勇気
神殿の中の闘技場でキュレアとイダスの手合わせが始まった。
勇者キュレアを見たくて観客達が集まって来た。
軽量の防具を付けての戦いになった。
イダスが剣を抜いて構えた。
キュレアが剣を抜き巨大な神のオーラが放たれた。
イダスは、そのオーラ感じ背筋がぞーっとした。
手合わせだ!殺されることはないだろ・・・
だが殺気を感じた。
何故殺気が!?
イダスは動揺した。
手合わせで、何故殺気を感じるんだ!?
いや死ぬかも知れない・・・
死んでも蘇生させられる神がいる話しは聞いた事がある。
俺は、殺されるのか?・・・
そう考えたとたん鳥肌がたち、足がガクガクと震えだした。
また、俺は震えて何も出来ないのか?
イダスの頭にセーシェルで殺されかけているアントリュウスが頭に浮かんだ。
震えてる自分を認識した。これが俺だよな!
だが俺も少しは成長したぜ!
イダスが震えたまま、キュレアに斬りかかった。
キュレアの顔色が、変わった。
ほー!さっそくお出ましか?
イダス!お前の勇気をみせてもらうよ
キュレアが本気になった。
イダスの剣がアッサリとかわされた。
その後、全く太刀打ちできずボコボコにされた。
手合わせは、一方的になった。
イダスは、青白い闘気を、出し必死に立ち向かったが
全くキュレアの相手にはならなかった。
それでもイダスは、倒れても倒れても何度も立ち上がり向かって行った。
クソッ!まだだ、これが実戦だったら俺は、何回死んだ。
誰も助けられないじゃないか!
イダスは、キュレアの圧倒的な強さに恐怖を感じ更に震えが強くなった。
だが、それでも諦めず倒す気で向かって行ったが、あまりにも力の差を感じた。
クソッ、せめて一太刀でも・・・
だがイダスは、気を失い倒れた。
アシュレイがイダスの所に駆け寄った。
キュレアがアシュレイに言った。
「今日は、ここまでだな!後は頼む」
アシュレイがイダスを担いで治療室に向かった。
「キュレア様!一方的に叩きのめすとは思いませんでしたよ」
「最初は、剣術を教えるつもりだったがあのオーラを見たら手加減は、出来なくなった、手加減をすればヤラレル」
「まさか!いくら何でも買いかぶりすぎですよ」
「いや本当だ!間違いなく一太刀は、受ける事になる」
「あの強くなった青白いオーラってそれほど何ですか?」
「威力は、わからないが死を覚悟して挑んでくる一撃だ!どうなるかわからん」
キュレアは、イダスの攻撃に何度か青白い闘気が強くなったとき危険を感じた。
神にはない一撃なのは確かだ!危険を感じる!
治療室でイダスが目を覚ました。
「俺なんか全く相手にならないじゃないか?」
「イダス!相手が悪かったよ、勇者キュレアなんだから!でもイダスの一撃は威力があると思うよ」
イダスは、心の中で思った。
何言ってんだ!お前は、子供のときにナイフで神に立ち向かって行ったくせに
天界に来てから何度か勇者だと言われたけど、俺が勇者の訳がないだろ!勇者キュレア、あれが本物の勇者だ・・・これじゃあ誰も助けられないじゃないか・・・
イダスがボーと外の景色を見た。
「平和っていいよな」
「どうしたんだい!イダスらしいけど」
「明日も勇者キュレアに挑んでやる!!アシュレイ明日も治療を頼んでいいか?」
「うん、いいよ!」
アシュレイは、イダスを止められなかった。
もうすぐ戦争が始まる!いつか強くなれるといいね!とか言ってられなかった。
イダスは、アントリュウスが戻る最終日の前日までの残り二日間キュレアに手合わせをお願いした。
二日目もイダスは全く相手にならず、観客達が冷たい目で見ていた。
「アントリュウス様の直属の従者にしては弱すぎるよな」
「何でも勇者の剣を持ってるみたいだぜ、あの人間」
「本当かよ!?それにしても弱い勇者だな」
「勇者の剣を持っていても、まだ勇者じゃないだろ」
「キュレア様が強すぎるんだよ」
イダスは、二日目も全く相手にならず一方的に叩きのめされた。




