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サービスショットだね(断言)

‥‥なぁにぃこぉれぇ‥‥


私は、授業中だというのにも関わらず、幼稚園でエプロンをつけながら紙芝居を読んでいる‥攻略対象の松田と一緒にな!なんだこの協同作業‥‥初めての協同作業がこれって私かわいそう。


それよりちくちくと視線を感じるんだ。‥私たちとは反対の方で、おままごととお人形遊びをしている彩乃ちゃんである。正直、私もそっちに行きたかったなぁ‥まぁ、彩乃ちゃんの方が女の子に人気があったからそっちに行ったんだけどね。‥‥いいな、幼女と戯れられて、私が戯れてるのは青年だぜ‥‥?


でもいいんだ、こっちを見てるキラキラおめめのみんなが可愛いから紙芝居も悪くない。


それにしても、私達は本来ならば普通に授業を受けている筈なのに、なんでこんなところにいるんですかねぇ‥‥授業が免除されてわっほい、という気持ちも勿論あるが。


あれは、大体三時間目が始まるぐらいの時だったー‥



授業が終わって、次の授業の間に挟まれる十分休み。その時やってきたのだ。現在ここの幼稚園で職場体験をしている、松田善が。いきなり現れたイケメンに、みんなはざわついた‥特に女子が。そんな中話しかけに行った猛者がいた、彩乃ちゃんである。


「松田君、どうしたの?」


「ああ、白木さん、おはようー今さ、なんか幼稚園の方で人手が足りなくなっちゃってぇ‥それで調達してこいって言われたからさー‥」


ちょ、調達って‥‥それでいいのか幼稚園、私達みたいなぺーぺーで、もうちょっとしっかりしてもいいんじゃないですかね?


‥‥いや、これはもしかしてイベントか?この困っている攻略対象を助けるという彩乃ちゃんのイベントか!‥色々壊れてても発生するもんはするんだなぁ‥‥これはどうなるか見物ですな。


「あ、そうだ、良かったら白木さん来てみない?お花ちゃんと一緒にさ。」


「えっいいの?‥‥花ちゃん‥」


松田君が彩乃ちゃん誘ったぁぁあ、と思ったら巻き込まれましたよ、どうしよう‥彩乃ちゃんもじもじしながらこっち見てるし‥‥これ行かないと行けないんじゃ‥彩乃ちゃんの頼みとか断れないしなぁ‥


「ふふーお花ちゃんは白木さんの頼みなら断れないもんねぇ?」


にこにこ、笑ってる松田君が黒く見えるのは多分気のせいじゃなくて、でも彼を腹黒いと思うのは間違いだ。だって悪気がないんだもの‥‥そう思うしかないよね。


「‥でも、授業とか‥‥」


「大丈夫だよー何故ならっ、先生に許可をえてるからねぇ。心配しないで?」


くそっ、もう先生方にも手を回してやがる‥!これで、逃げ道が無いことが発覚したな。行くしかないのかなぁちょっと勇気ある女の子がわ、私いきますっ!とか言ってくれないかなぁー


周りを見てもそういう事する人は居なさそうだし、彩乃ちゃんならしかたないかーって感じだし‥‥‥それから私は同情の目で見られてるし‥完全に彩乃ちゃんが公開プロポーズしたせいだよね。


そのプロポーズを女子の戯れだと思った男子たちが彩乃ちゃんに告白しに行ったりしたけど、告白された彩乃ちゃんは私の事が好きだと断り、理由を聞かれると延々と私のほめ言葉や長所を話し始めるらしい。それを聞いた男子は皆さん本気だと感じ取ったらしいですね。


それ以来すごい彩乃ちゃんとの絡みをガン見されてる気がする。‥あれだね、完全に百合の扉とか開いちゃったりしたんだね。だって私の方を生暖かい目で見てくる人がいるもの。それでわんこ系女子に迫られるおかん系女子とか聞こえたよ?


