カルト集団本部鎮圧戦 30 vs無貌の悪魔
俺は自らの結晶装備である黒いナイフを力強く握りなおした。
12年前に起こったダンジョン災害。
これによる被害者は少ないものでは無く、今目の前にいるこいつはそれを引き起こしたもの達の一部らしい。
腹の奥からどす黒い怒りの感情が溢れてくる。
しかも話しを聞く限りこいつみたいな奴が他国にもいるらしい。
日本でこのレベルならもっと人口が多く、沢山の人が亡くなった所は一体どうなってしまうのだろうか?
そんな心配もあるが、今は目の前のこいつに集中しよう。
今分かっている事は、奴は自らを無貌の悪魔と名乗り魔王を自称している事。
切り刻んでも再生する驚異的な再生能力がある事。
壁から生える肉の触手を操れる事。
ざっとこんな所だろうか?
肉の触手以降奴からの動きが無いため、攻撃能力や行動速度何かの情報は未知数だ。
しかし、溢れる膨大な魔力と気配から強敵であることは予想される。
俺の攻撃を受けたのも、そもそも避ける気が無いといった印象を受けた。
目と思われる器官が見えないため分からないが、こちらの攻撃には気付いていたように見える。
「おや?あまり驚かれてないようですね?悪魔ですよ悪魔。魔王ですよ魔王。もっと何かしらのリアクションがあってもいいでしょう?せっかく自己顕示欲の強い馬鹿や頭の悪い餓鬼を騙してここまで力を手に入れたのに、これではあんまり実感できないですよ?」
「騙してとはどういう事だ?」
「んん?そこに興味がおありですか?そのまんまの意味ですよ。貴方方で言う適合者の中で力があるも現状に不満を持つ者や、親が死んで放り出された者に少々細工を施し能力を強化して、ついでに各々の欲望も増幅させたんですよ。そしたらあら不思議もっともっとと私に縋り付いて来るでは無いですか。そしたら後は分かりますね?」
表情は分からないが口の様に開いた空洞が弧を描いて釣りあがっている事から、おそらく笑っているのだろう。
聞きたい事はまだまだ沢山あるが、奴の話を聞くだけでどんどんと気分が悪くなっていく。
話を聞く限りでも碌なものじゃない。
一刻も早く奴を討伐しなければならない。




