表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/31

15 戦闘準備

 朝の光がベッドの中に届いた。


「おはようございます。お嬢様。」

 メイが洗面道具を持って私を起こしに来た。


「おはよう、メイ。」

 メイに手伝ってもらい洗顔を済ませてすぐに食堂に向かう。


「おはようございます。お嬢様。」

 セバスチャンが朝の紅茶を出してくれた。

 お茶を飲んでいるとすぐにブライアンとケインが来た。


 セバスチャンがそれを見てメリンダが作った食事を運んでくる。

 三人でそれを無言で味わうと早速みんなでご先祖様が残してくれた書斎に移動した。


 ケインとブライアンがちょっと変わった入り口にびっくりしている。

 横スライドのドアはこの世界では珍しい。


「ケイン様、ブライアン様、どうぞ。」

 私は光あふれる書斎に二人を通した。


 この書斎は私が名前を言って通さないとドアの所で固まって動かなくなるというすぐれものだ。 

 二人は私に続いて中に入ってきた。


「武器はこちらです。」

 私は壁にある戸を横スライドして開けた。


 棚の中にはご先祖のアイ様特性、対魔獣用の武器がごっそり置いてある。


 ケインとブライアンの目の色が変わった。

「「これは素晴らしい。」」

 二人はいろいろ品定めして、ケインが片刃の剣をブライアンが両刃の剣を選んだ。 


「武器はそれでよろしいですか?」


「「ああ。」」


「では、こちらもどうぞ。」

 私はその隣のドアをスライドした。


「これは?」

 ケインが怪訝に聞いてくる。


「見た目は単なる装飾用のアクセサリーですが対魔獣用の防具です。」


「これが?」

 ブライアンが疑問顔で訊ねてくる。


「はい、ま・じ・ゅ・う の攻撃は完璧に防御できます。」


「魔獣の攻撃だけということですか?」

 ケインが私の言いまわしに気がついたようだ。


「はっ、ケイン。どういうことだ。」

 ブライアンが理解できずに不服そうにケインに聞く。


「要は魔獣の攻撃しか防げないってことさ。」

「ああ・・・つまり?」

 ブライアンが聞く。


「つまり人間が攻撃すればその攻撃を防御することが出来ない。そういうことではないですか?」

 ケインが私を見た。


「はい、その通りです。対魔獣用の防具なので人間相手では使えません。」

 私はにっこり笑って答えた。


「便利何だか不便なんだか、わからんなぁ。」

 ブライアンはボヤキながらも防具を選ぶ。


「ちなみに大きさはさまざまですけど、どれも効果は変わりません。」

 私はどうやら迷っている様子のブライアンに声をかけた。


「大きさで変わらないなら俺はこれがいいなぁ。」

 ブライアンは小さな腕輪を選んだ。

 ケインも同様に防具に腕輪を選ぶ。


「試し切りしたいんだけど、どうする。ケイン。」

「そうだなぁ。昨日の空き地にいくか。」


「あのー。」 

 私は二人に声をかけた。


 二人が一斉に私を見る。


「武器も対魔獣用武器なので単にものが切れるだけで、そのおー・・。普通の武器とは違い人間には使えませんので気をつけてくださいね。」


「分かっています。大丈夫ですよ。ただ単に剣の重さや振り抜きの確認がしたいだけなので問題ありません。」

 ケインが私を見てにっこり笑った。


 たいぶケインの笑みに慣れてきたと思っていたのだがこんなふうに微笑まれると、やはり赤面してしまう。


 なんだか真っ赤な顔でいたたまれなく思っていると突然ドアの所でメリンダの声がした。


「お嬢様、大変です!!」

 メリンダの切羽詰まったような声が響く。


「入ってメリンダ。」

 私の声に呼応してドアが横スライドした。


「これをお嬢様。」

 メリンダが慌てて小鳩便の手紙を3通持ってきた。


 私は手紙に目を通す。

「何てこと!!」


「どうしました、お嬢様。」

 セバスチャンがすぐに私の所に来た。


 私はセバスチャンに3通の手紙を見せる。

「これはまさか。」


「「どうしたんだ。」」

 ケインとブライアンが同時に詰め寄る。


「砦跡で発生した強力な魔獣が、王都目指して移動しているようです。」

 セバスチャンが手紙に書かれていた内容を読みあげた。


「なんだって、こっちじゃなく王都を目指すんだ。」

 ブライアンが呻く。


「それだけか?」

 ケインが聞く。


「いえ、状況は最悪です。一か所ではなく三か所、全てで発生した強力な魔獣が一斉に王都を目指して進んでいるようです。」


「おいおい、うそだろ。」

 ブライアンが蒼白になる。

 ケインも言葉が出ないようだ。


 私は意を決すると、

「セバスチャン、メリンダ、メイ。ここにある対魔獣用の武器と防具をすぐに選んでちょうだい。それが終わったら馬の用意をおねがい。」


「「「畏まりました」」」

 三人は私の声に一斉に答えると、すぐにセバスチャンが棚から細身の剣と指輪を選ぶ。

 メリンダは小さな短剣を数十個と同じく指輪を、メイも指輪と弓矢を選んだ。


 選び終えるとそれぞれが王都に向かう準備の為、部屋を後にした。


「俺達もいくぞ。」

 ケインはブライアンに声をかける。


「ああ、もちろんだ。」

 ブライアンもそれにうなずく。


「準備出来次第、厩にお願いします。」


「「わかった。」」


 私たちは出発準備の為、書斎を後にした。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