カルト集団本部鎮圧戦 9
そこには外から見た元民宿の大きさからは考えられない程広い空間が広がっていた。
中は洞窟の内部のように土の壁に囲まれた空間になっていた。
その空間の先には土の壁を掘って造った様な建造物があり、まるでペトラ神殿のような造りだ。
見える範囲には人の姿は無く気配や魔力も感じられないが、この組織が所有する例の布があるので油断は出来ない。
細心の注意を払いながら入り口に近付く。
入口から中を覗き込むが人はおろか生き物の姿すら見えない。
目に見えるものは通路のようになった内装で、通路の左右に扉が1つづつと、まっすぐ伸びた通路の先に1つ扉がある。
3方向に扉の付いた通路はどこか見覚えがあるような無い様な、どことなくお偉いさんの孫の救出作戦で潜った旧新宿駅ダンジョンに似ている気がする。
似ている気がするだけで廃墟と遺跡で色味なんかも全然違うのだが何とも不思議な気分だ。
まあ、遺跡も見方や考えによっては廃墟と言えるのかもしれないが、その事は一旦置いておこう。
整えられた通路を気配と足音を立たせないよう静かに進み扉に聞き耳を立てる。
最初は右側の扉。
中から音は聞こえてこず何か生き物がいる様な気配はない。
音が立ててないよう慎重に扉を開いた瞬間、肉の腐ったような異臭が立ち込め咄嗟に息を止める。
ガスマスクを瞬時に被り開けた隙間から中を覗き見る。
少し薄暗い空間がありそこまで広くはない。
その空間には紫色や腐って緑色に変色しているような何の肉か分からない肉の様な物が散乱していた。
錯乱している物体の奥、部屋の角に山盛りになった様な肉の塊が置いてある。
しかしよく見るとその肉の塊は呼吸をするかのように脈動しており、普通で無いことが分かる。
人肌のような色の肉の塊、よくよく耳を澄ませてみると静かな寝息が聞こえてくることから何かしらの生き物だという事が分かる。
家畜用かごみ処理用か、はたまた前に見た例の肉の塊のようなモンスターの幼体のようなものか…。
前のモンスターのような存在なら移動能力はほぼ無いためスルーで良いだろう。
下手に攻撃してこちらの存在を察知される方が厄介だ。
俺は静かに扉を閉じ次の扉に向かった。




