10.媚薬入りのクッキー!?何考えてるの!?
なんと総合PV25万アクセスを突破いたしました…!!
本当に本当に、いつもありがとうございますっ!!m(>_<m*))ペコペコッ
20万PVのときは逃してしまったけれど、今回はちゃんとお伝え出来た…!!よかった…!!
そして読み込みの不具合は、ひとまずひと段落したようです。
こちらもよかったよかった(*´ω`)ホッ
放課後、職員室に用事があるからとメイドを控室で待たせて。一人教室へと戻る最中、ばったりとヒロインに出くわした。
なぜか、調理実習室の前で。
「あ、ローズ様…!」
「ごきげんよう」
「ご、ごきげんよう」
これは警戒しているわけではなく、未だに彼女が貴族令嬢としての挨拶に慣れていないかららしい。
最近は割と仲良くおしゃべり出来るくらいにはなってきたので、前みたいに避けられるようなことはなくなったけど。
青王太子とヒロインの仲は、一向に進んでないけどね…!!
「……あれ…?ローズ様、お一人ですか…?」
「えぇ。職員室に行った帰りなの」
「あぁ!校内で唯一あそこだけは、使用人の同行不可ですもんね」
「荷物を持ち歩かせるのも嫌だったので、我が家の使用人には使用人用の控室で待っていてもらっているわ」
「なるほど」
そう。実はこの学園職員室だけは、たとえ王族であろうとも使用人を連れて入る事は禁止されている。
まぁ、ね。生徒だけじゃなくその親にも知られちゃいけないような情報が、あちらこちらにある可能性が高い場所だからね。
どんな能力を持っている使用人を連れているのかを完全に把握しきれていない以上、最大限に警戒するのは間違っていない。
とはいえ、直前までなら連れていってもいいんだけどね。
なんとなく、必要もないのに連れ歩きたくなくて。
教室と職員室の間だけならば、放課後でも割と一人で向かう人も多いから。
だってそうしないと、職員室前が使用人だらけになってしまう。
だからそれを防ぐために、暗黙の了解のようになっていたりもする。
なので唯一放課後使用人を連れていなくても、誰にも怪しまれたり噂されたりはしないという事。
まぁでもぶっちゃけ、それってヒロインが教師を攻略するための意味合いも含まれてると思うけどね。
確か相談があるとかって、相談室に二人で籠るっていう展開があったはずだから。
使用人がそんな場所にいたらさ、邪魔じゃん?
攻略対象との仲、深められないじゃん?
だから置いてかれるのだ。
元々ヒロイン、割と放課後ですら一人で行動するような型破りだけど。
「それで?貴女はどうしてこんなところから、しかも一人で出てきたのかしら?」
しかも手には、明らかにヒロインが作ったのであろうお菓子をもって。
「あ、そうだった…!!丁度良かったローズ様!ちょっとの間、これ預かっててもらえませんか!?」
「へ……?」
そう言って強制的に持たされたのは、ボックスクッキー。
「え、っと……?」
「作る事ばっかり考えてて、ラッピング用品を教室に置いてきちゃったんです!取りに行きたいので、中で待っててください!」
「え、いや……そのまま教室に持っていけばいいのではなくて…?」
別にわざわざ調理実習室に持ってこなくても、クッキーを持ったまま教室に戻れば問題ないはず。
そう思って口にした私に、ヒロインはきょろきょろと周りを見回して誰もいないことを確認してから。
『だって、他の人に食べられちゃったら困るんだもん。それ、貴重な媚薬入りなの』
なんて、言い出すから。
『び…!?』
媚薬入りのクッキー!?何考えてるの!?
そもそもどこで手に入れてきたんだとか、思わないわけじゃないけど。
それよりもそんなものを仕込んだクッキーを、一体誰に食べさせようとしているわけ…!?
『押してダメなら引いてみろって言うじゃない?でも我が家の教育方針は、押してダメなら押し倒せ!なんで』
『……すごい、方針なのね…』
『そうやって我がお母様は、若かりし頃の男爵の息子を手に入れた、と』
『しかも、お母様の方針なのね、それ……』
それなら確かに、平民育ちの男爵の庶子が生まれるはずだわ。
恐ろしいわね、ヒロインの母……。
「という事なんで、ちょっと行ってきます!!」
「……え…。あ、ちょっ…!!待ちなさいっ…!!」
私が呆気に取られている間に、有無を言わさぬ速さで走り去るヒロイン。
いや、校内は走っちゃダメ……っていうか、貴族令嬢が走るな。
そう思いながら伸ばした私の手は、むなしく空を切ったのだった。




