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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 6

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MISSION 4 : 死を告げるメスガキ達







 今、私こと傭兵系美少女な大鳥ホノカちゃんの真上には、


 恐ろしいまるでガイコツみたいな細長い造形の、四脚型の謎の機動兵器がいた!






『────キャハハハハハッ!!


 なぁにぃ?まさか、撃たれるとか思っちゃったぁ!?』



 思わず身構えた瞬間、多分スピーカー越しにそんな甲高い女の子の笑い声が響いた。



『そぉんな、弱い者イジメとかしないから安心してよぉ〜?

 ただでさえ、普通に戦っても弱い者イジメなんだからさぁ?キャハハハハハ!!』


 おどけて機体の両腕を武器ごと上げてポーズする相手。

 ─────この動き、神経接続?

 強化済み……かな?




「なんだこのゲスな笑い声……!」


「でも優しいねぇ、私ならとっくに撃ってるしさ」


 隣の私並みのボインボインちゃん……たしかミコトちゃんのセリフに答えたら凄い顔された。なぜ?



「あの機体!!あれが……!!」


 で、もう一人にボインボインお姉さん、こと今回の依頼主の個々の土地の領主様、ヴィオラさんが髪の色より青ざめた顔で叫ぶ。



「アレが、ここのインペリアルのeX-W部隊を壊滅させた?」


「……ええ……!!

 あの悪魔が……!!」




『えー?悪魔に見えるぅ?

 この機体、名前もデザインも天使モチーフなんですけどぉ?


 あ、もしかして悪魔も元は天使でしたってヤツをかけた感じぃ〜?』




 こっちの呟きに答えた!?


 あ、いや考えてもみたら、相手って確かネオ・デザインドと同じかちょっと強い能力ってぐらいか。



 ネオ・デザインドビーイング。人工的な遺伝子組み換えで、ガワは人間の女の子だけど中の器官とか機能は全然違う。

 特徴は、原理は忘れたけど後ろに目がついているレベルの空間把握・認識能力と、人や生物の気配から表面上の思考まで読み取れる力。


 心の中まで読めるわけじゃないけど、ベラベラ喋ってる内容は聞いてなくても分かるらしい。




「ま、天使っていうなら、こっちにはそっちの上位互換な味方がいるけど」



 瞬間、相手の四脚に降り注ぐミサイル。

 相手は回避したけど、それも織り込み済みみたいな直角の曲がり方をして追いかける。




『この誘導!?サテライト!?』



『そう!!

 全方位兵器(アタッカーサテライト)技術応用ミサイルよ!!』



 ミサイルで囲んで、動きを制限した場所へスナイパーキャノン!

 けど、完璧な我が妹分の攻撃が避けられた!!


『この程度はできるか……!』



 だけど予想に範囲内みたいだ。

 あの⑧エンブレムの子の中量二脚が建物から飛び出す。レーザーブレード片手にね。


 同時に、ルキちゃんが自機ことバード・オブ・プレイの特殊兵装サテライトミサイルを発射して逃げ道を塞ぐ。スナイパーライフル撃ってる。


 さらに、別の死角からは当たると痛いプラズマキャノンを、⑥のエンブレムのもう一人が撃ってる。


 普通は大事故で誤射もあり得るけど、この3人はシンギュラ・デザインドビーイング。ネオ以上の能力がある子らだ。


 心も読めるレベルで一言も話さなくても多分連携もバッチリ。




『キャハッ!そう来なくっちゃ!!』





 ────でも敵の避けるのかそれをさ!?!



 プラズマキャノンを、背中の翼みたいだった機構が変形した高密度Eシールドで防ぎながら、アサルトブーストでドヒャアッとそっちへ避ける。


『次はどうするぅ?何するぅ!?』


 追撃は、⑧エンブレム機の重ショットガン。

 コレは即座に多分ストライクブーストに当たる長距離緊急退避用ブースターで距離を離して避けたけど、避けた先を偏差射撃したルキちゃんの機体⑥の機体の挟撃射撃をさらに大きく跳躍して避ける。


『今のは惜しかったかもね!!

 キャハハハハハッ!!いや本当惜しかったよぉ!?』






「なんて戦いだ……動きが全然違う……!

 だけど……やはり強い」


「…………これが、経験者ってやつ?

