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初恋の彩り  作者: みこえ
~始まり~
82/183

【姫川春参戦】

 珍しい事に春が部活が休みと言うことで、春里と春は一緒に帰ることにした。もちろん二人だけで帰るはずもなく、小牧も如月も幸次郎もおまけのようについてくる。おまけと言えば伊澤瀬奈もついてきた。


 最近ではこの団体が名物になりつつある。もちろん、人気のある男子生徒が二人いるので、羨望やら妬みやらがその眼差しにはある。その視線――ある意味見世物だが――に堪えられないで戸惑っているのは春一人だけだ。伊澤は鈍感なのだろうと思う。もちろん心臓も強いだろうが。春里の場合は慣れてしまったのだ。二年生の頃から奏太と下校するたびにこういった視線を受けてきたから。多分、今の視線よりも鋭いものだったと記憶している。ただ、春里も引きずらない性格なので、すっかり忘れているのだ。


 如月も幸次郎も慣れっこのようだ。その眼差しなど気にすることもなく堂々としている。

「それにしても篠原先輩のお友達はみんなタイプが違うんですね」

 幸次郎が無邪気に言ってきた。春里は最初、何を言われているのか分からなかった。だが、幸次郎の視線は春と伊澤を交互に捉えている。

「春は友達だけど、伊澤さんは違う。どちらかと言えば対立関係にあるんだよね。まあ、一方的な、と付け加えたい感じだけど」

「へ?」

 幸次郎が間の抜けた顔をした。その顔がとてもかわいらしくて春里は笑った。

「や、やめてよ、篠原さん」

 春里の言葉に焦ったのはもちろん伊澤だ。春里からしてみれば後先考えずに気に食わないからっと言って相手をいじめるからこういう時に困るのだ、と言いたい。以前もそのような事を言ったはずなのだ。貴之に好まれたいのなら、こういう事は止めた方がいいと言った感じの。


「あら、本当のことでしょう?わたしの忠告を聞かないから今になって焦るの。普段の行いが大切なんだから」

 春里の言葉に伊澤は今にも泣きそうな表情になり、顔を歪ませた。そして、それを隠すように俯いた。まるで春里がいじめているみたいだ。春里からしてみれば調子がいい、の一言に尽きる。気になる男の子の前でだけいい子でいようなんて虫がよすぎるのだ。しかも春里を利用して。伊澤はそれ以上の事を春里と春にしてきたのだから。


「先輩、伊澤先輩をいじめちゃ駄目ですよ」

 幸次郎は春里の言葉の本当の意味を知らない。だからこその発言だとは思うが、なんとも春里にしてみれば気に食わない。だが、ここで総てを撒き散らすのは大人げない。それが分かっているから、春里は突然速く歩きだした。





               ***


「長野、何も知らないで言い過ぎだ」

 幸次郎が春里を追いかけようとしたのを制したのは如月だった。如月は大体の事を春里の発言から察した。それは、一年生と二年生の差かもしれない。春里が以前どのような立場だったかを如月は知っているのだ。貴之を取り巻くアノ異様な光景を知っているか知らないかで大きな差が出る。そして、如月が抱いている予想は多分当たっている。


 伊澤が春里に何をしていたのかは知らない。だが、いつも仮面をつけて、自分を偽り、うまく振る舞う春里がわざと相手を傷つけるような言葉を選んでいる。それは、多分それだけ相手に対して敵対する気持ちがあるからだろう。

「言葉の真の部分を知らないうちに責めるのは無責任だ」

 如月はそう言った後、当然のように春里を追いかけた。その姿を他の人間は呆然と眺めていた。ただ、春だけは我に返り、春里を追いかけていった。


どうしてむふふの手前かと言えば、次回が関わってくるからです。


今回視点変更に***を遣ってやってみました。短すぎても読みづらいですしね。


次回は奏太の登場。むふふとなるのは私です。


次回もお付き合いください。

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