29/183
【春里にとっての存在】
一大行事が終わった次の日は振り替え休日で、春里は貴之と一緒に病院へ行った。その後、映画を観に行く予定だ。
貴之はいつものようにシンプルな装いだ。貴之の私服はモノトーンが多い。春里の私服も同じなので、どうも地味になってしまう。だからと言って派手な色を着る気にはなれないので、春里は遠慮なく黒の装いだ。
最近の春香は日に日に弱っているのが分かる。その度に泣きそうになり、それを抑えるのが大変だ。春里の今日の心配はそこにあった。一人で病院に訪れる時は、どうにか感情をコントロールできるが、誰かが一緒だと甘えてしまう。それが貴之だと余計だ。貴之は春里に甘い。その甘さに春里はいつも甘える。だから、今日一緒に病院に行けることは嬉しいことなのだが、それと同時に不安が顔を出す。春香の前では絶対に泣きたくないのだ。心配だけはかけたくないし、不安がらせたくもない。春香の前でないのならいくら泣いても構わない。いや、本当は悔しいけれど、春香の前で泣くくらいなら、違う場所で泣いてやるといった感じだ。
こんな感じで小刻みにあと2話。
次回は病院にて
次回もお付き合いください。




