帰還
「アントリュウスにはよく似合って素敵だと思うけど」
アントリュウスが少し怖い顔になった。
「けど!けど何!?」
アシュレイは、焦った。
本当の事を言うか迷った。
なんとか怒らせないようと希望を捨てなかった。
ふと閃いた!
「アントリュウスは、千年前!男の格好をしてたとグレンさんに聞いたから、そのときの格好のほうがアルテミス様も喜ぶんじゃなかいかなと思ったんだ!」
流石だアシュレイ!希望を捨てない男!
イダスは、アシュレイに話しを合わせた。
「そうだよ、昔と違う格好をしてしまったらアントリュウスが変わってしまったのかとアルテミス様も不安になるかもしれないよ」
「そうよね!このお洋服素敵だけど今の私の体型には似合わないと思っていたから男物にしよ」
・・・わかってたら聞くなよ!!
イダスとアシュレイは、心の中で言った。
そこに二人の天使がやってきた。
社長のアリエルと専務のウリエルだった。
アリエルがアントリュウスに挨拶した。
「アントリュウス様!お帰りをお待ちしておりました」
ウリエルか挨拶をした。
「アントリュウス様!またお世話係をさせてください」
「貴方達、翼が輝いてるけど神になれたの?」
アリエルが答えた。
「いえ!神の一歩手前までで止まってます」
ウリエルが答えた。
「これからはアントリュウス様のお世話をさせて頂きます!アントリュウス様のオーラを浴びて私も早く神になりたいです」
アリエルがイダスを見た。
「あれ!君イダス君じゃないか?」
「そうだけど」
また前世の知り合いか?
「そうか!君は、転生したんだね!よかった、君ならいつか神になれるよ!まあ私は、神の一歩手前だから先輩として困ったらいつでも相談に乗ってあげるよ」
「ウリエルも先輩だからね!困ったらいつでも言いなさい!」
二人は、ドヤ顔でイダスを見た。
アリエルがイダスに言った。「いいかい!神になると力を持つ事になる、だけど威張ってはダメだよ」
ウリエルが言った。
「いいね!イダス君、グレンみたいになっちゃダメだよ」
「グレンさんって威張ってるの?」
「イダス君!!君がなぜグレンにさん付けしてるんだ!」
アリエルが怒った顔をした。
ウリエルがイダスに突っかかった。
「そうよ!貴方のほうがグレンより強かったじゃない!神になったら私達の後輩としてグレンをケチョンケチョンにしてね!でも今言ったことはグレンには、内緒よ」
イダスが驚いた表情をした。
俺が、グレンさんより強かった!?・・・
アリエルとウリエルがアントリュウスのコーディネートをした。
アントリュウスは、気にいった。
「素敵ね!やはり貴方達に選んでもらったほうがいいわ」
アントリュウスは、不安げにアリエルに聞いた。
「アルテミスは、私を待ってくれてるかな?」
「当たり前です!アルテミス様は、アントリュウス様がいなくなってから滅多な事では笑わなくなりました」
「アントリュウス様!早く神殿に行きましょ!アルテミス様がご機嫌になります」
アントリュウスは、アリエルの言葉を聞いて、過去の記憶は、まだあまりなかったが、アルテミスは、昔から滅多に笑わなかったような・・・怒った顔が可愛いかったような・・・怒ると恐かったような・・・
アントリュウスは、不安を残したまま神殿に向かう事にした。
店から出ると豪華な馬車が用意されていた。
車を引いてるのは馬ではなく品のある二頭のユニコーンだった。
店の周りにたくさんの神々が集まっていた。
街中がアントリュウスの帰還に大騒ぎになっていた。
アントリュウス達は、あまりにも盛大な歓迎に驚いた。
アントリュウスがウリエルに聞いた。
「こんなに神達が集まってこれから何かあるの?」
「はい!アントリュウス様が帰られたのです!これくらいの歓迎ではすみせん!今日から1週間アントリュウス様の帰還をお祝いした盛大なカーニバルが行われます!」
「ちょっと待って、誰がそんな事決めたの?」
「アルテミス様です!アントリュウス様が帰還されたときに1週間のカーニバルをして天界の果ての神々が挨拶にまいります!」
「そう・・・」
まあ、アルテミスらしいけど・・・
アントリュウスは、更に不安になった。
喜ばせておいて体が男の子になったことで前みたいに受け入れてくれるか心配になっていた。
ニンキがアントリュウスに元気づけた。
「どうしたの!アントリュウス!貴女らしくないわね!」
「アルテミスに嫌われたくないわねよ」
「貴女の事を千年待ってたのよ!嫌うわけないでしょ!それに体の事だったらパネース様の所に行って女性の体にしてもらえばいいんだから!翼だってもとどおりよ」
だがアントリュウスは、本当に翼がもと通りなるか不安だった。
ゼウスの呪いが複雑になっていることに気づいていた。
アリエル&ウリエルのブティックから神殿までのパレードが始まった。




