南の島inスク水
昨日の夜、モデルさん達が帰ったらしいので、今日は早速海に行くことが出来る。来たときにちらっと見たけど、凄い透明度だったから入るのがとても楽しみだ。
朝ご飯を食べている途中も鷹司くんと誠ちゃんはそわそわそわそわ、海に行くのを今か今かと待っていた。ご飯を食べ終わって後もみんながなかなか外にでようとしないから、水着を早く行こう、とアピールしていた。
その結果、予定の十一時よりも一時間早く十時に出ることにした。海に脱衣所はないので、このお屋敷から着替えて出なければいけない。誠ちゃんは私達と一緒に着替えて、鷹司くんも一緒に着替えようと言ったが、俺は男だから!と断られてしまった。男性陣の方へと行ってしまった。
誠ちゃんの水着は誠ちゃんと一緒に買いに行ったもので、水色のワンピースで腰にフリフリのフリルがついている可愛らしい、水玉模様のものだ。少し伸びてきた髪は、上の方でぴょこん、と二つ結びにしてる。うへへ、可愛い。
実はこの水色、新撰組のシンボルであった誠って誠ちゃんと同じじゃね?と思い、水色をおすすめした。やっぱり似合うよ!
誠ちゃんを着替えさせた後、コンコン、扉がとノックされた。
「あ、美鈴達いるー?早めに着替え終わったから、もう行ってるよー?」
「わかったわ、行ってて頂戴。荷物持ち置いてきなさいよ!」
「ハイハイ。」
ノックの主は松田君だった。
松田君は美鈴さんに呆れた声を出し、力強そうなの置いてくからねぇ、と言って、海に向かったようだ。
私も着替えるか。服を脱いでスクール水着を手に取る。彩乃ちゃんは本当に着てくれるのっ?と目をきらきらさせながら言ってくる。着てくれるのって、これしかないから着るんですがねぇ‥ビキニとかハイレグとかよりはましだよね。
もうすでに着替えている彩乃ちゃんの水着は、彩乃ちゃんの底抜けの明るさとポジティブさを表しているような淡いオレンジ色で、ボーダーのビキニだ。下は水に濡れても大丈夫なベージュの短パンで、髪型は桃色の髪を頭のてっぺんでお団子にしていて、項にある解れ毛が少し色っぽい。
‥この女王様と天使二人の中にっ‥‥スクール水着とか‥っ‥!いや、忘れた私が悪いんだけど!
もう考えるのを放棄しながらスクール水着を着て、髪を簡単に纏める。纏めるって、普通の一つ結びですがね。元々用意していたパーカーを羽織って、完成だ。
「‥花ちゃん、パーカーきちゃうの?」
「うん、恥ずか‥彩乃ちゃん、デジカメしまおうか。」
「えっ、やだ!き、着替え中なんて撮ってないもん!ほんとだもん!」
デジカメを胸に抱きしめてデジカメを奪い取ろうとする私から死守しようとしている。そこまで焦られるとね?凄く怪しいんだよ、わかってる?
しばらく奪いとろうとしていたが、美鈴さんが彩乃ちゃんのデジカメをひょいと取り上げたことで私達の攻防戦は終わった。
「やっぱり撮ってんじゃない、嘘つかないの。はい消去ー。」
「ああっ!せっかく無音にしてとったのにぃ‥‥」
わちゃわちゃしながら外にでると、待っていたのは柚希ちゃんと無口くんだった。
2人ともかなりの荷物を持っていて、パラソルやビーチベット、クーラーボックスなど。柚希ちゃんが持っているピンク色の袋は、あまりにも柚希ちゃんに不似合いだ。
「遅かったな、女ってのは時間かかりすぎだ。」
‥本当はもうちょっと早く来れたんだよ、でも、ほら。さすがに着替えシーンを撮られるのはかなり困るからさ、仕方がなかったんです!
無口君はじっとこっちをみてくる‥え、持てと言うの?
「‥パーカー‥‥」
「‥ん?あぁ、パーカーね。ちょっと恥ずかしい水着着てるから‥隠したくって。」
「恥ずかしい‥水着‥‥」
無口君はそうつぶやくと黙って、荷物を抱えて海の方へ行ってしまった。あぁ、遅いから怒ってたんだな。
私達も無口君のあとを追うようにして、海に向かった。
「すごぉい!綺麗!広い!」
浮き輪をかぶった誠ちゃん海を目の前にした瞬間海に入ろうと駆けだしていった。‥あっ、準備体操しないと!
慌てて声をかけようとしたが、それよりも早く松田君が捕まえてくれた。
「まずは準備体操をね‥わぁ、彩乃ちゃんと美鈴、水着似合ってるね!可愛いし綺麗だよー。」
「ありがとう松田君!」
「ま、当然よね。」
美鈴お姉様になら踏まれてもいい。
‥はっ!じゃない、何を新しい扉開けようとしてるんだ。あぁびっくり、ほんとにちょっとしたことでいろんな扉開けちゃうよ。
ふぅ、とため息をつくと松田君がこっちをじっと見ているのに気づいた。
「どうしたの?」
「いやー?何でパーカー脱がないのかなって思って。」
「あー‥もう海ついたもんね。どうせ脱ぐんだけどさ‥」
どうしても脱ぐのを躊躇してしまう。しかし誠ちゃんが手を握ってぐいぐいと引っ張ってくる。‥うーん、これは行かないわけにはいかないよね。
ジッパーを下げてパーカーを脱ぐ。それを見計らった誠ちゃんは脱いだらぐいっと私を引っ張って駆け出す。
だから、何を言われるんだろうと思っていた松田君からの言葉は聞かずに済んだ。
次は~男の子視点~




