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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 3

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MISSION 3 :偵察飛行は大事です







 傭兵系美少女、大鳥ホノカちゃん!



<カモメ>

『リニアカタパルトボルテージ、最大(ミリタリー)

 射出タイミング、ホノカさんに譲渡します!』



「んじゃ、行っきまーす!」



 新しいペラゴルニスと共に発進!!


 真上へ射出されてくるりとターンして、海の上スレスレを飛ぶ!


 そんな感じに、飛び出すeX-W8機!

 いつもの傭兵(スワン)のメンツこと、リンちゃんにキリィちゃんにエーネちゃん達と、

 インペリアル新兵小隊の4機だ!!


<インペリアル小隊長>

傭兵(スワン)!突出しすぎるな!』


<キリィ>

傭兵(スワン)って誰じゃい!?

 ちゃんと機体名で呼べぇい!!』


<インペリアル小隊長>

『クソ……アルゲンタヴィス!!』


「今の私の機体ペラゴルニスでーす!」


<インペリアル小隊長>

『なんでも良いわよそこのクソフロート!!

 早さ自慢したいなら後でやりなさい!!』


 了解、了解、あの目つきも口も悪い子の言うことだ、従いましょー!



<インペリアル小隊長>

『コンドルリーダーより傭兵(スワン)並びに、インペリアルeX-W小隊、『コンドル隊』全機通達!!

 我々の目的は偵察と地図作成(マッピング)よ!

 海岸からそれぞれ指定の4方向のルートに、『スタンダード2チームフォーメーション』で進む!

 ここまでは良い?』


「難しく言わず、2機1組って言わない?」


<オルトリンデ>

『言えとるわな〜!』


<インペリアル小隊長>

『うるさい!

 ったく、ブロイルズ3等尉官はなぜこいつらと混成のチームに……』


<エーネ>

『見えたよ。海岸です!』


 お、エーネちゃんの言う通りだ。

 断崖絶壁の海と陸の境目って感じ。


<インペリアル小隊長>

『どうせ我々の表示コールサイン適当なんでしょ?

 今から、組み分けをする。傭兵(スワン)ども、全員のコールサインを手動で合わせなさい!


 コンドル1、アンナはエーネ・レイニーのキュアフルウィッシュ、そこの白いハードレインフレームと一緒に、南西方向、左に行くように!』


<コンドル1>

『コンドル1了解。傭兵(スワン)よろしく頼む』


<エーネ>

『よろしくです』



<インペリアル小隊長>

『コンドル2、イリーナ。アンタの相棒はキリィことブラックインパルス、射突型ブレード(とっつき)持ち軽量2脚よ。

 北東方向、右側から』


<コンドル2>

『コンドル2了解。よろしく頼むね、褐色のお嬢さん?』


<キリィ>

『なんじゃ、女の癖に男みたいな。

 まぁええかの。よろしく頼むの』



<インペリアル小隊長>

『コンドル3、ウリエラと、オルトリンデとスカイヴァルキュリアは上空で待機!

 アンタらはわざわざ逆脚で揃えたんだから、航空からの監視と、全体像の把握を。

 そして何かあったら、遊撃をお願いするわ』


<コンドル3>

『はいですアウローラさん!

 アッ……ごめんなさい、コンドル3了解です……』


<オルトリンデ>

『あらまー、可愛い子が相方なんかー!

 ははは、ごめんなー、ウチだけ前の怪我のせいでこんな癒し系の子と楽ぅな仕事もろてなー?』


「はははは、リンちゃんずるいぞー?」


<インペリアル小隊長>

『私語は慎む!

 そこの大鳥ホノカ、アンタと私、コンドルリーダーである私について来なさい。

 この場所の真ん中を飛ぶ。真上を。

 いいわね?』


「へーい」


 怖いなー、学級委員長みたいー。


<インペリアル小隊長>

『……で?ちゃんとモニターの無線名は変えたのかしら?』


 うわ、しかも勘がいい〜!!


「うへぇ、今変えまーす……」


<インペリアル小隊長>

『……アンタ人の名前覚える気があるの?

 もういっそ、私の名前でも表示してなさいよ』


「あ、じゃあもう一回名前教えて?」


<インペリアル小隊長>

『アウローラ・ローレンス!!

 ったく……さっさと機体に登録でもしておきなさいよ!』


 じゃあ、早速無線ウィンドウの<インペリアル小隊長>をタップして、キーボードフリックして……変更!!



<アウローラ>

『コンドルリーダーより各機!

 もう陸地に着くわ、散開の用意!!』



 おっともう崖が目と鼻の先だ!

 波飛沫もよく見えて……いやまった!!



「なんかいる!!

 すぐ上昇して!!」


 え、と無線機から聞こえる中、私はペラゴルニスを思いっきり上に向けて、下半身の戦闘機みたいな形のフロート脚から両脇に伸びる翼で風を切りながら上へ向かう。


 ストライクブーストも起動!!

 一気に上へ!!


