(25)『ミキリの魔眼』
その世界は一言で砕け散った。この世界が、かつての友の一言で塗り替えられたように。
そして、少年は同じように壊すことになる。目の前の少女のただ一つの縋り付く世界を。
「もうへばってんのか、ギルドリーダーさんよォ!」
いちいち癇に障る声で、大剣を軽々振り回す男[ミキリ]が怒鳴る。
「うちのリーダーとはえれぇ違いだ! 情けねぇにもほどがあるぜ!」
「お前んトコのリーダーはただの化け物だろうが」
最初におかしいと思ったのがいつかと訊かれれば、まず間違いなくこの辺りだった。
戦闘が始まってから、かれこれ三十分程経過している。恐らく俺よりレベルの低いミキリからすれば一瞬たりとも気が抜けないガチバトルのはずなのに、先にバテてきたのは俺の方。それどころか、ミキリには疲れの色も見られない。最初からずっと同じテンションのまま、衰えることのない挙動で幾度となく激しい連撃を繰り出してくる。
アンダーヒルからの援護射撃が音沙汰無しなのもずっと気になっている。ミキリの見ている前で呼ぶわけにもいかず、他に敵がいないのを祈るばかりだ。もっとも、たとえ他に誰かいたとしてもあのアンダーヒルがそう簡単にやられるとは思えないが。儚は別として。
「そろそろ終わりにしようぜ。一人頭三十分で片付けねぇと晩メシに間に合わねぇんでなァッ!」
「後ろの雷犬を狩るのに一匹辺り三十分もかかるのかよ、お前は」
俺の挑発を意に介する風もなく、〈*神ヲモ蝕ム剣〉を上段に大きく振り被ったミキリは俺が〈*群影刀バスカーヴィル〉で受けようと上げる寸前で急に剣を引き、
「行くぜ、オラぁっ! 【炎馬落天脚】!」
爆炎を伴う飛び膝蹴りのスキルアーツを使ってきた。
「その程度のフェイント、刹那がたまにやってるぞ」
俺は苦もなく群影刀をあてがってその威力を受け流すと、すぐさま〈*大罪魔銃レヴィアタン〉をミキリに向けて引き金を引く――――パァンッ!
「ぐッ……」
右脇腹に被弾したミキリの身体が一瞬沈み込む――が、
「んな攻撃、痛くも痒くもねぇぜッ! テメェの本気はそんなもんかっ!」
ミキリはすぐに態勢を立て直し、さっき引いた剣を大きく横薙ぎに振るってくる。
おいおい、嘘だろ。四五口径のリボルバー弾が脇腹に当たってんだぞ。
貫通してしまう自動拳銃の軽い銃弾とはわけが違う。重い分貫通性能は落ちるが、その分体内に残り、ストッピングパワーに長けているということだ。銃創の響き方が違う。
脇腹は殺傷力に関しては然程期待できないため忘れられがちだが、銃撃戦で重要な弱点の一つだ。何故なら骨がなくまた人体の構造上ガードが甘い。出血量は然程多くならなくてもそれを軽視すれば後に影響し、治療行為の隙ができることもある。戦争のように相手を排除することが重要な戦闘ならともかく、FOでは相手に一時的な行動阻害を与えられる有効な手段なのだ。
「ハカナが目ェつけてるからどんなもんかと思ってりゃこんなもんかぁ!? くっだらねえ、興醒めだぜ」
リコといいコイツといい似たようなことばっかり言いやがって、頭に来るな。
「テメェなんかが頭張ってんだ、アルカナクラウンも大したこたぁねえわなぁ!」
「少しは口閉じてられないのか、お前?」