 私ら、出なくても良いんじゃ無い??邪魔になるだけ……」




「なんか、()()()()()()()んだよね、動きが」



 え、と領主様のヴィオラさんも、ミコトちゃんも変な声を出す。


「……ねぇ、領主様?」


「ヴィオラで良いです」


「じゃあヴィオラさん?

 あの今もひょいひょい攻撃を避けちゃってくれる相手、それに壊滅させられたあなたの領のインペリアルeX-W部隊、

 たしか……普通なら、そゆー……なんだっけ、軽量機なのは知ってるけど、それだっけ?」


 ちょっと気になったから、今も3対1で激しく撃ち合う妹達に内心謝りながら聞いておく。


「少し違います。

 けど……軽量機なのは間違いないわ」


「なるほど。武装は?」


「…………パルスレーザー武器を主軸にしていました。

 フレームはご想像の社とは違うから、高速接近戦主体の部隊と、私達遠距離狙撃戦主体の軽量機の編成だったの」


「ミサイル、使ってた?」


「え?

 いえ……生憎、経済的な事と、とある事情で使ってはいません」


「…………」




 …………妹よー、シンギュラ・デザインドで読心できる妹よー。戦いの最中だけど義理のお姉ちゃんの心を読め〜。


 ぶっちゃけ、今戦ってる君は、君の仲間のシンギュラちゃん達も気づいているだろうけどさー、


 ……いや、確かめる。それで良かったら意見をプリーズ。




「……ちょっと、どうしたの難しい顔して?」


「…………セヤナちゃーん。

 ファンタズマ・レギオンシステム、起動認証。

 ロジックパターン、617」



《オケまるやでー。

 PL-1、オペレーション開始や!》



 無線で、最近ちょっと言い回し変わった起動コードと一緒に、後ろでオルニメガロニクスが起動する。


「え!?勝手に動いた!?」


「PLシステムだよ。無人機としても使えるんだ」


 説明している背後で、今回の相棒AIセヤナちゃんの操作でオルニメガロニクスがジャンプして空を進んで、重い機体で建物を蹴って登っていく。


「アンタ、自分で操縦してたんじゃ……?」


「普段はね。ただ試したいこともあるし、何より便利な補助はあった方が楽だよ」


 さて、狙撃ポイント到達。

 セヤナちゃん操るオルニメガロニクスが後ろ脚のアンカーを打ち込んで、狙撃開始。


 ズドォン!!


 スナイパーキャノンが炸裂!

 でも避けられた。やっぱり。



「ダメです!相手の機動性はこちらの狙撃を避けます!!」


「ああ避けたね。トリガー引く前に」


「え……?」


「ルキちゃん!見た今の!?」


『見てないどころかさっきから不気味に思ってる……!

 まさか、相手は予知能力でもあるっていうの!?』




『それ大正()ぁぁぁぁぁい♪

 この、『ジブリール』には予知能力があるんだよぉ!?キャハハハハハッ!!』




 まさか、本人が答え合わせだなんて!

 しかも、3人シンギュラちゃん達の攻撃を避けなながらなんて、魅せてくれるじゃん!?



『予知だと!?』


『正確にはぁ?

 この私の機体、『ジブリール』の高速演算能力を利用して、周囲のレーダーや光学情報、熱、音波あらゆるセンサーからのアクティブ、パッシブ両方データから得た最も確率の高い統計データを私たちの脳に送るシステム……


 それが、無敵の予知システムの正体だよっ♪』



『えー、何それ絶対キツイじゃん。

 常人じゃそんなデータ脳に送られたら知恵熱で寝込むの通り越して物理的に脳みそパンクしな〜い?』


 ⑥の子の言うとおりだ。私なら、脳みそスカスカなのに多分もっとスカスカになりそうな、脳の健康に悪い感じのするシステムだ……



『そう。だからぁ、大昔このシステムがあの地球から持ち込まれた時、無かったことにされたのがこのシステム……

 普通の弱弱オールドタイプ人間さんみたいなザコザコ〜な脳みそでも、型落ちネオでも脳がやられちゃうからねぇ〜?キャハハハハハ、使えなくて可哀想〜!』



 使えなくてラッキーと思っているのは内緒だ。

 でも、使ってくると厄介なものだな、これは……!



