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26.彼女だけが知る真実

 総合PV数が40万アクセスを突破いたしました!!

 いつもお読みいただき本当に本当に、ありがとうございます!!m(>_<*m))ペコペコッ



『は…?全員破滅、って……どういうことだ?』


 二人してヒロインを凝視したせいか、緑色の瞳は驚いたように見開かれていたけど。

 聞きたい事を代弁してくれたフレゥ殿下の言葉に、今度は違う意味で驚いたみたいで。


『はい…?え、なに?二人とも何も知らずに行動してたの?』


 なんて。

 彼女だけが知る真実があるかのような口ぶりで言うから。


『まさか……隠しルートがあった、とか…?』


 友達が言っていた。こういうゲームには、必ずと言っていいほど隠しキャラか隠しルートが存在するんだと。

 あとは続編が出たり、追加版が出たりってこともあるらしいけど。


『いや、隠しっていうか……正確に言うと、制作陣の意図と言うか……』

『もったいぶらずに話しておくべきじゃないか?』

『別にもったいぶってるわけじゃなくて、その……すごく意地悪な話だよ?』


 意地悪だろうが何だろうが、私達に深く関わってくるのなら知っておくべき事だろうし。

 何より破滅なんて言葉が出てくること自体、物騒極まりない。


『こっちは国背負ってるんだよ。破滅なんて言葉聞いて、黙っていられるわけないだろ』

『いや、うん、まぁ……そう、だよねぇ……。何せこの国、滅ぶ可能性あったわけだし、ねぇ…?』

『え……』

『はああぁ!?』


 ちょ、待って…!!なんかいきなり本格的に物騒な言葉出てきたんだけど!?


『ってゆーか、さっき自分でも言ってたじゃん。ところどころ納得いかない、あまりにもご都合主義が過ぎるって』

『言った、けど……』

『まさにその通りなんだよ。本来あり得ちゃいけないことがあり得る事が、おかしいってこと』


 はい……?

 なんかますますよく分からなくなってきたんですけど…?


 というか、普通はそのあり得ないことが起こるのがゲームとか物語の世界じゃない?

 そこ否定しちゃったら、現実と何も変わらないじゃん。


 いや、今まさに現実を生きているわけだけど。


『まぁぶっちゃけると、この世界のゲームの世界観自体が乙女ゲームに対するアンチテーゼなわけですよ』

『アンチテーゼ……』

『本当の悪役は、プレイヤーキャラクターのヒロイン。便宜上とはいえ悪役令嬢と呼ばれていたローズ・ラヴィソンは、実はこの国の聖女様でした、ってね』

『ヒロインが悪役で……』

『悪役令嬢が聖女……。……聖女!?』


 なんだそれ!?なんだそれ!?そんなこと聞いたことないぞ!?!?


 いや、聖女っていう存在は知ってるけど!!

 魔物とか消せるんでしょ?くらいなものだけど!!



 …………あれ……?魔物といえば……。


 そういえばさっきの魔物……どうなったんだっけ……?



『確かに……あの光と、消えた魔物を考えれば……』

『私も詳しくは知らないけど、きっとさっきのあれが聖女覚醒。これでこの国は安泰ってわけ。聖女様が魔物たちを消してくれるわけだからね』

『え?待って……私……』

『ゲームの設定的にも、実はローズ・ラヴィソンが聖女でしたーってなってるの。ただし、それを知ってるのはごく一部の人だけだけどね』



 は……?



 はああぁぁ!?!?



 ちょ、待ってよ…!!

 いきなり聖女とか言われても、意味が分からないんだけど…!?


『ちなみに私は、かの有名なサキュバスの娘ですぅ~。だから私が悪役ってわけ☆』


 いや!!わけ☆じゃなくて…!!


『…………』

『…………』



 サキュバスううぅぅぅ!?!?



『……とりあえず、色々とツッコミどころが多すぎて追い付かないんだが…?』


 隣でふかぁ~いため息を吐いたのは、音で分かったけど。

 私は言葉も発することが出来ないくらい、驚きに固まってて。


『いやいや、ツッコミどころじゃないって。結構意地悪な制作陣だと思うよー?なんたってゲームの達成感を得た人を、どん底に叩き落す設定だからねぇ』

『そこじゃない』

『え?重要じゃない?だってほら、名ばかりヒロインの悪女に騙されて、聖女様を殺しちゃうわけだから。魔物同士手を組んだわけじゃないけど、利害が一致しちゃったんだろうね。怖いねぇ』

『しみじみ言うな。そんな恐ろしい事』


 本当に、恐ろしい事だったよ。

 もしもそれをヒロインが知らずに、普通にゲームを始めてしまっていたら……。


『今頃、どうなっていたことか……』

『まぁ正直、私が何もしなければいいだけの話だし?このままでいっかーとか思ってたんだけどね?』

『楽観的過ぎるだろ』

『ちなみに続編もあって、そっちではフィオーレ王国は滅亡したことになってます☆』

『だから!!楽観的過ぎるんだよ!!』


 あったんだ、続編。


 っていうか、滅んでたんだ。この国。


『でもほら、私はそれを回避したかったし?結局は全員同じ方向に持っていこうとしていたし?これでめでたしめでたしじゃない?』

『めでたいわけあるか、このアホピンク髪』


 突然聞こえてきた声に、驚いて入り口に目を向ければ。

 いつの間にか戻ってきていたらしい、ジェラーニ・ジプソフィールの姿が。


『お前が魔物の血を引いてて、更に学園に普通に通ってて、しかも学園内に魔物が侵入した。これだけあって、無実を証明できるのかよ』


 その言い方は、明らかにヒロインを疑っているものだったけど。


 正直ヒロインの言葉が本当なら、今頃きっとこんな風に話せていなかっただろうし。


 何より魔物に襲われそうになっていたあの時、危ないなんて声をかけてくれなかっただろうから。



(ジャスミンは、そんな嘘は言わない)



 そう無条件に思うようになっていたのは、いつの間にか私が彼女の事を友人のように思うようになっていたからかもしれない。



 実はこの作品、初めから登録必須キーワードの中の"悪役令嬢"未選択でした。

 その理由が、これです。


 誰から見た視点での悪役なのか。

 プレイヤー視点での悪役が、実は聖女なんて。そんなゲーム、普通はないと思いますが。


 まぁなので、実は最初から仕込んでいましたよ、と。

 そんなゲーム制作陣、嫌ですけどね(^^;)



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このゲーム実際に作ってみたい、絶対面白い。
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