最終話 解決……その後……
《登場人物》
長宗我部 博貴 警部 (長さん)
入船 宗次郎 警部補 (ボウラー)
河瀬 憲仁 巡査部長 (和尚)
古村 俊 巡査部長 (シルバーマン)
夏目 真彦 巡査長 (先生)
田中 悠 巡査長 (アンジェリーナ)
佐藤 蒼太 巡査長 (ブラッド)
ペイン 爆弾犯
警察護送車の中で、ペインは目を覚ます。
「おはよう。イケメン」
どこかで聞いた事のある声を感じ取り、彼はゆっくりと左目、右目の順に開いていき、像を確認していく。
目を開いた先に1人の見覚えのある男が、厳つい表情でペインを見つめていた。
「あんた……なんで、生きてたんだ? 俺に撃たれていたはずなのになんで?」
ペインは何が起きたのか分からなかった。
それもそのはず、目の前にいる男は、ペインの手によって撃たれ倒れたはずの長だから。淡々と長は彼に告げる。
「ゴム弾って知ってるか? 知ってるよな? きつい弾丸をどうも。中々痛かったよ」
ゴム弾。
その事実を知り、ペインは、衝撃を受けた。
「あんた! まさか、それで撃たせたのか? 俺に……」
長は皮肉を交えながら、ペインの質問に対して答えを返す。
「人質に向けて撃たれるより遥かにマシさ。それに非殺傷主義の和尚が所持していたグロックだと知って怖くなかったよ。そこは簡単だったね。お前のクイズよりな」
ペインは、手錠が両手にかかっているのを確認した。改めて自分が現行犯で逮捕された証が綺麗に自分の目に映っている。自分が踏んだミスに対して彼は笑い出し、警部に告げた。
「そうか! はははは。奪う相手を間違えたわけだね。やられた」
「はは。これからがきついぞ」
ペインは笑いながら訊く。
「えっ、何が?」
警部は、ペインの笑いに対して愛想笑いで返し、1言だけ告げて、後は、車窓の風景を見つめた。
「取り調べ」
ペインの逮捕から3日が経ち、長は和尚の病室にいた。和尚の頭部は包帯で巻かれ白いベッドで、安静にしている。
「大変だったな」
「ええ、お陰様で、気づいた時には、2日経っていましたからね」
長の隣でパイプ椅子に座っているシルバーマンが事件後を軽く告げた。
「お前が病院で寝てた時、俺達も大変だったんだ。後始末とかでさ」
シルバーマンの説明に少しだけ警部は付け加える。
「なぁに。減給はされなかったよ。数百枚の始末書で済んだだけさ」
和尚は長の説明に軽く笑う。
「ははは。大変でしたね。警部」
「おかげで、滋養強壮ドリンクが朝食だよ。全くあの爆弾魔め」
ペインと思える単語を聞いた和尚は、表情を変えた。
「……奴の取り調べは?」
長は、病室で寝ながらの体制でいる和尚の表情が変わったのを目で見て、落ち着かせる。
「大丈夫だ。今、ボウラーと先生の2人でやっている。どうやらまだ、俺に対しての執着心は大きいみたいだ」
「そうですか……」
警部の言葉を聞いた和尚は、心内を落ち着かせ、頷く。
シルバーマンは続けた。
「安心しろって。ペインの取り調べは、順調だからさ。落としのプロと呼ばれた先生がいるしさ。それに今、施設のネット関係の復旧は、あのゲーマーカップルに任せているからな」
和尚は安心したのか深呼吸をして、シルバーマンに頷く。
「そうだな」
長は、壁に掛けてある病院が備え付けた時計を確認し、そろそろ動き始める時間である事を理解した。
「さてと、和尚、じっくり休め。その包帯を解けるようになってから職場に来いよ。いいな」
長は立ち上がり、シルバーマンに時間を示す。
「12時だ。行くぞ」
「はい。じゃ、またな」
シルバーマンは和尚の左肩を軽い握りこぶしを作って、弱く当てた。
和尚は苦笑いで、シルバーマンの行動を受けてから返す。
「ああ」
それを見たシルバーマンも軽く首を縦に降って、パイスイスから立ち上がり、椅子をもとにあったところへと片付ける。
病室を後にしようとする長の後ろ姿を見ながら、声をかけた。
「あ、そうだ。警部。復帰祝いに飲みに連れて行ってくださいよ」
それを聞いて長は後ろを振り返り、和尚に告げた。
「代金は割り勘な」
同時刻 警察庁長官室
鶴野は愛媛県で起きた事件の報告書を遠近用眼鏡で一文字ずつ確認し、最後の1文字を読み終えて、手に持っていた書類を机に置いて眼鏡を外す。
「いつ読んでもとても良い結果だ。少々、オーバーだが、いい。これからも彼らの動きが楽しみだ」
彼は再び眼鏡をかけ、次はパソコンを開き、タイピングを始めた。
パソコン画面には最初の文字列が示された。
― 電子警察 始動 ―
END
最終話でございました。 いかがでしたでしょうか?
色々と反省点、読みづらかった点が多い作品で、本当に申し訳ないと思っております。完結しました。ちょっと時間がかかってしまいましたが、最後まで、読んで頂きありがとうござました!!
ありがとうございました。




