20.銀孤の胸中
銀弧は、一人思いに耽っていた。
近頃、ギルドでの仕事が楽しい。内容は簡単やけど、レイジはんと一緒に仕事をするのが楽しい。
今までこんな気持ち感じる事はなかった。
迷いの森で、レイジはんについてきてよかった。
今日の釣りだって、楽しかった。レイジはんは緊張してか黙ってしまったけど、それでも穏やかな時間だった。
はっきり言って、レイジはんの事が気になってる。恋してるのかもしれん。
でもレイジはん、鈍そうや。ウチも何か恥ずかしいしな。
今日釣れた魚、『愛でタイ』というらしい。とてもレアで、運命の魚だとか。
うちにとってレイジはんが運命の人なんやろうか。 考えたらドキドキする。
ギルドに納品したら、ギルド嬢も褒めてくれた。レイジはんと一緒に仕事をして、役に立つ。とても気持ちいいなぁ。
そう思ってたら、変な男が来た。
うちの事がほしいらしい。それにしたってあんまりな口説き方だ。ありえない。
そう、過去に縁談を持ってきた族長とその男達と同じ目だ。
吐き気がする。うちの事を道具としか思っていない。
そう思ってたらレイジはんが割り込んでくれた。
「銀孤は俺の女だ」
えっ、何いうてんの? あぁ、変な男にアピールして遠ざけようとしてくれてるんね。
でも心が温かくなった。ドキリとしてしまった。嬉しかった。
男はレイジはんにうちを手放すように言うてる。大金を積んでる。
あぁ、どうするの? レイジはん。
レイジはんは啖呵を切って断ってくれた。
でもそれがヴィンセールの態度を刺激したらしい。
剣を抜いてヴィンセールがレイジはんを脅してた。
うちが助けな! でも、アカン。怖い。
族長と男達の下種な目がフラッシュバックした。
委縮してるウチやったけど、レイジはんが怒ってくれた。
剣を抜いてくれたんや。
うん、ウチな、ときめいてしまったんや。その心意気に惚れたんが判った。
それからレイジはんはすごかった。強いとは思てたけど、それにしても異常な強さだ。ヴィンセールも実力者だったと思うのに、まるで赤子の手を捻るように下してしまった。
それに、うちの心の傷はこんなもんじゃないなんて、言ってくれた。
アカン、完全に惚れてもた。
最後にレイジはんは男に名前を告げてた。きっと、この出来事をウチの代わりに、レイジはんが責任を持ってくれたんやね。
もう頭がクラクラした。
レイジはん、格好いい。
レイジはん、うちの心。責任とってね。
居ても立ってもおられへん。この気持ち伝えな……!




