カルト集団ダンジョン事変 あの時あの男に何があったのか
男は最初この作戦に乗り気ではなかった。
外に出るのが只でさえ面倒なのに、このダンジョンにおいて大量のモンスターを発生させ操り、面倒を見ろと言われたのだ。
出来れば何もしたくない性分である彼は、急に言われたこの任務に面倒くささしか感じておらず、流石に働かなければ追放されるといった段階でようやく動いた次第だ。
なのでこの作戦による男のモチベーションはとても低い。
「めんどくせー、なんで俺がこんな事を…。しかもさっきから上がうるせぇ。対策本部の連中か?リーダーには存在を気取られると言われてたな。あぁ、めんどくせぇ。」
男は少し考えて、最近対策本部が廃棄予定ダンジョンの完全攻略作戦を行っている事を思い出す。
「え?じゃあ奥まで来んじゃん。ここの事バレんじゃん。は?なにそれだる。」
そしてまた少し考えて周囲を見る。
大量の紫色のサソリ型のモンスターがこちらを見ている。
「これだけいればワンチャンいけんじゃね?モンスターにやらせればうちらの仕業じゃなくて事故で片付くだろうし…。俺って天才では?」
こうして大量のサソリ型モンスターを向かわせたのだが、思惑通りにはいかない。
男が思っていたよりも殿として残った対策本部の部隊が奮闘し、撤退を許してしまったのだ。
「くそっ!」
近くのモンスターを殴りつけ、男は怒りを露わにする。
自身の存在はバレなかったが、確実に増援を呼ばれている事だろう。
隠密性を優先するならば即撤退しなければならないが出入口は対策本部の者達が押さえているだろうし、ここを放置するわけにもいかない。
任務と保身の板挟みになってしまっていた。
だが悪い事ばかりではない。
余りにも手こずっているから見に行けば、そこには適合者がいたからだ。
彼等はある都合で生きた適合者を求めていた。
モンスターを使い弱らせ、魔力を吸い尽くし気絶させ確保し、残りの人間は適当にアリの巣に転がしておいた。
このまま適合者を連れ帰ればこの失敗も覆せれるのではないかと今回の事を愚痴りながら思考する。
背後に既に救援に来た者が潜んでいると気付かずに。
その後適合者と自身を隠蔽していた布を奪われ追いかけるも、彼を待ち受けていたのは魔力の爆発。
上空と足元からもたらされる爆発音と破壊、当たり所次第では一撃でサソリ型のモンスターをバラバラにする威力を有するそれが至る所に降り注ぎ、時には足元で炸裂するのだ。
所々にモンスターのパーツと体液が飛び散り地獄の様相で、度重なる爆音に男の耳も聞こえなくなってしまっていた。
目の前のモンスターが爆散し体液が男にかかった。
「あっ、ああぁ!!」
男の中で何かが壊れる音がした。