『ふぅ…………でも正直、君ら舐めてたよ。

 シンギュラ・デザインドビーイング……特異点的な遺伝子改竄をした結果、本来はもう死んじゃうほど病弱になる代わりに、この戦闘力……


 人造のイレギュラー。

 でもそれってもう天然物のイレギュラーと違いなく無い?』



『……知っているのか、イレギュラーの事も、私たちも』



『知ってるよ?

 だって、』



 ドヒャァッ!!!


 一回、アサルトブーストの音と共に、あのガイコツじみた細い四脚の機体が消えた。



『私達は、お前らの『絶滅』の為に来た!』



「後だルキちゃん!!」



 何すっとろい事言ってんだ私は!?

 もう後ろにはいない、上でレーザーライフル構えてる!

 発射……した瞬間には近づいてたケルヴィちゃんの⑧機体に左腕のレーザーブレードでレーザーブレードを相殺している!


 この瞬間にストライクブーストみたいな機構で撃とうとしていた⑥の子に蹴りを入れた!!


 先に読まれて先に潰されてる!!



『キャハハハハハッ!!!

 でも、コレで倒しきれないあたり流石だねぇ!?』


 とはいうけど、全員攻撃はやめない!!

 潰されようと避けられようと……攻める手を緩めない!


『ネオツー・デザインド、だったな。そっちは。

 あまりみくびるな、我々を。

 我々は……人造のイレギュラーを望まれて生まれたんだ!』


『にしてもイレギュラー殺しだなんて何のつもり!?

 殺されてやるわけにはいかないけど!』


『……いやでもこの人っていうか、機体強くないかねー?

 1対3で互角かー……ニオちゃん面倒くさいなー?』



『キャハハハハハ!!

 まぁそうだよねぇ!?このままじゃお互い勝てないよねぇ!?


 だったら……やることは一つ♪』



 何を……とか考えてる暇あれば、こっちの何か知ればよかったって言う事態が、やってきた。





『みんなー!出番だよぉ〜!!!』





 飛んできたミサイル。別方向からだ!!

 避ける3機のカメラに映るのは……!




『プロフェシー3、遊びすぎだぞ〜?』


『私達の出番が遅すぎるよ、プロフェシー3?』




 超高速で接近する、

 同じ機体が3機。



『ごめんごめん!昨日プロフェシー1だけ出撃してなんとかなったしさ〜、できると思っちゃって!


 でも、やっぱ今日は真面目にやろうか。

 キャハハハハハッ!!!』




 こりゃまずいな……!



「あんなのが3機も!?」


「よし。セヤナちゃん、手伝っておいて。

 私らも行こうか」


「は!?あんなのと戦う気!?」


「…………負けると分かっていても、それでも……

 戦わないで死ぬよりはきっと……!」


「いや何言ってんのさ。

 相手はもう弱点自白してるじゃないか」


 え、と二人が言う中、まずは放っておいて震えていた新人3人の方へ向かう。


「ジェネレーターとブースターは変えた?」


「は!?また戦うの!?」


「じゃあこのままうずくまって死ぬかい?

 ここも、コックピットの中も被弾するリスクは変わらないよギャルちゃんさんや」


「無理ですよ!!さっきから聞いてたけど、あんな相手!!」


「いや、アイツらは囲んでボコボコにすれば勝てる。

 じゃなきゃ、1対3でも戦えてたのに救援は呼ばない」



 …………言ってアレだけど、希望的観測も分かるなコレは……


 ただ多分だけど、あの未来予測機体は……

 多分だけど、人間の脳が耐えられないらしいなら、耐えられているあの子らでも長時間は無理だ。

 まして、何度も何度も集団で予想させる攻撃を絶え間なくやればあるいは……


「で?

 アンタの機体は勝手に戦ってるじゃん。

 どうする?」


 なんて追いついたえっと、ミコトちゃんが尋ねてくる。



「もちろん!

 ……領主様、余ってる機体貸してください!」


『えぇ!?!』


 と言うわけで、武装と弾薬費を持ってくれるヴィオラ領主様大明神に頭を下げる!


