カルト集団本部鎮圧戦 1
例の筑波山ダンジョンでの騒動後、身柄を確保した男はこちらの質問に比較的素直に答えてくれた。
男の名前は熊谷 太一常に気怠げで覇気を感じないし少々だらしない性格をしている模様。
彼は取り敢えず潜行者専用の矯正施設に身柄を拘束し、今は軟禁状態にしている。
表向きの拘留理由はダンジョン内への無断立ち入りと部隊員への攻撃であるが、今は第六部隊の説得()にあい情報を提供してくれる存在となっている次第だ。
現在俺はいつもの書類仕事をこなしながら追加の情報がないか待っている状態である。
出てくる情報次第では対策チームを立ち上げ、白装束のメンバーを捕まえる作戦に出なくてはならない。
穏便に済むよう過激な情報が出て来ない事を願うが、あの動画を見る限りそうは行かないだろうなという確信めいたものを感じざるをえない。
待ってる間に何度溜息を吐きそうになった事か…。
「邪魔するのだよ。」
そんな事を考えていると、ノックと共に百合が入ってくる。
俺は冗談めかして言う。
「おいおいまだ許可は出してないぞ。」
「やあやあ相棒。久しぶりの対面だというのにご挨拶なのだよ。それにボクと相棒の仲だろう?今更なのだよ。」
勿論冗談だが悪びれる様子も無い彼女の様子に少し安心感を覚え、口元が緩むのが分かる。
相変わらず何を考えいるか分からないなこの天才は。
「それもそうだな。」
「そうなのだよ。」
俺がそう言うと彼女は自慢げに胸を張りドヤ顔を決める。
元気そうで何よりだ。
「いつも楽しそうだが今日はいつもに増して機嫌がいいな、なにかいい事でもあったのか?」
「そうそうそうなのだよ!ボクはその件で今日ここに来たのだよ!これを見るのだよ!」
そう言って彼女が取り出したのはいつぞやの指輪と白い布。
どちらもとても見覚えがある代物だ。
「おい、まさか…。」
「いやはやボクに預けて正解なのだよ!」
これに続く言葉はあまり聞きたくないかもしれない。
「この2つを組み合わせて使うとそれはもう高いレベルの隠蔽性能を発揮するのだよ!」
「おうふ。」
少し考えれば分かる事だった。
外せなくなる呪いがあるとはいえ姿と魔力を消せる指輪に自身の魔力等の情報を隠す白い布。
例の組織が操っていると思われる肉の塊のようなモンスター。
そのモンスターから手に入れたこの指輪。
白い布は何処から来たかまだ分からないが、彼らはその出所を知っている。
俺は耐えきれず溜息を吐くのだった。