「はッ! ベータテスターが何だってんだ! テメェらなんざ烏合の衆だッ! テメェら全員倒したらなぁ、俺はハカナにこう言うつもりなんだぜ。道化の王冠なんつう名前は変えろってなぁ。道化はテメェらの方がお似合いだろってな!」
ああ、そうかい。お前が口を閉じないんならこっちから無音にしてやるよ。
「そういや、確かあったよなぁ。アルカナとかタロットカードみたいなやつにも愚者っつーのが。ぴったりじゃねぇか、こりゃ最高――」
「【0】」
これでコイツの喧しい声を聞かなくて済む静かになる――――そう思った瞬間、視界にピシリと亀裂が走った。
「……え?」
まるで鏡がひび割れて、映っていた景色が徐々に乱れて崩れて砕けていくように無数の亀裂が目の前の全てを侵食していき、ありえないはずの光景を見せられた脳が拒絶反応を示すようにずきりと頭が痛む。
「くそ……いったい何を――」
頭を押さえながらミキリにこの事態を問い質そうと前に向き直った途端、俺は思わず言葉を失った。
そこには、誰もいなかった。
無数に入ったひびが繋がって大きな亀裂となり、まるで空間自体を抉ったような異形の爪痕にも見えるその隙間の向こうには恐ろしく暗い世界が果てしなく広がっていた。
「何、だよ……コレ。何なんだよ……!」
無意味な悪態が口を吐いて出る。
目の前の光景が理解できないと言うのはこんなにも気持ち悪いものなのか。まるであの時の悪夢のような光景だ。ハカナに斬られて、世界が崩れていくあの夢の――
「何なんだ、ちくしょうッ! 出てきやがれ、ハカナァァァァァァッ!」
思わずそう叫んだ瞬間、無数のピースが弾け飛ぶように世界が割れた。しかし、後に残ったのは何故かまた同じように色付いた世界――碧緑色の水没林だった。
「いったい、何が……」
不自然に構成されたかのように見えた世界なのにまったく違和感を感じなかった。そして俺は目の前の光景を改めて認識し、背筋が凍るような思いと共に再び絶句する。
そこにいたのは何処となく見覚えのある片手剣を振り上げる見知らぬ少女、そしてその少女の足下に倒れている黒ローブ姿の人影――アンダーヒルの姿だった。
「アンダーヒル!」
立て続けに突きつけられた理解できない状況にフリーズしそうになる頭を叩き起こし、咄嗟に太腿の帯銃帯から大罪魔銃を引き抜いて引き金を引く。
パン、パン、パァンッ!
リボルバーの銃弾三発を無警戒だった背中に受けた謎の少女は驚いたように目を見開いて振り向くと、よろけて倒れそうになりながらもアンダーヒルのいる場所から数歩歩いて離れ、力尽きるようにへたり込んだ。
それを確認した俺は少女の方に警戒意識を残しつつ、すぐさまアンダーヒルに駆け寄って助け起こす。
「大丈夫か、アンダーヒル」
そう声をかけると、ぐったりとしていたアンダーヒルはうっすらと瞼を開いた。
「シイ、ナ……」
反応はしている。
しかし、身体が動かせないのか、アンダーヒルはぼんやりとした視線を俺に向けたままただ身体を預けてくる。少なくとも普段の彼女でないことは歴然だった。
ライフダメージは大した量じゃないが、意識は曖昧で身体中が見るからに痛々しい傷だらけだった。その中でも腕の傷が特に酷く、まるで鉤裂きにされたかのような傷痕がローブの上からでも見てとれた。
「ミキリの魔眼……ミキリの魔眼が……ミキリの魔眼がどうして……」
あんな見るからにアンダーヒルより小さい子がこんなエグい傷をつけたのか……?