「……正気ですか?分かってるとは思いますが……

 あなたは狙撃が得意な傭兵(スワン)なはず。


 でも今出せるのは……」


「なんでも良いんで!なんでも乗りこなしますから!」


「んな無茶な……」


「いや実際なんでも乗れるようなちょっと変な傭兵(スワン)で通ってるんだこっちは」



 実際、大体の脚は乗れるし、最近は真面目に近距離戦、近接戦してるんだよね!




「…………良いでしょう。

 傭兵(スワン)、私はここの新人傭兵達を率いて先に行きます。


 …………あなたも強化済みの身体なら、網膜にルート情報は出るはず」



 と、なんと自分のこめかみに片手を当てたヴィオラさんの言葉と共に、ルート情報が表示。

 結構この人も身体強化手術してるな……



「行ってください。そして、我が領の機密を知った上ですぐ戻るように」


「…………了解でーす」



 よしじゃあ、この表示ルートの通りに行こう。


「じゃ、新人ちゃん達頑張れ!

 あ、カモメちゃんも一応ついてきて!

 私は、機密とやらを見てくるよ!」



 てなわけで、真上で始まっちゃった砲撃戦の中、戸惑うみんなをヴィオラさんに任せてスタコラサッサ!


 何を見せようと言うのか、まぁ機体くれるならなんでもだ!!




           ***


「コイツ、上手く避けてくれる!!」


 バード・オブ・プレイの中、凄まじい高起動空中戦を仕掛けてくる敵四脚型機動兵器「ジブリール」のガイコツじみた姿に狙いを外され、ルキは舌打ちする。



<プロフェシー3>

『キャハハハハハ!!!

 それでも狙ってくるんだぁ……ザコとは言えないね!!冗談でもさぁ!!』


 凄まじい速度でレーザーブレードが迫る。


 しかし、突如避けた相手の位置へ狙撃の為の弾が掠める。




<ティア>

『婆さんの手はいるかい、お嬢ちゃん型?』



 見れば、姉を助けた黒い逆脚機達がやってきた。



「いる!あとで肩たたきでもなんでもやるから!!」


<マリー>

『聞きましたかい、隊長?

 ちょうど節々が痛いと言っていたじゃないですか』


<マシュ>

『アタシゃ、その一言でやる気が出たね』




<プロフェシー2>

『盛り上がってきたねぇ、シンギュラに死にかけのオールドタイプ人類……何分持つかな?』



<ケルヴィ>

『劣勢だなルキ。どうする?』


<ドミニオ>

『なんか、お昼寝じゃなくて永眠かもね〜……強敵かぁ、久しぶりってやつ』


「……お姉ちゃんなら依頼料のために戦うわね。

 ええ……私が知る限り最強のイレギュラー傭兵(スワン)なら……!」



 ルキは、内心義理の姉に祈る。

 早くきて、と。

 さもないと、先に倒してもこちらは構わないにだからと。



「やるわよ……みんな気合いを入れて!」




           ***



 ────そして、上の戦いが始まる中、


 私こと傭兵系美少女な大鳥ホノカちゃんたちがたどり着いた建物の地下、そこには……!




《おや?

 上が騒がしいからそろそろ誰か来ると思えば。

 ランク9、大鳥ホノカ。あなたがくるとは意外なのです》


 そこはガレージ。

 そして浮かび上がる、ちょっとアイドルチックな格好のホログラムな3Dアニメ調な女の子は……あれ確か……!?



「アヤナミちゃん、初めまして。こちらの大鳥ホノカさんのオペレーターの、」


《カモメでしょう?ソレイユモデル。

 情報ぐらいは、AIである私は全てサーバーにあるのですよ》


「アヤナミちゃんって……たしかアヤナミマテリアルのマスコットキャラクター……?」



《兼、アヤナミマテリアルバーチャルCEO。

 それが私こと、アヤナミマテリアルの中枢AIたる存在の肩書きなのです。


 まぁ、地球のオリジナルとは元がオーダー管理者と同じタイプの自律型AIなので違いますがね》



 では改めて、とアヤナミちゃんは私達に向き直る。



《ようこそ、アヤナミマテリアル最大の工場へ。

 もちろん、サービス万全の我がアヤナミマテリアルは、直営店もここに備えているのですよ?





 さ、傭兵(スワン)

 ご注文(オーダー)をお聞かせ願うのです》





          ***

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