表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/21

南の島に水着は必須。

「ねぇ、なんかお花ちゃん機嫌悪くない?」


「だな‥‥ニュース見てからどうも機嫌がわりぃんだ。」


柚希ちゃんと松田君がコソコソ話し合っている。聞こえてますよ。


朝からニュースなんて見るんじゃなかった。よりによって全部のニュースで最近騒がれている女児誘拐事件のニュースがやってるんだ。


私は小さい子が大好きだ。だから、子供守るべきものであって、囲うものではない。だから、子供の監禁事件などを見るとどうも機嫌が悪くなってしまう。ニュースを見たくらいで機嫌が悪くなってしまうのはめんどくさい性質だが、誠ちゃんと鷹司くんがきてからさらに嫌悪するようになってしまったのだ。


「花ちゃん、機嫌よくしてよぉ‥‥花ちゃんが怒ってたら甘えられない、怖い。」


「彩乃ちゃん‥ごめんね、せっかく楽しい旅行なのにね?機嫌悪くしてちゃだめだよね‥これから行く松田君のお家、楽しみだね!」


彩乃ちゃんがむぅ、怒った顔を作って近付いてきたので謝罪をする、一人の機嫌が悪いと空気が悪くなっちゃうしなぁ‥周りに気を使わせないようにしないと。


船を降りて、整備された道を歩いていく。松田君のお家はどうやら森の中にあるらしい。

森と言っても、鬱蒼とした感じではなく、爽やかな、マイナスイオンたっぷりな明るい森だ。


しばらく歩くと、ようやくお家が見えてきた。‥薄々思ってはいたけどさ?やっぱりお家じゃなくてお屋敷のレベルですね。


お屋敷の近くには湖もあるようで、中に入れるそうだ。プールの代わりになるからと、湖の近くにお屋敷を建てたらしい。


男性陣が荷物を運んでいる間、誠ちゃんと鷹司くんはキョロキョロと当たりを見回していた。おばあちゃんの田舎のような少し暗い森ではないから、この光の入っている森が珍しく思えるのだろう。


「ね、花ちゃん。今日は湖で遊びましょ?彩乃ちゃんも誘って。実は私、水着二着持ってきちゃって間違えたなぁと思ってたんだけど、一つは海、もう一つは湖で分けられてると思えば‥‥ね?」


美鈴さんは無駄が嫌いな人で、合理的に動くのが好きだ。完璧主義者というものなんだろう。かといって別に冷たいわけでもないし、人を簡単に切り捨てるなんて事はしない。

完璧主義者というか、後にやるのがめんどくさいから先に済ませてしまいたいと思う、ようは動くべき時にしか動きたくない面倒くさがりやなのだと松田君は言っていた。


でも‥あのぅ、私としてはですね?彩乃ちゃんとかぁ‥美鈴さんみたいなぼんきゅうぼーんなスタイルの良い方と入るのは気が引けるかなぁ‥なんて。


あれ?そういえば私水着持ってきたっけ?私の荷物を持ってくれている無口くんにちょっとごめんね、と声をかけておろしてもらい、中身を確認する。‥あー‥無いや。


「美鈴さん、ごめんなさい、水着忘れちゃったみたいで‥一緒に泳げないかも‥」


「えぇっ南の島に来たのに水着持ってきてないの?あっ、私の貸そうか?赤のビキニと黒のハイレグどっちがいい?」


「い、いやいやいや!私が着たらぴっちぴちで見苦しくなってしまいます!」


美鈴さんの横で、ビキニかハイレグって、どんな拷問なんてすか?え?イヤミなんですか‥?

でも誠ちゃんと、鷹司くんのを忘れてないからまぁいいかな。‥そういえば一緒にはいるって約束したっけ‥破ったら私絶対、約束ヤブリンって言われちゃうよ。


「‥上にTシャツで、濡れても良いような短パン履いて泳げばいいんじゃないすか。」


「え?」


上から声がふってきたから、見上げるとそこには無口くんがいた。


Tシャツ短パンかぁ‥‥確かに予備は何枚か持ってくるように言われてるから持ってきてるけど‥それにしたってなぁ‥下は良いとして‥上がちょっといやらしくなるんじゃないかなーと、下着が透けたりしちゃうのは勘弁していただきたい。


「うーん、ちょっとそれは、男性陣の目が痛いからやめておこうかな。」


「‥‥そっすか。」


無口くんはそれだけ言うと、私の荷物を持ってさっさと行ってしまった。せっかく案を出してくれたのに、ごめんね?


少し申し訳無さそうな顔をしていたのが伝わってしまったのかわからないけど、美鈴さんはアイツむっつりだから、気にしないで良いよと言ってくれた。‥無口くんむっつりなのか。


「‥私はズボンまくって足だけ入るようにするよ。それなら問題ない!」


「ちょおっとまった!花ちゃん!こんなこともあろうかと私は花ちゃんの水着を持ってきてるよ!」


ババーン、と効果音がつきそうなぐらいの勢いで私の前に仁王立ちする彩乃ちゃんは、後ろに何かを隠している。


え、まさかビキニとかじゃないよね?ビキニとかハイレグとか出してきたら申し訳ないけど着ないからね?さすがに羞恥心はあるからね?


「肌を出すのが苦手な花ちゃんの為に、ちゃんと選びました!サイズも調べたからぴったりだよ!」


ババーン、と取り出したのは、小学校ころは大体の人が着たであろう、紺色の水着だった。


「スクール水着です!スク水!」


なんで?


「ちゃんとゼッケンで名前も書いてあるから、脱いで無くなっても大丈夫です!」


なんで?


突っ込みたい気持ちはたくさんあるが、無いよりはましかなと思えてくる。それに、お腹がちゃんと隠れるし、あまり人の目を気にせず、恥ずかしい思いはしないだろう。


「ありがとう彩乃ちゃん、借りさせてもらうね。」


「うんっ」


へにょっと笑う彩乃ちゃんは可愛い。例え、高校三年生の私に選ぶ水着がスクール水着だとしても、身体のサイズを知っていても、スクール水着にゼッケンで名前を書こうが、かわいいもんは可愛いんです。


「あっ、花ちゃん!一応、ヒモの水着も持ってきたよっ!」


感謝が薄れるからちょっとやめていただきたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