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初恋の彩り  作者: みこえ
~出逢い~
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【貴之の決意】

 三月に高校を卒業し、四月から住むマンションも決まった。総ての計画は順調に進んでいる。春里に責められ不貞腐れられてしまったが、その態度に嬉しささえあった。あの感情は――。貴之は期待せずにはいられなかった。この家を出る事を伝えた時の春里のあの態度。希望が持てる。もしかしたら貴之と離れるのが嫌なのではないだろうか?もしかしたら同じような感情を抱いてくれているのではないだろうか?貴之はそう思わずにはいられなかった。そして、そう考えると浮かれる。


 貴之は春里が高校に行っている間に両親に時間をとってもらえるようにお願いしていた。今まで抱いていた気持ちを伝え、貴之の考えをきちんと理解してもらうために。


 ダイニングテーブルに俊介と貴美と向かい合うように座る貴之は緊張していた。貴之は貴美が淹れてくれたコーヒーを一口飲み、深呼吸を一度する。


「もう、二人とも気づいているかもしれないけど、きちんと報告しようと思って」

「なんだ?」

 俊介は穏やかな表情で尋ね、コーヒーを飲む。疎い俊介でもきっと何を言おうとしているのか気づいているのだろう。それとも、貴美が報告したか。


「俺、春里が好きだ」

 貴之が眼の前の二人を見ると、二人ともにこやかな表情で貴之を見つめていた。驚いていないと言う事はやはり気づかれていたということだ。貴之も予想はしていたがこういう態度をとられると少し照れる。だが、反対されていない、そう確信できた。


「ここを出て行く前に春里に伝えるつもりなんだ。うまくいっても振られても俺がこの家にいなければ春里もいづらくなる事はないと思うんだ」

「それでここを出る事に決めたのね」

「そう。どちらにしろ、俺も危険だしね」


 告白をした後のことではなく、告白をしなかったとしての事だ。ずっと我慢をしていた。急激に距離が縮まり、躊躇いが無くなってしまっていた。自然に春里に手が伸びる。春里はそれを嫌がらない。だから、もっとと手が伸びる。頬に触れると撫でたくなる。そして、キスをしたくなるのだ。その衝動だけは抑えてはいるが、いつそれが決壊するか分からない。そこまでになっていた。


「言いたい事は分かった。春里のことを一番に考えてやれ。俺は別に反対するつもりはない」

「わたしは大歓迎よ。うまくいけばとても嬉しいもの」

 緊張感の見えない貴美はコーヒーに添えてあったビスケットをパリパリと食べた。しかもしまりのないにこにこ顔だ。


「ありがとう。どう転ぶか分からないけれど、後は頼むよ」

 総ての準備は整った。春里の終業式が終わったら、奏太も一緒に三人で遊園地に遊びに行く予定だ。それが最後のいい思い出になるかもしれない。それでも、やはり気持ちは伝えたい。誰かに春里をとられる前に――。


佳境ですね。貴之の下準備もできました。あとは……。

あともう少しで出逢い編が終わり、次は始まり編になるのですが、実はまだ書き終わっていないと言う……。読み返してもいないと言う……。


さて、次は遊園地。2話更新です。


次回もお付き合いください。

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