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第14話 出発・解除・捜索

《登場人物》


 長宗我部 博貴 警部   (長さん)

 入船  宗次郎 警部補  (ボウラー)

 河瀬 憲仁   巡査部長 (和尚)

 古村 俊    巡査部長 (シルバーマン)

 夏目 真彦   巡査長  (先生)

 田中 悠    巡査長  (アンジェリーナ)

 佐藤 蒼太   巡査長  (ブラッド)


    ペイン  爆弾犯

 



  ― 同日 午後4時 ―



 ペインは出かける用意をしている。

 無線LANを搭載した手帳型インターネットタッチパッドをリュックに入れ、インカムを左耳に着けた。

 スマートフォンを黒色のジーパン左ポケットに入れる。

 今後の犯行で必要な物の準備を完了させて、冷蔵庫に冷やしてあるレモンキャンディーを取り出し、口に飴を放り込む。

 冷たい衝撃とレモン独特の酸っぱさが舌に絡んできた。

「さてと、警察の動きを拝見しようかな?」

 カバンを背負い、拠点である別のアパートを出て、自転車置き場へと向かう。

 タイムリミットの時間まで現場に向かう間の時間はそんなにかからない。

「商店街の無料駐輪場で停めるかー。カメラあるけど、捕まるわけじゃないし、大丈夫でしょ」

 自転車のキーチェーンを外して、自転車を道路に出した後でペインは乗って、左手の電波腕時計で時間を確認した。

 4に時計の短針が示され、デジタル数字盤には《16:00》と表示されている。

「ゲームはこれからだよん。なんちって」

 涼しい風が吹いた。

 ペインはペダルをゆっくり踏み、前進させて、目的地である大街道まで向かう。彼自身、これからの展開をすごく期待していた。奴ら=警察がどう動くか……。

 爆弾魔が犯行を行う中でこれが重要だった。

「待っててね。長・さ・ん。今会いにいくから……」





 ― 同日 午後4時01分 大街道 ―




 《00:08:32》



 爆弾のタイマーは先生のおかげで作動し始め、急いで解除を進めていく。

 緊迫した空気が張り詰める中で、大街道の商店街はどんどん時間につれて、一般のお客が買い物に来ている。先生たちの異様な光景と一般客による普通の光景が間で矛盾が起きていた。

 規制線を張れば、ペインの奴に怪しまれる可能性が有り、そのまま爆弾を作動されかねなかった為に、異様な状況が続いている。

 そんな中、長も先生の行動を後ろで見つめながら他の状況を考えている。そもそもペインの奴が言っていた赤い箱の爆弾は2つ。

 言っている事は簡単に思えるが、全然違う。本物と偽物。他の捜査員達はもう一つの爆弾を捜索し続けている。

 何故、わざわざ本物と偽物について教えたのか? ペインの目的とは何だったのだろうか?

 


 よく分からない。



「よし。これで第1段階の解除は出来た。約8分か」

 先生は額に染み出てくる汗をシャツで拭い、崩れたシャツの腕まくりを整えてから、再び解除作業に入っていく。

 捜査員達は、先生の姿をただ見ているか、一般客に悟られない様に振舞っているかのどっちかである。

 長はその中で、状況を考え、本物を探しに歩き始める。時刻は既に4時を迎えた。



 残り3時間。



 未だにもう1つの不審物は見つかっていない。先生が解除しているものが本物であってほしいと願っていた。

 足を少し早めて、爆弾の捜索を再び開始しようとした時に、スマートフォンのバイブレーションが長のポケットを経由して体に小さな振動を与える。

 相手はアンジェリーナ。

 警部は通話ボタンをおして、対応する。

「はい。長宗我部」

『私です。商店街の監視カメラのハックに成功しました』

 彼女の知らせは、捜査員たちには救いの一手になるかもしれなかった。

「そうか! よくやった。早速で悪いが、経由で送ることはできるか?」

 アンジェリーナは、自分のパソコンを駆使して、映像を長のスマートフォンへ送り込む。

『今、送ります。どうやら先生が爆弾解除しているみたいですね?』

「ああ、あと1つが見つからない。どうしても難しくてな」

 通話回線と共に画面共有でカメラの映像が表示される。

『今送りましたよ』

 映像は、商店街や銀天街、県庁付近に設置されてあるカメラが32画面で、長のスマートフォンの画面に敷き詰められて表示された。

「ああ、助かるよ。ブラッドは何をやってるんだ?」

 アンジェリーナは隣のデスクでキーボードをものすごい速さで操作している。

『彼なら、現在、1件目、2件目の爆破について調べていますが、1件目の爆破に使われた電磁ロックに使われている電子番号を用いた爆破でしたよね?』

 アンジェリーナはキーボードで送った映像を駆使しながら警部と話していく。

「ああ、電子ロックに決まっていた番号を使って、運転手が遠隔ドアロックキーで、開錠した瞬間に爆破するしくみになっていたな。でも、それがどうしたんだ?」

 手帳に書いている事を長は確認しながら、電話越しの女性ハッカーの言葉を聞いた。

『もしかしたら違う方法で爆破したかもしれないんですよ』

「なるほど」

 長の耳にはキーボードのタイピング音が聞こえる。

『ブラッドが、色々と調べています。時間はかかりますけどね』

「期待しているよ。頼むぞ!」

『了解です』

 通話を切り、長はスマートフォンを片付け、爆弾の捜索を再開させる。その間にも、先生と爆弾処理班による爆弾解除は進んでいき、第2段階へ移った。

「よし。今のところは、鉄の玉も動いてないな。次は、こっちか」

 爆弾処理班のメンバーと共に、爆弾はゆっくりと解除していく。

 制限時間を設けられている上での爆弾解除、内心は、とんでもない焦燥による衝動と冷気が立ち込めていた。

 だが、制限時間は一向に減り続いている。



 《00:05:23》

 

 

 《00:05:22》



 先生は慎重に爆弾解除を行っていく。時間は残り5分弱。爆弾解除にあたっている先生達にとって解除にあたっている爆弾が本物・偽物はもはや関係なかった。



  

  タイムリミット19:00まで  ―2:55―





第14話です。 色々と立て込んでおりました投稿できませんでした。すいません。


今回は状況確認回ですね。さて、先生の爆弾は果たして解除できるのか!?


次回をお楽しみに!


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