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27.驚愕

『無実の証明って……やったことを証明するのは出来るかもしれないけど、やってないことを証明するのって難しくない?』

『だから言ってるんだろ。いくら元日本人だからって、すぐに信用できるか』


 扉の前から動こうとしないのは、座る場所がないからなのか。

 一応ジャスミンの隣はあいてるけど、この感じだと座りたくないのかもしれない。


 というか、さっきもそうだったけど……。


『女の子に対して当たりが強くない?』


 妙にジャスミンに対して冷たいフレゥ殿下といい、彼もどこか警戒しすぎな気がする。

 まぁ確かに、サキュバスの娘なんて言われたら警戒するだろうけれども。


『あと悪魔の証明みたいなこと言い出したらキリがないでしょ?それこそジャスミンがやったという証拠はどこにあるの?』


 なんとなく、彼女のせいだと決めつけられるのも嫌で。

 思わずそこまで口にしてしまっていた。


『……驚いたな…。なぁフレゥ、乙女ゲームのヒロインってのはライバルを攻略する事もあるのか?』

『いや、俺に聞かれても……。プレイしたことないし』

『ものによってはあるよ?友情エンディングとか。あれはあれで女の子が可愛くていいんだよね~♪』


 いやいや、会話に自然に加わるなよ。

 一応は警戒されてる本人なんだからさ。


『…………なんだこいつ……』

『まぁ、うん、その……一応害はないんじゃないか?実際接触はしてこなかったわけだし』

『代わりに邪魔されまくったけどな』

『それは、まぁ……こっちの都合であって本人には関係ないからな。仕方ないさ』


 どこか諦めたように肩を竦めてみせているけれども……。

 いやいや、ちょっと待って?何の話?

 っていうか……。


『ってゆーかさぁ?そもそもゲームの中でのお助けキャラが、どーっして王太子様とそんなに親し気なわけー?あとなんで好感度なんて知れる立場だったのか、割と謎なんだけど』


 いやもう、ホントにね。


 そもそもジェラーニ・ジプソフィールは、ゲームの中ではヒロインのお助けキャラ。

 王太子殿下をはじめ、学園の中にはいないお兄様の好感度まで知り得た人物。

 明らかに、一番謎多き人物だったわけで。


 ゲームシステム上と言ってしまえばそれまでだけど、この二人のやり取りを考えるともしかしたらそれすらちゃんとした理由があったのかもしれない、なんて。

 思うのは当然のことで。


『好感度云々はよく分かんねーんだけど、とりあえずそこの王太子サマとは幼馴染なんだよ』

『正確に言えば乳兄弟だね。俺の乳母がゼラの母親』

『すげー世界だよなー。赤の他人なのに兄弟みたいに育つって』

『いや、俺とお前の場合は違う意味で特殊だと思うけどな?』


 え、いや、待って……。

 さらっと驚愕の真実明かすのやめてくれない…!?


 と、言うか。

 それって、つまり……。


『……右腕…?』

『ローズ正解。俺が一番信頼できる部下だよ』

『ちなみにジプソフィール家は、非公式だけど諜報活動が得意。俺も当然訓練は受けてきてるから、使い勝手はいい方だと思うよ?』

『何のアピールだよ』

『んー?未来の上司になる人だし、今のうちに売り込んでおこうと思って?』

『気が早い。というか、そんな必要ないだろ。俺が重宝するんだから』

『いやいや大事だろ?いざという時とかさ』


 なんて。

 二人だけで和やかに会話してるけど。


 え、待って。

 ホントに待って。


 だって、私……前に、確か……。


『はな、し…………』

『ん?あぁ、うん。流石に言わないとまずい内容っぽかったから、フレゥに話しちゃった。ごめん』

『……っ…!!!!』


 ちょっと待って…!!ホントに待ってよ…!!

 前に私、この男相手に王太子殿下の目が笑ってないって話したよね…!?

 あれ、本人に伝えられてたってこと…!?!?


『それについては俺からも謝罪するよ。ごめんね?ローズ』

『……いや、あの…』

『でも言われるまで全然気付いていなかったんだよ。ローズの前では完璧な王太子でいなきゃって思ってたから、なおさら……』

『カッコつける前に嫌われてちゃ意味ないだろって』

『ホントにな。それでさらに避けられてたのなら、全部無意味だよな』


 ちょ、っと……待ってよ……。

 なに、その…筒抜け具合……。

 最悪なんだけど……。


『なに…それ……』


 いや、良い人だと思った私が悪いんだけど…!!

 警戒を怠った自分の落ち度なんだけどさ…!!


『ごっ、ごめんねローズ…!!今度お詫びに何でもするから…!!ね?』


 両手で顔を覆った私に、そんな風に元日本人の王太子様は言うけれど。

 何でもするって言った?ねぇ今、何でもするって言った?


『え?今何でもするって……』

『黙ってろピンク髪』

『だからー!!私に対してだけなんでその態度なわけ!?あと事情はなんとなく分かったけど、蚊帳の外にしないでくれる!?』

『あ、そんな難しい言葉知ってたのか』

『むっきいいぃぃ!!!!何その言い方感じわるぅ!!!!』


 私も口に出さなかっただけで、きっとジャスミンと同じ事を思ってたんだけどなー……。


 なんていう現実逃避をする必要もないくらい、一気ににぎやかになったのは。

 これはこれでヒロイン力なんじゃないかな、ジャスミンの。


 ただ、まぁ……。

 驚きの連続過ぎて、もはや悟りを開けそうな気分になってきたけど。

 ようやくこれで、お助けキャラの謎が解けたわけで。


 そこに関してだけは、すっきりしたかな。



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