表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/57

裸シャツ

 そうして道中で24にLvアップした。

 着実にLvは上がってきている。

 地味にグラファイトゴーストって経験値よりも職業コアの経験値が多いとか法則がありそう。

 ああ、フナの方ももちろん倒している。

 逆にヤシの木に擬態した魔物の方が生息数が少ない。

 このままじゃユニークドロップは狙えないかな?


 まあ……同じ種類の魔物から別のユニークを落とす事もあるみたいだけどさ。

 その辺りの法則ってどうなっているのだろうか?

 ……気にしてもしょうがないか。

 なんて思いながらボスの所に行くまでにロザリーに調査して貰って落ちてる物が無いかを探す。

 リーゼが途中で傷薬に使える海藻を発見したので採取した。


『リジェネ昆布』★★★ 付与効果 継続治療


 食べ物……ではなく、傷に張りつけると時間経過と共に傷の手当てが出来る代物らしい。

 出来そこないの湿布?

 錬金科に持っていけば前回持ち帰った薬草類と組み合わせて急速回復の湿布が作れるらしい。


 こう……切断で腕とか飛んだ時に接合する様に張りつけると、後遺症無く治療できるとか何とか。

 大きすぎる傷は継続して回復魔法をかけなければならず、こう言った薬物が役立つんだとか教えてくれた。

 俺も似た様な処置をされていたらしい。

 本当にありがたい話しだ。


「ムウ?」

『フェーリカに調合をお願いする? 同じ海藻を使うと、塗り薬になるよ?』

「合成じゃないんだよな?」

「ムウ!」


 フェーリカが頷く。

 割と手先が器用だよな、フェーリカって。


『だけど専門って訳じゃないから失敗するかも知れないよ』

「……じゃあ良いかな、勿体ないし」

「ムウ……」


 あ、残念そう。

 ちなみにフェーリカは現在、Lvが84まで上昇している。

 レイオン曰く、世界最強の合成獣! とかフェーリカを褒め称えていて、俺の後ろで絶賛照れてる。

 このまま90辺りまで上がった後、どうなるかが見ものだ。


 ゴジョの方はLv68って所だ。

 着実にLvだけは上昇して行っている。

 ちなみにお腹がずっと減っていて、ヤシの実を与えて誤魔化している。

 なんか……まだ大きくなって来ている様な気がしてならない。


「しかし……思ったよりも魔物が多いな」


 ゲート方向へと行けば行くほど、魔物が出てくる。途中、休憩を挟む事数回。

 出発時刻から考えるに、もう半日は進んだだろうか?

 遠浅の迷路みたいな空間だからか、思ったよりも進みづらい。

 ゴジョに海を泳いで近道するか考えたけど、水中で魔物と戦うのが一番怖いだろう。

 道中ヒヤシンスフナが群れで出てきた時は冷や汗が出た。


 まあ、鉄の剣に持ち替えてパワースイングで揃って仕留める事が出来たんだけどさ。

 グラファイトゴーストとかと群れて来る事も多いし……。

 フナシャツが三着くらい出た。

 俺しか装備出来ないからどうしたものか。


「リーゼ達も装備出来たら……ないな」


 こんなシャツをリーゼ達が付けている姿は見たくない。

 レイオンは似合いそうだけどさ。

 ロザリーは胸が目立ちそう。


『セイジさんがくださって私が着用できるのでしたら喜んで着ますよ』


 リーゼの台詞が更に返答を悩ませる。


『リーゼ、そこはシャツだけ着てセイジに見てもらうのよ』


 ロザリー! お前、なんて事を言いやがる!

 俺の脳内に、リーゼがシャツだけを着ている……下半身がノーパンのリーゼが浮かぶ。

 想像している物もリーゼにはばれてしまうか?

 しかし、等のリーゼは気づいていない。


『え? 確かに着るなら良いですけど……』


 思っている事を見抜かれなくてホッとすれば良いのか、それとも期待して生唾を飲めばいいのか。

 なんて言うのだろうか……こう、何でも渡せば着てくれる女の子だけど、俺は変態じゃない! 紳士だ!

 変態紳士ではない。


『本当に? 約束よ? 着れないなら同じデザインの服を作るけど良い?』

『ロザリー、なんでそんなに拘るんですか?』

『アレじゃない? セイジが喜んでくれるからじゃないかな?』

『シャツを着る私を見てですか?』

『そうそう。なんなら鏡を前にして、今すぐ……胸をポロっとさせると良いわよ!』


 あ、リーゼが首を傾げている。

 なんで胸をポロっとって感じに眉を寄せて考えてると思う。

 若干視界が歪むので、ロザリーの意図に疑問を持っているのがわかる。


「ロザリー、その話題は程々にしてくれない?」

『なんでよーセイジは見たくないの? リーゼのシャツ姿』


 見たいです!

