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南の島からの帰還

遅れて、ごめーんね?

いや、ほんとすいませんでした。いや、あのですね、ちょっと忙しかったんですよ、アニメにはまったり、昔のゲームにハマったりらじばんだりー。

待ってた人は、おまたせして、もうしわけありませぬ。これからも、ゆっくりスローペースでちょこちょこ更新していきます。

これからも、ちょっとした時に思い出してもらえるようなお話を書いていきたいと思います。

よろしくね!

「ちょっと、やけちゃったかなぁ…」


Tシャツを引っ張って胸元を覗き込む。そこにはちょっとどころではない、くっきりと水着の跡が白くついてしまっていた。これを見られ、何回お風呂でからかわれたことか。と祝咲花はため息をつく。


南の島から帰ってきて、荷物をどさりとテーブルの上に落とす。流石に、駅から歩くのはきつい。重い荷物を右の方の肩にかけていたので、普通に立っていても何故か右に偏っているように感じる。


がちゃりとドアがあいて、倫太郎が入ってきた。両腕には鷹司くんと誠ちゃんを抱っこしている。

この二人は遊んで、飛行機の中で寝てしまったのだ。起こすのもかわいそうだったので、そのまま連れてきたが、家に帰るとなると流石に、起こさなければならない。

だが、連れていってくれると申し出てくれたので、ありがたく甘えさせてもらったのだ。


居心地のいい、揺り籠が止まったのを感じたのか、誠ちゃんはごしごしと目を擦りながらぱかりと口を開けて大きなあくびをした。

あざとい、さすが幼女あざとい。だがそれがいい。


「おねーちゃ…ただいま。」


「おかえりぃ誠ちゃん。まだ眠いでしょ?お布団行っててね。」


「…じゃあ、俺はこれで。」


「あ、はい。ありがとうございました。」


倫太郎はこのあと用事があるそうで、こちらを何度かチラチラと見ながら帰って行った。むん?なんだか、引き止めて欲しそうだったような…何か用でもあったのか?

それとも、あれかな。運んでやったのにお茶ぐらい出せよとか、そんなんかな?


そして、二人を寝室に寝かせて、長らく帰っていなかった家を軽く掃除して、お風呂に入って、仮眠をとって…起きてきた鷹司くんと誠ちゃんをお風呂に入らせて、そして、三人でご飯を食べて就寝。

楽しい時間は過ぎてしまうものだなぁと、寝る時にそう、思った。



そして、その出来事がもう三ヶ月前のことである。


学校に向かう途中のイチョウや紅葉もすっかり紅葉し、黄色やオレンジ、赤色に色づいて、寒い日なんかは白い息も出る程だ。

そろそろ、こたつを出さなくてはなぁ。


「…いろいろあったな。」


安く売り出され始めたみかんをむいて、十一月までのことを回想する。


まず、体育祭があった。体育祭の前日は明日だけ地球が滅亡しないかなぁと思ったものだ。だが、鷹司くんと誠ちゃんがすごく応援してくれるので期待に応えざるを得ない。

彩乃ちゃんはやっぱり張り切っていて、借り物競争に対してすごい熱意を語り、半ばほかの人に決めていたのをその熱意でもぎ取った。

なんとなく、この時から嫌な予感はした。


借り物競争。いよいよ彩乃ちゃんが出る番で、私はちゃんと生徒席で応援していた。マイエンジェルの鷹司くんと誠ちゃんも応援していた。

彩乃ちゃんはやはりハイスペックで、とても足が速かった。そして、自分のレーンの紙を見た途端、こちらにぎゅるんっと顔を向けた。

正直怖かった。これも、妖怪の仕業なのかと思った。何でもかんでも妖怪の仕業にしちゃだめだよね。


いつの間にか目の前に来ていた彩乃ちゃんに何がなんだか分からないまま連れられて、一着でゴールイン。そして、体育委員が読み上げたお題は。


『えー…お題は将来の伴侶!』


このお題を聞いたとき一瞬意識が飛びかけたがなんとか立ったままでいられた。もう立ってるのが奇跡かと思った。

将来の伴侶のことで体育委員と彩乃ちゃんがもめていたが、外国に行けば問題ないと強く彩乃ちゃんが主張し、無事に受け入れられ、そのまま一着でのゴールとなった。

あ、ついでに合同で行われたので、攻略対象さんたちも頑張ってましたよ。…え?ちびっ子参加の徒競走が可愛すぎてそれで全部記憶飛んだんだろって?な、なぜわかっ…そ、そんなわけないじゃないですかやだぁー!


後はその後に文化祭があったなぁ。なぜかね、三年最後の思い出にメイド喫茶やりたいって言い出したんだね、これが。

それで、王道かなぁって、思ってたんだけど…それじゃつまらないってことで、他のものになったんだよ。なんだと思います?


アニマル喫茶。これも王道っちゃあ王道ですよね?でもね、あれだね?動物のチョイスがマイナーすぎるかな?って思ったんだよ。だってでたのがふくろうとかハシビロコウとか、クジャクとか、ヒクイドリとか。もう、鳥類喫茶でもよくない?って、私は言いたかったね。


ちなみに私はふくろうでした。なぜかって?…丸いから似てるんだそうです。ま、丸いけどさ!でも、種類までちゃんと決めるのにはびっくりしたよ。再現率高かったな、シマフクロウ。

彩乃ちゃんはね、これもまたマイナーっていうか、なんていうか。シマエナガっていうんだよ、知ってる?私は初めて知ったなぁ。でもね、実物の写真見て可愛い!って一瞬で思ったからね。もう忘れられない。白くてふわふわ彩乃ちゃんにぴったりだ。


それでね、ちゃんと鷹司くんと誠ちゃんも文化祭に参加してたんですよ、もちろん働く側として。本当はお遊戯会だけのはずだったんだけど、家に帰っても誰も居ないし、私のクラスで一緒にやることになったんだ。頭に手作りのスズメの帽子をかぶってね、それはもう、可愛いのなんの…!いやね、鼻血がでそうでしたよ。


攻略対象さんたちもやってきましてね?売り上げに貢献してくれたんですよ。一瞬誰か気付かれなかったけどね。

お褒めの言葉もたくさんいただきました。丸っこい。丸い。ふわふわしてるね!…ほ、褒められてるよね?


まぁ、そんな感じで、終わったんですよ、文化祭も。


さっきから話し方が何かちがくないかって?あぁ、ハハハ。気のせいじゃないですかね?


「花ちゃん、私今日、可愛い下着つけてるの、み、見る…?」


背中合わせに、私によっかかって、みかんを食べていた彩乃ちゃんがご乱心だ。

彩乃ちゃん、今日からうちに住むそうです。


「え、遠慮しておきまする。」


「えぇー、遠慮しないでよっ」


求ム、同性に求愛された時の最もいい返し方。



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