何故か体操座りで踞ったまま動かない少女の背中を一瞥し、俺はポーションのガラス瓶をオブジェクト化してその中身をアンダーヒルの腕の傷痕に注ぐ。
「っく……ぅっ……」
「痛むのは我慢してくれ、アンダーヒル」
苦しげに荒い息を吐くアンダーヒルに瓶の中に残った液体を含ませると、少しだけ顔色も良くなり、息遣いも静かに落ち着きを取り戻した。
「……お姉ちゃんはどうして目が覚めたの?」
ビクッ。
不意に謎少女に声をかけられ、思わず肩が跳ねる。しかし、起き上がったその少女に再び大罪魔銃を向けると、同時に後方からのっそりと歩いて姿を現した三頭の激情の雷犬が牙を覗かせてぐるるると低く唸った。
すると少女は、まるで無抵抗を示すように手に持っていた双剣を足下に落とす。
「……お姉ちゃんはどうしてミキリの魔眼から出られたの?」
そして、何処か思いつめたような表情で質問を重ねてきた。
「ミキリ? じゃあ、お前も≪道化の王冠≫なの、か?」
思わずそう聞き返した後、俺は少女が首を傾げたと同時に気付いたある事実に、口元を引き攣るのを感じた。
近距離で向けられる銃口を特別意に介する様子もなくゴスロリ魔女装備に付いた砂をパンパンと叩いて払う少女。その頭上に表示されたプレイヤー名こそ[ミキリ]というさっき戦っていていきなり消えたあの男とまったく同じ名前だったのだ。
「ミキリが本物のミキリで、ミキリが本当の≪道化の王冠≫なの。初めまして、不思議なお姉ちゃん。勝手に遊んでごめんなさい――――楽しかった?」
背筋が凍りついた。
未だに状況を正確に把握できていないが、俺が戦っていたミキリは偽者で、こっちのミキリが本物だということは理解した。
その上でどんな事情があればあんな子供がこんな大それた事件に加担できるのかが理解できないが、それ以前にハカナはどうしたらそんな子供に声をかけることができるんだ。
それと、コイツ今何を謝った?
身体を低くして待機していた雷犬の一頭にアンダーヒルの背を預けるように凭れさせると、改めて本物のミキリに全意識を向けた。
「お前、アンダーヒルに何をした?」
「何を、した……? ミキリは何もしてないの。ミキリはね、ミキリはただ、その娘にこの剣で触ってただけ。お姉ちゃんはどうしてミキリの魔眼から抜け出せたの? ミキリの魔眼、無効化された。こんなのミキリ、初めてなの……」
儚といい魑魅魍魎といい“電子仕掛けの永久乙女”時代のリコといいコイツといい、道化の王冠には話が通じないタイプしかいないのかよ。どいつもこいつも話せているようで会話になっていない。
どう返すべきかと口を噤んでいると、ミキリは視線をやや上方にずらして、子供とは思えないほど冷たい表情で睨むようにすっと目を細めた。
「不思議なお姉ちゃんはミキリの邪魔をするの?」
「道化の王冠が邪魔だからだろ。邪魔されたくなけりゃ、邪魔になるようなことするな」
そう返した瞬間、ミキリの瞳に一抹の殺意が戻ったのがわかった。
前髪が動いて目の辺りが陰り、その奥に覗く不気味な視線に、俺の身体を徐々に緊張が包み込んでいく。
「不思議な、不思議なお姉ちゃんに、ひとつ、ひとつだけ教えてあげるの。ミキリはね、ミキリの大好きなものを守るためなら、どんなに痛くても我慢するの。だから痛くても悲しくても、ミキリは戦えるの。だから黒いお姉ちゃんも不思議なお姉ちゃんも、ミキリの前では等しく弱者なの。ミキリは魔眼の魔女。ミキリの邪魔をする人、絶対に許さないから……!」
「こっちも、負ける訳にはいかないからな。手加減はしない」
ミキリが足元の双剣を拾い上げると同時に、俺も引き抜いた群影刀を右手で構え、左手の大罪魔銃をミキリに向け直す。
「お姉ちゃんは一刀一銃なの?」
「魔刀魔弾銃のな」
「クロノスくんと同じなのね。二人とも変わってるの」
あの黒ずくめの男も魔力系一刀一銃なのか。長身で手足も適した長さだったし、戦うことになれば体格の差がネックになりそうだな。
「……言っとくが、どっちもマイナーカテゴリってわけじゃないからな」
使用者が少ないだけで。同じか。
「同じことなの。ミキリにとっては、銃でも刀でも大差はないの。不思議なお姉ちゃん、お祭りは好き?」
「……いきなり何の話だ?」
唐突な質問に嫌な予感を覚えつつそう返すと、ミキリは口角を釣り上げただけのような不気味な笑みを浮かべた。
「もし好きだったらごめんなさいなの。ミキリが得意なのは、苦痛と悲鳴のお祭りだから――――【幻痛謝肉祭】」
その瞬間、ミキリの右目に波紋のような同心円状に複数広がる光の紋が瞬き――――ドクンッ。
身体が、俄に熱くなるのを感じた。
「なっ……」
その直後、まるで電流を浴びたかのような不快な衝撃が全身に走った。
疲労の時に覚えのある、知っている感覚――力を入れるとその部位に筋張ったような痛みが走る。
まさか、そんなありえない。この感覚は、この世界にはないはずなのに……!