ああ、こんなこと話してる場合じゃないんだった。


「‥じゃ、行きます。」


「本当?!ありがとう花ちゃん!しばらく一緒にいられるね!」


抱きついてくる彩乃ちゃんをそのままに、にこにこしながら先に行ってしまった松田君を追いかけて、職員室にいる先生に許可をもらい幼稚園に向かったのだった。



で、今は桃太郎の紙芝居をしているわけなんですが‥これがね、オリジナル桃太郎なんだよ、松田君が考えた。


「‥その時おばあさんはなんとスーパーなヤサイ人に変身したのです!そうでないと大きな桃を運べませんからね。」


まぁ、こんな調子で紙芝居を続けている。時々面白くて吹きそうになるが、頑張っておばあさんの声と桃太郎の役を演じてます。

松田君はおじいさんとかナレーターとかその他の役をやってくれる。やりなれているのか、かなりなりきってやっているので面白い。‥私もこのぐらい積極的にならなければ。


「おじいさん、大きな桃が取れたぜ?」


「すごいのぉ、さすが婆さんじゃ‥むむ、中から生命エネルギーを感じるぞい。」


‥私はおばあさん男前なしゃべり方だなぁとか生命エネルギーって子供たちわかんのかとか、色々言いたかったがこらえた。可愛らしいおばあさんの声であのセリフを言ってのけたのだ。


それからは別に大した問題もなく、無事に桃太郎が終わった。本当に大変だったんだよ、桃太郎が反抗期になったり、おばあさんがヤサイ星に帰ろうとしたり、おじいさんが鬼に対して異常な積極性を見せて切りつけたりさ‥‥


あとは子供たちの質問タイムだ。これにどう答えるのか、すっかりオリジナル桃太郎のファンになってしまった私にはかなり楽しみだ。いったいどんな裏話が聞けるんだろう。


「はーい、松田せんせ、なんでおじいさんはせいめいえねるぎーがわかったの?」


「簡単だよ、おじいさんの体の半分がロボットだったからさ。」


そう答えた瞬間子供たちにざわめきがはしる。やっぱり、そういうマシンとかにあこがれるお年頃なのね‥鷹司くんはどうやらお絵かきの方が好きみたいだけども。


「はいはい!なんで松田君と花ちゃんが一緒なんですか!」


「運命だからです。」


いや、いつからそこにいたのさ彩乃ちゃん、別に一緒にいるぐらいいいでしょう、くじ引きで決まったことだし。‥女の子に囲まれてて正直羨ましかったし‥‥


しばらく彩乃ちゃんと松田君が言い合いしてたけど、それでも美男美女のお戯れだし?そんなことまぁ言われても松田君は楽しんでるみたいだし‥彩乃ちゃんは少しムキになってるけど。


そして、ようやく人が帰ってきて、交代することになった。今は五時間目ぐらい‥今からでも行かなきゃだめかなぁ‥このまま帰りたい気もするけど、だめだよね。


「ねぇ、お花ちゃんってエプロン似合うよねぇー」


「‥そうですか?私はどうも苦手だなー主婦に見えるって言われるからさ。」


「お花ちゃんみたいな子に、一番早くおはようが言えて、一番遅くにおやすみを言えたら、僕はきっと幸せすぎて死んじゃうだろうね。」


それは言いすぎだと思うよ。だからそんな妖精的な笑顔向けないで!浄化されるから、今まで取ったRP(ロリコンポイント)とか無くなっちゃうから!


知ってるよ、私にこんな言葉をかけておいてあげて落とすんだろう!?こんなリップサービスしてるなら早くその言葉を撤回するような事を言ってくれ!


いまだに笑顔を向けてくる松田君から飛び出すキラキラをどう防ごうか迷っていると、松田君がにっこり笑いながらまた口を開いた。


「やっぱり、裸エプロンってするの?僕上乳より下乳方が好きなんだよねー」


‥‥なんだ、ただの変態か。


っておかしいでしょう。なんでこんな事をにっこり笑って聞いてくる変態になってるんだ!

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