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第26話 ボウラー到着、緊迫した状況!!

《登場人物》


 長宗我部 博貴 警部   (長さん)

 入船  宗次郎 警部補  (ボウラー)

 河瀬 憲仁   巡査部長 (和尚)

 古村 俊    巡査部長 (シルバーマン)

 夏目 真彦   巡査長  (先生)

 田中 悠    巡査長  (アンジェリーナ)

 佐藤 蒼太   巡査長  (ブラッド)


    ペイン  爆弾魔

― クイーンアイランド 午後6時02分 ―



 ボウラーもクイーンアイランドに着き、車を駐車場に停めて外へ降りる。降りた時、ショッピングフロアの入口前から大量の客が悲鳴をあげ、走って逃げているのが見えた。

「なんじゃ!? まさか!?」

 入船は、思い当たる事があり、急いでショピングフロアの入口に向かって走る。

 走りながら、ショルダーホルスターに入れているグロッグを抜き、左手に持つ。安全装置はまだ外さない。

「最悪の事態になっていなければ良いが……」

 ショッピングフロア内の自動ドアが開きボウラーは、中のフロアを見渡す。

『やめろ! ペイン!』

 独特な緊張感と客がいないフロアを自分の目で確認し、奥の多目的広場から声が聞こえた。

「!?」

 その声は自分の仲間である長の声だと彼にはすぐ分かった。ゆっくりと近づいて、状況を確認する。

 多目的広場のステージに2人。

 片方は大きい男。もう1人は、小学生ぐらいの大きさから見て子供だと判断した。大きい男は拳銃を子供に構えている。

「これはまずい」

 ボウラーは、状況からしてステージの男がペインだと判断し、子供を人質にして篭城しようとしていると推理し、それを打開する為に動いた。彼はインカムでそれぞれのメンバーに連絡を行っていく。

「俺や!」

『警部補!』

「俺が、2階に回って奴を狙撃する。先生は直ぐに爆弾解除へ向かってくれ。シルバーマンはそのままペインの動向を。長宗我部は……」

 長宗我部は黙ってインカムを聞いている。

 ペインに悟られないようにする為だった。子供を人質にしている状態でペインは、自分に銃口を向けている長に告げた。

「何してるんだ!? 解除にいかないのか?」

「ここは俺だけで構わない。先生は爆弾の解除を周りの捜査員達も爆弾解除に駆り出せ」

 長の言葉とペインの状況から、先生は長の言葉に従うしかなく、ゆっくりとだが、行動に入る。

「……了解。行くぞ! 来てくれ」

 先生はペインがいれた多目的広場のゴミ箱から小包を取り出して、数名の捜査員を連れて、多目的広場から離れて、ショッピングフロアの出入口へ向かっていく。

 外に仕掛けられた爆弾を探しに、先生達は向かった。

「お前もおしまいだよ。爆弾は解除される」

「そうだといいね」

 長とペイン、今にもグロッグの銃弾が飛び交いそうな緊迫した状態になっている。多目的広場に残ったのは、長とペインと人質の子供。そして奥にバレない様にボウラーが待機している。

 ボウラーは、1階より2階の方がペインにバレる可能性は少ないと判断し、2階のフロアへ上がり、ゆっくりと爆弾魔に気付かれない様に、フロアの通路から広場へと慎重に向かう。

 ペインはゆっくりと近づいてこようとしているシルバーマンに、ポケットに入れていたリモコンを見せつけながら大きな声で叫ぶ。

「これ以上近づいたら、お前らも終わるぞ! 見て分かるだろ?」

 シルバーマンはペインの言葉を聞いてゆっくりと後ろに下がって、近くのフロアを支えている柱に隠れた。

 ペインは状況を考え次の手に出る。ゆっくりとリモコンを持った手で、服の中に着けたベストを見せつける。長はペインが見せたベストに対して、自分の背中により緊張感と焦燥が襲われた。

