表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/356

39.ヒロインはヒロインじゃなかったし、悪役令嬢は悪役令嬢じゃなかったし

『ローズ?ねぇローズ、機嫌直してよ…』

『知りません!大事な話をしに来たのに、二人で勝手に盛り上がって大暴露大会始めたのはそっちでしょ!?』

『いや、その……それに関しては、俺も悪かった。だから頼む、ラヴィソン公爵令嬢。機嫌直してくれ』

『しーりーまーせーんー!』


 胸だのお尻だの脚だの、君たちの性癖なんて正直どうでもいいんですよ。

 こちとら大層な覚悟を決めて、王族に嫁ぐことを決心したってのに。

 最初の話し合いが話し合いにすらならないとか、ホントなんなの?


『それぞれ好みの女の子でも追いかけてくれば?その方がよっぽど有意義でしょ?』

『有意義って……』

『……うん、まぁ…仕事するよりは、よっぽど有意義かな』

『ちょ、フレゥ!?』

『だって俺、ずっとローズ一筋だから。いいのならずっとローズの事追いかけるよ?それでいいの?』

『…………は……?』


 小さく『出たよ』とジェラーニが呟いた声が聞こえたような気もするけれど。

 それよりも今この青い人から発せられた言葉の方が、色々と気になって……。


「ローズ。好きだよ。出会った日から、ずっと君だけが」

「……は、い…?」


 ちょ、待って…!!

 ホント待ってタイムタイム!!

 なんで急に王太子様バージョンでふんわり笑ってるんだ!?この人!?


「ローズの事だから、きっとどこかで思っていたんじゃないかな?自分が聖女だから、王家に必要とされたんだって」

「っ……そ、れは……」


 全く思わなかったわけじゃあ、ない。

 だって実際、他の候補者たちだってまだ残っていたのに。それでも私が選ばれたのは、貴族間の力関係以上に。


 私が、聖女だと判明したからだと。


 だからフレゥ殿下も大切にしてくれているんだと。


 そう、思わなかったと言えば、嘘になる。


「父上や母上は、確かにそうかもしれない。けれど、私は違うよ?あの日からずっと、私の妃はローズだけだと決めていた」

「そん、な…こと……」

「だから最有力候補だったんだ。私が唯一、自分から誘った女の子だったから」


 そういう理由で!?


「勿論優秀であることも後から判明したし、なおさら反対はされなくなったんだけれどね。むしろローズを妃にと推す声が増えたんだよ?」


 えー……。

 あの頃って、むしろ婚約者候補からどうやったら外れるのかを必死で考えてたのに……?


「とはいえ、かなり長い間避けられていたけれどね」

「っ…」


 そこで悲しそうに苦笑されると、心が痛むんですが…!?


『まぁ、自分を殺すかもしれない相手だもんな。そりゃあ必死で避けるよなぁ』

『今は理由も分かってるし納得もしてるけど、あの時は俺も必死だったからなぁ…。そりゃあかみ合わないわけだ』


 うん、まぁ……だって、ねぇ…?

 将来的に来るであろう最悪の事態を避けるには、一番手っ取り早い方法だったし。

 なのにそっちはむしろ積極的に関わろうとしてくるから、ホントに困ってたんだよ。


「でもね?それでも私はローズを諦められなかった。助けたかったのももちろんあるけれど……。何より他の女性なんて、考えられなかったから」

「っ…!!」


 ちょっ…!!破壊力…!!

 なんだこれ!?今これどういう状況!?

 なんか目の前に青い美形がいるんだけど!?なんなら頬に手とか添えられてるんですけど!?


「だからローズ。改めて言わせて?」


 真剣な青い瞳が、真っ直ぐに私を覗き込んでくる。

 まるで、心の中まで見透かされてしまいそうなほどの、澄んだ色で。


「好きだよ、ローズ。私の妃になって?」


 その瞬間、無意識にふるりと震えてしまったのは……その瞳のせいなのか、私の心の変化のせいなのか。

 それとも、僅かに触れていった親指が唇を掠めたからなのか。


 ただ。


「は、い……。フレゥ殿下……」


 はじめから、答えなんて一つしかなかったから。



 結局ヒロインはヒロインじゃなかったし、悪役令嬢は悪役令嬢じゃなかったし。

 メインヒーローは確かにメインヒーローだったけど、それだって相手はヒロインだと思い込んでる相手じゃなかった。



 一体誰が予想できただろう。


 ゲームのメインヒーローが、ゲームで悪役令嬢とされていた人物にとってのヒーローだったなんて。


 しかもその悪役令嬢が、実は聖女だった、なんて。



 なんていう大どんでん返しなんだろうと、思わないわけじゃなかったけど。

 でもまぁ、結局これが一番正しい形だったんだろう。きっと、最初から。



『おーい?俺がいる事忘れてないよなー?』


 そうだった…!!ジェラーニもいるんだった…!!


『……おい、空気を読め』

『読んだから話しかけたんだろうが。言っとくけど、キス厳禁だからな?』

『はぁ!?』

『お預けに決まってんだろうが!!何ナチュラルに女の子の唇奪おうとしてるんだよ!!しかも俺の目の前で!!』

『ゼラが少しだけ静かにしてればいいだけだろ?』

『いいわけあるかぁ!!お目付け役だっつってんだろうが!!』

『何だそのプラトニック……。今時流行らないぞ?』

『流行りの問題じゃねぇだろうが!!お前はその辺り王族としての自覚を持てよ!!』

『バレなければ大丈夫』

『ダメな方の自覚をするな!!』


 …………うん。騒がしい。


 というか、私は今キスされそうになっていたのか。そうか。

 一応返事をしただけで、許可はしてないんだけどなぁ?



 よし、決めた。

 私は貴族令嬢として、結婚するまでその辺りの事はちゃんとしよう。


 なので。


 私もフレゥ殿下のことが好きですよ、なんて。

 教えてあげない。


 結婚するその日まで、キスと一緒にお預けにしておこう。



 総合PV数が50万、ユニーク数が10万人を突破しておりました!!

 いつもお読みいただき本当にありがとうございます!!m(>_<*m))ペコペコッ


 そして次回、ローズ視点の本編最終回!!

 でも物語はまだまだ続きます!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
結婚式まで、好きって言わないでいられるかなぁ…絶対何かで喧嘩して好きですって言うことになりそうだなぁ…頑張れ、ローズ、フレゥ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