「この目は痛みを偽る魔眼【幻痛覚謝肉祭】。ステージ一は筋肉痛。お姉ちゃんの身体はもう言うことを聞いてくれないの」
ライフゲージは減っていない、ということはこの魔眼とやらのスキルは相手に痛みのフィードバックのみを与えるものらしい。
ROLの皆さんよ、いい加減そろそろキチガイの域だぞ、これ。
情けない話、ミキリの言う通り立っているのもやっとだった。いや、実際にはただの惰性でかろうじて元の姿勢を保っているだけで今にも倒れてしまいそうだった。
「お姉ちゃんは何処まで耐えられるか楽しみなの――――ステージ二」
ドクンッ。
今度は太腿やふくらはぎ、腰や脇腹に鋭い痛みが走り、思わず地面に膝を突いた。
「ステージ二は切創。お姉ちゃんはもう立てないの」
痛い。
痛い。痛い。痛い。
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
痛覚が思考を侵食していく。幻だからと舐めていられない。酷い筋肉痛で過敏になった神経が裂傷の痛みを増幅し、普通の怪我以上に強い影響を及ぼしていた。
群影刀を杖代わりにして身体を支えようとするが、最早うまくバランスを取ることさえできない。
ミキリはそんな状態の俺に無防備に近寄ってくると、自身もしゃがみこんで俺とまっすぐ目を合わせた。
「不思議なお姉ちゃん、痛いかもしれないけど我慢して欲しいの。ミキリはもう不思議なお姉ちゃんに痛い思いして欲しくないから、すぐに終わらせてあげたいの。そうすれば後でミキリと一緒に、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずーっとこの理想郷で遊んでいられるの」
ミキリは儚を彷彿とさせる完全にぶっ壊れた笑顔を浮かべ、狂気じみた笑い声をあげながら動けない俺に顔を近付けてくる。そして逃げられないように首に手を回しながら、目を合わせたまま鼻の頭同士がつくような至近距離まで肉薄する。
「お姉ちゃん、ねえ、不思議なお姉ちゃん……シイナお姉ちゃん……。楽しいこと何でもできるよ、ミキリが全部してあげる」
甘ったるく囁くミキリの吐息がかかる。しかし俺の頭の中は、まるで思考能力を奪われたかのように『痛い』のままで停止し、ミキリの言葉が遠退いていくように意味がわからない物に変わっていった。
「――ダカラ、ミキリトイッショニアソビマショ――」
【思考抱欺】、と囁く声が聞こえた。
そして同時にミキリの目から光の紋が消え、バチバチと電性火花のようなエフェクトが目の前に瞬く。
しかしその瞬間、一貫していたミキリの表情に感情の揺らぎが現れた。
「……あれ?」
ミキリが顔を離し、首を傾げる。その今まで感じなかった年相応の仕草のおかげか、まるで金縛りが解けたかのようにだんだん別のことまで考える余裕ができてくる。
「……【思考抱欺】!」
今度はエフェクトすら発生しなかった。
困惑するミキリは何度もスキル発動を発声する。しかしその全てがうまくいかないようで、ついに敵の目の前であるにも関わらず至近距離でウィンドウを開き始めた。
「何で……なんで……なんで……」
パニックを起こしているのか指が震えてまともに動かせないようだった。
「ミキリの魔眼は絶対無敵なのに……神様がくれたミキリの目は……ミキリの目……ミキリの目が……!」
