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7.攻略対象以外に恋しちゃってる!?そんな殺生な…!!

「ジャスミン・シャルモン男爵令嬢はいらっしゃるかしら?」


 思いついたが吉日。

 やると決めたらやるのが私だ。


 相手が私を避けているというのなら、こっちは徹底的に追い詰めて逃げられなくしてやる。

 悪役令嬢らしくね!!


「ローズ…!!…様っ…!!」


 あ、今呼び捨てにしたな?

 まぁ私は優しいから、そこは聞かなかったことにしてあげる。


「あぁ、よかった。この間のことで、少し貴女にお話があるの」

「え、っと……」

「ここでお話するものでもないでしょうし、お昼休みにサロンを一つ押さえてあるから。そこで一緒に昼食を取りながらお話しませんこと?」


 にっこりにこにこ。

 表面上は、ものすごく。えぇ、とーっても、親し気に。


 いくら貴族になりたくないと言っている彼女でも、今ここで公爵令嬢(わたし)のお誘いを無下に断ることは出来ないだろうと踏んで、あえて口にする。

 男爵令嬢が公爵令嬢の誘いを断るなんて、そんな噂が広がったら大変だからね。注目の的だからね。

 どうやったって、断るという選択肢は存在していない。


 あれと一緒じゃない?ゲーム画面の選択肢。

 選択肢以外は選べない状況で、彼女の目の前にあるのはイエスかノーの二つ。

 のように見えて、本当はイエスだけ、っていうやつ。

 ノーは速攻でバッドエンド直行と言うやつだ。


 つまり。


「お、お誘いありがとうございます、ローズ様…。えぇ、っと……はい、よろこん、で…」


 これしか彼女が答えられるものはない。


「まぁ、ありがとう!それではお昼休み、お迎えに来ますから。楽しみにしていますね」

「は、はい……」


 分かっていて、あえて私は満面の笑みを浮かべる。

 こういう時、貴族としての表情管理ってホントに便利だよねー。


 今のジャスミンからしたら、ゲームを始めてもいないのになぜかイベントが進んでしまっているような感覚なんだろう。

 何と言っても私は悪役令嬢。

 そんな一番関わりたくないような相手からの、お昼ご飯のお誘い。


 怖いよねー。そうだよねー。知ってるー。

 でも逃げ続けた貴方が悪いのよ?うふふ。


 気分は本当に悪役令嬢だ。



 そんな風に思いながら、迎えたお昼休みで。



「攻略対象以外に恋しちゃってる!?そんな殺生な…!!」


 衝撃的な理由を、彼女の口から聞くことになった。


「殺生って……ローズ様いくつですか」

「貴女と同い年だけど?」

「そうですけどね?そうなんですけど……」


 使用人すらいれずに、二人だけでサロンに籠って。

 ただし誘ったの私だから、今日のお昼ご飯は私のおごり。

 結構学園内の食堂のご飯も、選べば豪華で美味しいものがあるんだから。


「そもそも貴女、ヒロインじゃない。好き勝手出来る立場でしょう?悪役令嬢よりずっとマシじゃない」

「えー……だって普通に考えておかしくないですかー?なんで平民育ちの男爵の庶子が、王妃になんてなれるんですか」

「あ、その意見には大いに賛成するわ」

「でしょ!?」


 どうやら彼女もまともな感性を持っているらしい。

 まぁね。おかしいと思うよね。普通ならね。


 でも残念ながら、ここは乙女ゲームの世界。

 普通では、ないのだ。


「それに私、さっきも言った通り攻略対象以外に好きな人がいるんです」

「えー……せめてフレゥ殿下だけでも何とかならない?」

「そんな可愛く首を傾げてもダメです。第一私、フレゥ殿下には会いたくないんです。ゲームを始めたくないから」

「そこを何とか…!!」

「いーやーでーすー!」


 そして堂々巡り。


 だって困るのだ。彼女がフレゥ殿下を攻略してくれないと。

 なりたくもない王妃にならなきゃいけないのか、それともそんな事関係なく魔物化ルートに直行させられるのか。

 未来が分からな過ぎて、逆に怖い。怖すぎる。


「ってゆーか、なんでローズ様はフレゥ殿下が嫌なんですか?」

「え、だって怖いから」

「怖い…?」


 直接会ったことのない彼女からすれば、イメージはきっとゲームの中のキャラクターだけなんだろう。

 でも実際は……。


「笑ってるけど目だけが笑ってない人とか、怖くない?」

「……それは…確かに怖い、ですね…」


 想像したのか、体を震わせていたから。どうやら伝わりはしたらしい。

 だけど。


「でもそれとこれとは別!私は好きな人と一緒にいたい!!」

「いやまぁ、そうなんだろうけど…!!」

「人の恋路を邪魔したら馬に蹴られるんですよ!?」

「さり気なく別の死亡フラグちらつかせるのやめてくれる!?」


 死なないために必死になってるのに、それじゃあ意味ないでしょうが!!


「だったら諦めてください」

「いやよ…!!」

「私だっていや…!!」


 二人して言い合うけれど、一向にまとまることはなく。ただひたすらに、平行線をたどるだけ。

 それどころか。


「とーにーかーくー!!私は平民時代の好きな人にアタック中だから、邪魔しないでね♪」

「ちょ…!!ジャスミンってば…!!」

「じゃーねー。あ、お昼ご飯ごちそうさまでした~♪」

「ま、待ちなさいってばああぁぁっ!!」


 そう言って、彼女はサロンから出て行ってしまった。



 ちょっと、待ってよ。

 ねぇ、本当に待ってよ。


 貴女が……貴女がちゃんとヒロインしないとゲームが始まらないでしょおぉぉ!?


 貴女が貴族になんてなりたくないって思っているのと一緒でねぇ!?


 私だって…!!私だって…!!!!


 私だって王妃になんかなりたくない!!王太子殿下の婚約者なんてお断り!!



 でもヒロインが青王太子を落としてくれないと、消去法で私が王妃になっちゃうじゃないのよおおぉぉ!!!!



 https表示にして、何とか見れました…!!

 そしていつの間にか、評価してくださる方もブクマ登録してくださる方も増えていた…!!


 評価して下さった172名の方、ブクマ登録して下さった1,080名の方、本当に本当にありがとうございますっ!!m(>_<m*))ペコペコッ



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