ベストに付けられているのは、C4爆弾の塊が4つ並んだ物で、胸にはタイマーが見られ時間が進行している。ペインは不敵な笑みを浮かべた。

「これが何か分かるかな? そう。これは今仕掛けている奴より強力なプレゼントさ。さて、諸君、少し話、ブレイクタイムといこうか?」

「くそっ!」

 爆弾魔は落ち着いた口調で、6mの対面側にいる長に伝えた。

「安心しろ。今ある爆弾を探し2つとも解除すれば、この爆弾も連動しているから自動的に解除される。だが、時間内に間に合わなかったら、この建物が崩れる。分かった?」

 ベストのタイマーが刻々と黄色いデジタルな数字板でタイムリミットを知らせる。



《55:00:00》



《54:59:13》



《54:58:54》


 

 残り時間、約55分。


 緊迫した状況が続く。

 物陰ながらシルバーマンは、爆弾魔のベストを目にし、話を聞き、すぐさま彼はインカムを使って先生に交信した。

 先生は、他の捜査員と共に爆弾を探しに向かっている。耳につけたインカムからシルバーマンから直接コールが鳴った事に気付き、すぐさま取った。

「シルバーマンか? 和尚は!? 大丈夫なのか?」

 ペインには聞かれないように静かに先生に向けて言葉をかける。

『ああ、なんとかね。病院へ緊急搬送したよ。それよりペインの奴が爆弾を仕掛けたのは分かったよ。あいつ別エリア広場のゴミ箱に爆弾を仕掛けているんだ。あれも連動している可能性があるから十分に注意してくれ』

 先生は移動しながら、返した。

「分かった!」

『今、そっちに位置図をマークして送ったよ』

「ありがとう。助かる!」

 爆弾を解除する為にシルバーマンから送られたマークのついた地図画像を駆使して、先生は爆弾が仕掛けられたゴミ箱のある広場へ向かった。

 その間にも緊迫した状態は、クイーンアイランド全体に広がっていく。

 ボウラーは他の捜査員達に部外者を施設内に入れないよう連絡しながら2階へ上がった。

「長宗我部……何をやっとるんじゃ!? 早くせんと逮捕ができん」

 移動している物音をペインに聞かれない様、慎重に移動し、ペインと長の様子を確認。人質になっている子供の様子を見る。

 少年はずっと泣いており、下手をすれば、ペインが発砲しかねない状態だと感じていた。その間にも爆弾の制限時間は刻々と進行している。

 ボウラーはなんとかこの状況を打破するためにも、何か手はないかと周りを見渡し、1つ目に入った。

 目に入った所は、ホビーショップに展示してあるエアガンで、シングルアクションのスナイパーライフルモデル。

「あれ、使えるか……?」

 ペインに気づかれない様ゆっくりと移動し、ホビーショップの中へ入った。

 その間にも、1階の多目的広場で、緊迫したやりとりは始まっている。

「どうする? 暇つぶしにこの子の命をかけてクイズでもやるか?」

 長宗我部はグロッグをペインに構えながら、怒声を奴に与えた。

「人の命をなんだと思っているんだ!?」

 ペインは更に怒声を彼に浴びせる。

「俺の事を誰だと思っているんだ!?」

 長は、思い切って余裕の表情で答えた。

「犯罪者だ。クズ野郎!」

 ペインは、長の答えに、いきなり笑い出した。その笑う姿はもはや狂気でしかない。もう理性とも感じられなかった。

「つまらない。全然つまらないよ。長さん。せっかく、こんなに遊んだのに最後の最後まで台無しにしてくれるなんてな」

 長は時間を広場に掛けられている大きなデジタル時計で時間を確認した。爆弾起動から3分以上が過ぎている。

 今のところ、先生からの連絡がない事から、爆弾にたどり着いていないのが分かった。



 タイムリミットまで ―53:00―


第26話です。


話は続きます。

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