遡ります。

 

 UFOを追い返してから一ヶ月ほど経った頃。


 私たちの生活は大きく変わることはなく、平日は高校の授業が終わった後に訓練。

 授業がない日も、休日以外はひたすら訓練。

 

 それに加えて、クリスタルフロッグのエサのためのデザライト造り。

 あとは六連星としての広報活動という日々を過ごしていた。

 

 

 そして、ある日の訓練前のミーティングでの出来事。


「みんなも知っての通り、僕たち六連星は任期を全うするようにとのお達しがあった。いつUFOが引き返してくるか分からない以上、厳戒態勢が敷かれるべきだ。しかし一方で、クリスタルフロッグという強力な味方が現れた今、隊員の人数縮小のための希望退職制度に関する通達もあった。つまり、何が言いたいかと言うと⋯⋯」


 珍しく歯切れの悪い様子の陽太さんを不審に思ってか、みんなは身構えながら話の続きを聞いている。 


「UFOそして、エイリアンが居なくなった以上、商業的な意味での僕たちの活動目的もなくなってしまった。だからこそ、ここで再びフローラルブーケとのコラボレーションと言うわけだ!」


 苦笑いしながら拳を突き上げる陽太さん。


「間がすっ飛んだ気がするが、言いたい事は何となく分かった。資金繰りの一助になればと、俺たちは駆り出されると言う事なんだろう。結論、コラボレーションの内容はなんだ。嫌な予感しかしないが⋯⋯」


 冬夜さんは腕組みをしながら陽太さんを見据える。

 鋭い視線に陽太さんは一瞬たじろいだあと、覚悟を決めたようにうなづいた。


「内容は歌とダンス。つまり、アイドル活動だ。これから防衛隊は、大勢の隊員に退職金を支払わなければならないし、国や企業からの寄付も今後はストップしてしまうだろう? だからこそ、これからも僕たちが稼ぎ頭である必要があるんだ!」


 陽太さんは、拳で自分の胸をトンと叩いた。

 なるほど。話が見えてきたぞ。

 

 エイリアン討伐風景を中心にメディアへの露出をして来た私たちは、ありがたいことに一番の売りの戦闘シーンを提供出来なくなったからと、別のジャンルにシフトチェンジして稼いでこないといけないと言うわけだ。


 このメンバーが現役アイドルグループと共に歌ったり踊ったりしている姿なんて、全く想像がつかないけど⋯⋯


「いいやん! なんか、オモロそう! こっちとしては、もうどうにでもなれの精神やし!」


 光輝くんは興味津々といった様子で拍手をする。


「えっ、普通にイヤなんですけど。だる⋯⋯」


「⋯⋯⋯⋯不本意」

 

 樹くんと海星くんは全く乗り気ではなさそう。


「どうして希望退職制度は、俺には適用されないんだ」


 冬夜さんは頭が痛くなったのか、額を押さえて首を振る。

 

 陽太さんもこういう雰囲気になるのが分かってたから言い出しづらかったんだよね。

 なんとかこの空気を変えないと⋯⋯


「みなさん! これが私たちに与えられた使命だと言うのなら、全うするしかありません。どうせやらなくちゃいけないのならば、楽しんだ者勝ちですよ! ね! 光輝くん!」


「そうそう! みんなも現実を受け入れて! どうせやるなら、現役アイドルグループに迫る勢いで行かんと〜!」

 

 光輝くんはどんよりしている三人の肩に順番に手を置いていく。


「ありがとう、小春くん! その意気だ! 実は先方から、六連星側のセンターは小春くんでと指名が来ている! フローラルブーケ側は従来通り百合花さんがセンターだそうだ!」


 嬉しそうに握手を求めてくる陽太さんの言葉に、耳を疑う。


 六連星側のセンターが私?

 現役女性アイドルグループとのコラボレーションでセンターなんか張った日には、月とスッポン具合いが際立つに決まっているのに。


「え⋯⋯普通に嫌です。それって公開処刑ですよね? 私、先の一件で報奨金が出ると説明を受けたんですけど、節約のために早めの自主退職を促されてますか? 嫌です! あの人たちと比べたら顔も大きいだろうし、身体を鍛えすぎて女の子っぽくないし、炎上待ったなしですから!! うちのセンターは赤木陽太です! それはもう、揺るぎない事実です! 防衛隊四十年の歴史の重みを無視することは出来ません!!」


 先ほどとは考えが一転し、逃走モードに入る。


「小春くん、そんな風に自分を卑下するものじゃない。キミだって彼女たちに引けを取らないくらい愛らしいし、キミにしかない魅力がある。何よりこの星をエイリアンから救った、一番の功労者だ!」


「陽太くんの言う通りやで! 今、小春ちゃんは世界一ノリにノッてるアイドル的存在なんやから!」


 光輝くんは親指と人さし指でハートマークを作って、ニッコリ笑う。

 それを真似して陽太さんもハートマーク作って爽やかに笑う。

 そんな風にキラキラな笑顔ができるんだから、センターを代わって欲しいくらいなのに⋯⋯


「んじゃあさ! せっかく出動するようなこともなくなったわけやし、高校生&大学生らしく、カラオケ行こ! 俺たちはもっと遊ばんと!」


 光輝くんの提案により、その日の訓練終わりは、近所のカラオケボックスでのカラオケ大会となった。

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