<コンドル3>

『ふぇ!?』


<アウローラ>

『速い……戦闘上昇機動!?何があったの、よっ!!』


 真横には、いつもの傭兵(スワン)のお友達がとっくに並んでいるし、後ろのカメラはほんの少しだけ遅れたインペリアルの新兵ちゃん達のeX-W4機の姿が見える。


<コンドル2>

『ぐっ……なんて……G……じゃじゃ馬な動きだ』


<コンドル1>

『コンドル1より傭兵(スワン)、何があった!?』



「何があったかはすぐ分かるかも!」



 ────私の予感は当たっていたようで、なんと崖が崩れたというか内側から吹き飛んだ感じに岩が飛ぶ。




 グワァァァァァァァッッ!!!




 怪獣が出てきた。いやマジで。


<オルトリンデ>

『……なんじゃ、こりゃあ……!?』



 リンちゃんのいう通り、なんというか人型で、灰色で、牙剥き出しの大きく裂けた口で、4つ腕……いや、6つの腕!!背中かからも生えてる!


 マジでなんだろう、巨人?怪物?怪獣??

 そうとしか言えないぐらい大きくてでかいの。

 てか、お目目もよく見れば5個ないアレ?



<コトリ>

《あの、お約束で悪いけど、高エネルギー反応》



 と思ったら、背中側の突起みたいなおててが開いて、ギョロリとお目目6つ目と7つ目登場!!



 ─────ピー、ってなんかレーザーが出てきた!?



「マジで!?!」


 皆、流石にレーザーぐらいは回避できるけど、まさかマジで怪獣が出てくるとは予想外だった気がする。


 下で、こっちに怒りの咆哮をあげたかと思えば、等々に近くの浜辺にあの人型風の怪獣は目をやって、地上に背中の腕のレーザーを放つ。


 あら、浜辺に埋まってたこれまたでかいサザエみたいなのが出てきた。

 黒焦げで、なんか……ナメクジっぽさもある胴体が焼けてて美味しそう。


 美味しそうに思うのはの怪獣も同じで、でかい4つの腕で掴んで口に運んで食べ始めた。



<コンドル2>

『………………マジか』


<アウローラ>

『…………上陸が大変そうね』



 しかも、また反応かと思ったら、今度は海が爆ぜたかと思えば、触手二つがハサミみたいになった同じぐらいでかいイカの怪獣が、人型の怪獣に襲いかかった。

 いや、餌の方に襲い掛かったんだ。あのサザエナメクジを喰ってる。

 で、キレた人型の怪獣と殴り合いに食い合い……


 なんだこれ。すっごい映像。



<コトリ>

《…………未知の生態系か。

 たった300年でこんなになるのか……あのサイズになるには一体何を栄養にしているんだろう……》


「……何にせよもう帰りたくなってきちゃった……」



<アウローラ>

『泣き言言うな!!

 むしろ、我々の部隊の役目がより重くなっただけよ!

 各機、予定通り散開!特に左右に分かれる組は、安全な海岸があるか、逆にここのがマシかを調べるように!』



 了解、と気持ち切り替えて、全員予定の方向に散!


 さてさて……びっくりモンスター大陸の奥に向かいますか!!



<アウローラ>

『…………大鳥ホノカ、』


「ん?」


 なになに急に?


<アウローラ>

『…………助かったわ。本当に礼を言わせてもらう。

 傭兵(スワン)達が先に反応して、我々は回避が遅れた……

 これが……実戦経験の有無、なのね……素直に、すごいことよ……』


 ……なにさ、急に声のトーン低いね……落ち込んでる??


「あー……ま、お互い生きてればいいじゃん。

 あとは帰りに気をつけるだけ」


<アウローラ>

『…………その能天気さ、強者の証みたいで正直ムカつく』


「えー」


<アウローラ>

『……まぁ、その通りよね。

 いいわ、任務を続けましょう』


「……オッケー!」


 てなわけで、

 平野部の空を飛ぶ私のペラゴルニスと、アウローラちゃんの機体。


 すぐに森の近くに行けば、まぁなんというか……すごいに見えてくるな……!!



「見えるコトリちゃん?」


<コトリ>

《…………生きてるうちに見たかった……すごい……!》





 その場所は命に溢れていた。


 水を飲む、なんだかウマっぽいタコって言うべき生き物の群れ。

 なんだか、体表がちょっと金属っぽい光沢があって、宇宙の生き物っぽいけどカッコいい変な感じ……!


 その間にいる、ゾウみたいにでっかいタコって感じの生き物が、本当にゾウの鼻みたいな、多分タコスミを吐く部分みたいなところから伸ばした管で水を吸って、真上に噴射して同じく金属質な体表を濡らしている。



 突然、川からでっかいホタテみたいなのが出てきた。

 まるでワニみたいに、金属質の貝殻で一匹のタコウマを噛みついて水にひきづり込む。



 遠くでは、数匹の多分肉食獣的な多足の獣が、タコウマっぽいのを追いかけて狩りをしている。


 昔のテレビで見た、地球の野生の動物達みたい……!!



<コトリ>

《すごいよ……これが、本当の火星か……!