 けど、それを肯定するのはいけないと思う。

 そもそも俺はリーゼと清い交際をしていたいの!


『しょうがないわねーじゃあ私が先行でセイジに見せて、あ・げ・る。リーゼ、私を見ておくのよ』


 とか言いながらロザリーがリーゼの部屋でスカートを降ろそうとした。

 俺は視界を自分側にシフトさせる。


『――!? そういう事ですか! ロザリー!』


 そんな所で、リーゼが意味に気づいてロザリーを追い掛け始める。

 あ、ロザリーが爆笑しながら走って行った。

 人がゲートに潜っているのに、楽しそうだなぁ。

 まあ、こっちも十分注意はしてて余裕があるからだけどさ。


『リーゼもセイジを誘惑する術を覚えないとダメよ。じゃないといつか誰かに取られちゃうんだからね!』

『セイジさんはそんな軽い女性に誘惑なんてされません!』

『どうかしらー! ね? セイジ』

「俺を巻き込まないで!」


 リーゼの裸シャツ姿の妄想よ! ロザリーと共に去れ!


「ムウゥウウ!」


 そこで魔物を仕留めていた所でフェーリカが大きく鳴いた。


「なんだ? 何かあったか?」


 見ると特に異常は無く、フェーリカが胸をただ、張ってるだけの姿だ。

 何を言いたいのだろうか?


『うわ!』


 そこでレイオンが声を大きく上げる。


「何かあったのか?」

『えっと……セイジ。フェーリカのLvが凄い事になってる』


 確か前回の冒険で数時間潜っただけで65まで上がったんだったか?

 で、今日途中で確認した所で84。

 リーゼ達と雑談しながら魔物を仕留めていたらどうなったんだ?


『なんとLv95だよ!』

『きゅ……95!?』


 リーゼの声が裏返る。

 そう言えば出撃前にこの世界のトップの者が90前後って話をしてたよね。

 つまりフェーリカはそんな連中に僅か三日で追い付いて、追い抜いてしまったという事か!?


「ムウウウ……」


 だからポージングをしてたのか。

 自分最強ってばかりに。

 ただ、俺の戦いを見てただけに等しいのにな。


「ムウ……ムウウ」


 ただ、その後、途端にテンションが下がっている。

 どうした?


『これだけLvがあるのにセイジの戦いに追いつけないのが歯がゆいってさ』

「クアクア!」


 それは……しょうがないでしょ。

 他に手があるなら十分にやって欲しいけど……。

 ゴジョも現在82だそうだ。

 どんだけ上がって行くんだろう。


 そんな感じで馬鹿な事をしつつ出てくる魔物を倒しながら進んで行くとオイルタイマーの矢印が大きくなり、目当ての次の階への門が見えてくる。

 腿くらいまで海水に浸かった広めの場所にある。


『海中にゲートが無くて良かったですね』

『そうね。海フィールドだけど遠浅だから運が良い方よね』

「ちなみに海中の場合はどうするの?」

『水中を移動する為の道具を使用したり、最悪泳いで行く事になりますね』

『フィールド変化を待つって選択肢もあるわ』

『完全水中没フィールドだと不思議と息が出来る事もあるって話だよ?』


 ふむ……三人の話だと一概に言えるものじゃないって事っぽい。


「それでリーゼ。やっぱゲートを守ってる魔物がいるみたいだ」


 俺は遠目で確認する。

 既にリーゼが偵察をしているからどんな魔物なのかはある程度把握している。

 念の為どんな名前なのかって確認しないと行けない。

 あっちも見晴らしの関係か気づいているっぽいし、縄張り内に入ったら間違いなく襲ってくるだろう。


 グラスグリーンケルピーという……半透明の下半身が魚みたいな馬だ。

 正面は、ぶっちゃけ馬……なんだけど俺の剣の属性的に相性問題は大丈夫だろうか?


「グラスグリーンケルピーだってさ」

『ケルピー……資料にありますね。水属性の魔物で中ボス……深い階層だと通常出現すると聞きます』


 リーゼが観測範囲でスキャンを施して、どこが弱点なのかアナライズリングに伝達する。

 コアは額にあるっぽいな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