ミキリは細い声で絶叫しながら左目を押さえてその場に崩れ落ちる。
「目、目、目、目、目、目、目、目、目、目、目、目、目、目、目、目、目、目――」
苦しんでいるような、怒っているような声で「目」と呟き続けるその姿は異様で、俺はまるで釘付けにされたように目を離すことができなかった。
「――こんなのミキリの目じゃない――」
グシャ、と生々しい音が響いた。
「……ッ!?」
「ぁあああああああああああッ!!!」
自ら左目を潰したミキリは泣き叫ぶような痛々しい悲鳴を上げた。
「なんて、ことを……!」
痛覚が現実に則しているなら、身体の内側に近いほど危険度と痛覚は跳ね上がる。目を潰すなんて、それも自分の目を指で潰すなんて正気の沙汰じゃない。
「痛い、痛いよ……。お姉、ちゃん……ミキリの目は何処に行ったの……、ミキリの本物の目は、何処に行ったの……? 私の目、思考抱欺は何処に行ったの……!?」
左目の眼窩から血のようなどろどろとした液体を流しながら、残った右目から涙を流すミキリの声は今にも掠れて消えそうなくらいに弱々しかった。
「シイナ……」
その時、不意に背後からアンダーヒルの声が聞こえて振り返る――――寸前で止める。全身を襲う筋肉痛の影響か、首も動かそうとすると痛みが増すからだ。しかし、今の声から察するに、まだ本調子ではなさそうだった。
アンダーヒルにしては声が弱っていて、隠そうとしているらしい呼吸音も荒い。
「【0】を……もう一度使ってみて下さい……」
「え……?」
よくわからないが、アンダーヒルの弱い声には何処となく確信の色が宿っていた。
「それで……すべて終わるはずです」
「えっと、わかった……【0】」
言われた通りに発動した瞬間、今まで【0】発動時にはあまり感じなかったスキルによる魔力消失特有の喪失感をはっきりと感じた。そしてその途端、身体の痛みが嘘みたいに収まり、直後周りを囲んでいた水の壁が崩壊する。
瞬く間に周囲から大量の水が流れ込み元々の高さまで水面が上がると、ミキリは身体を起こす気力もないのかただ水に飲まれるままに水没した。
「彼女を助けてあげてください、シイナ」
「……いいのか」
「構いません。恐らくもう、彼女は何もできませんから」
アンダーヒルに言われる間もなく助けるかどうかを迷っていた俺はいつも通り動くようになった腕でミキリの身体を抱え上げ、呼び寄せた雷犬二頭のぴったりくっつけた背に横たえるように寝かせる。
「それにしても、これ……どういうことなんだ?」
完全に戦意喪失しているように見えるミキリに警戒を残しつつもアンダーヒルに向き直ってそう訊ねると、アンダーヒルは静かに視線を泳がせ、
「最初こそまさかと思いましたが、どうやら私の推測は正しかったようですね」
意味深な言葉を口にした。
Tips:『魔力消失の喪失感』
プレイヤーがその魔力の減算時に感じる身体の熱がすーっと冷めていくような『穏やかな寒気』の感覚。この時の体感温度の低さとその温度を感じている時間の長さは一度に消費した魔力量に応じて変動するが、あくまでも目安のようなものであり元々運動機能や体調に影響する程の感覚を受けることはない。逆に魔力が増加した場合は体感覚に影響は生じないため、魔力の自然回復等で影響を受けることも当然ない。ただし、薬系アイテム等で魔力を回復した際はまた異なる感覚が生じることはある。




