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カルト集団本部鎮圧戦 17  vs狐塚 強&鰐淵 美楽

その目はどこか憂いを帯びていた。



彼女は抵抗を諦めたのか、静かに横になり手に持ったエネルギーバーの包装紙を見あげている。

好奇心が出たのでもう1つエネルギーバーを取り出し、包装を開けて口元に差し出すと彼女は迷うことなく食いついてまた食べ始めた。


ふぁみ()?」

「よほど気に入ったみたいだな。ゆっくり食べると良い。」

「うん。」

「ワニさん。なんで敵に絆されているんですか?」


彼女が目を輝かせながら食事する様子を見ていると、狐の容貌の男性の声が聞こえてそちらに目を向ける。

そこには腹を抑えながらフラフラと立ち上がる男性の姿が見えた。


それと同時に彼の魔力に黒い影が混ざって行くのが視えた。

その黒はどんどん広がっていく。


ふぁべほのくへた(食べ物くれた)ひいひと(良い人)。」

「何を言っているかはわかりませんが、碌な事ではない事を言ってないのは分かりますね。」


彼の声はどこか無機質で感情を感じられない。


「まぁいいです。おかげで私も覚悟が出来ました。」


そう言うと彼女に向けていた視線を俺に向け、彼から大量の魔力があふれ出してくる。


「貴方ならご存じかもしれませんが、結晶装備の真髄をお見せしましょう!」


両手を広げて演劇じみた身振りと共にあふれ出た魔力が一気に黒く染まり、彼の身体に吸い込まれるように入っていく。

そして魔力が全て彼の中に納まった瞬間、すごい量の魔力の奔流が起きた。


俺は踏ん張って飛ばされない様に耐える。

視界の端で横になっていた彼女が転がりながら部屋の隅に飛ばされているのが見えた。


奔流が止む。

彼の姿は砂煙に紛れて見えないが確かにそこに居るという存在感と大きな魔力を感じる。


「いやはや、参りましたよ。まさか神殿内でこの力を使う日が来るなんて思ってもみませんでした。けどしょうがないですよね。あの時みたいにまた大切なものを奪われようとしているんですから。きっとあの方もお許し下さるでしょう。」


砂煙が晴れて彼の姿が現れる。


「知ってますか?あの方はこの力を『()()』と仰ってました。適合者の中でも限られた者にしか使う事が出来ないそうです。あぁ、力が漲るようだ。」


そこには黒い狐の面を被り、溢れる魔力に陶酔しているのかの様な声を出す彼の姿があった。

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