 アレがナノマシン生態系……なるほどそうか……そう言うことなのか……!》


「何がそう言うことなの?」


<コトリ>

《画像データからでも詳細な情報は得られる。この八式武蔵頭部はカメラ性能もいいしね……

 あの森の植物、葉がいくつか金属質できている。

 多分、かつて赤い星だった火星の豊富な酸化鉄を、代謝して酸素だけ取り出して、残りを自衛用に葉っぱへ変えた。

 でもそれを食うように進化した、草食性の動物の体表は金属の鎧を手に入れて……さらにそれを食うべく捕食者が……


 すごい、本当に他の惑星の生物だ!

 これが、300年で!?

 進化の歴史が早すぎて……でも感動だよ……なんて生物多様性……!!》



「詳しいね……分かんないけど」


<コトリ>

《専門家じゃない私でも感動する。

 専門医が見たら……私はその人のオムツを変えて、その人に鎮静剤を打つ必要があるかもしれない映像だよ》



<アウローラ>

『喋ってる場合じゃないわよ!

 前方、霧よ!!』



 と、豊かな火星の自然を飛んでいたら、今度はなんだかめっちゃ白い霧の中に……ダイブ!



「うーわ、めっちゃ煙いね」


<コトリ>

《…………なんか辺な霧だな。

 うーん、eX-Wの爆発物探知、化学兵器用臭気センサー当てになるかな……》


「なんか……確かに、変な感じ。

 というか……霧ってこんなに煙いっけ??」


 そう、なんか、霧っていう割にはモヤモヤ感が気持ち違うような……?



<アウローラ>

『!?

 まってこれ霧じゃない!!

 いくつかの硫黄成分と……酸性の毒物を検知!?』


「毒物!?」


<コトリ>

《毒ガス!?

 っていうか、酸性のって言った!?!

 おかしい……毒ガスは保管の都合上、酸性のものなんて使えないんだ!容器が酸化してボロボロになる!!》




 まってまって、毒ガスってだけでも私びっくりしてるのに、何その知識!?何々どういうこと!?



<コトリ>

《Eシールドあるけど、機体が溶けたら面倒だ!

 高度を上げよう!》


「分かった……待ってなんか前から!!」


 と、多分アウローラちゃんの機体との間、霧の中何かが通り過ぎて行った。


「今の何!?」


<コトリ>

《映像見たけど、燃えてた?》


 と、今度は下からポンと何かが爆発して、微かにEシールドが減衰する。


<アウローラ>

『衝撃……?

 対空砲火!?!』



 パン、パンと花火見たいなものが弾けて、私のペラゴルニスとアウローラちゃん機に当たるけど……なんか弱い。



<コトリ>

《どうやら何が起こってるのか見えそうだ。

 毒ガスの隙間だ!!》


 そして、ボフンと白い煙を突き破って、久々の太陽の元に。



 ────ついでにすごいもの見ちゃった!





 砲撃。吹き飛ぶ、人のようなもの。

 なんせ、普通の腕とは別に4つぐらい腕があるし、なんかの機械に見えるものを背負ってるように見える。

 何よりその肌。

 真っ青とか真っ赤とか、そんな色で……人間の色じゃない。

 でも身体は、変なところ除いたらみんな女性みたいな感じがする。

 カメラで、溝みたいなもの走ってる人?の顔は額にも3つ目の目があるし、白眼も黒だけど……


 戦場だった。ただなんだろう?

 穴の中を走り回って、機関銃みたいなので敵を殺して……

 アレは、なんか他よりメカめかしいタコ風な生き物……より機械っぽい感じのする生き物、戦車かな??

 持ってる武器も、あ、レーザーかなアレ?

 でもなんか……なんか古臭い感じ。

 レーザが出るけど、持ってる部分は木というか……発信器もなんか配線剥き出しで……




<コトリ>

《毒ガス、戦車、そして航空機か。

 ご丁寧に塹壕まで》


「ヒナちゃん?航空機って……」


 ヒュゥン!


 煙から出てきたのは、空飛ぶイカみたいな機械。

 その中に、あの異形の人のようなものが乗っていた……こっちを3つ目用のゴーグルの奥から見てた。



<コトリ>

《この組み合わせ……地球だったらもう、2000年近く前の戦い……

 そう、第1次世界大戦だよ、まるで》


「…………やっぱりアレ、人間なの?」



<コトリ>

《人間、ってどういう定義だろうね。

 ただ、彼らは文明を持っているし、そして兵器を作る技術力はある。


 強いていうのなら、火星の今まであったことのない『隣人』と初めて会ったって事だ。


 …………マジかよ……!》





 異形の人達は、だけど私が逆だったらきっとそうするように、上を飛ぶ私のペラゴルニスに気づいて顔を上げていく。


 驚き、理解が追いつかない顔……あー、この頭部のカメラ性能良すぎて全部見える。




<コトリ>

《ハロー、遙かなる隣人達。

 いるとは……思わなかったよ》




「それね。

 アレが……もう一つの火星の住人なんだ」




          ***

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