表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/21

そうだ、南の島行こう。

夏と言えば?海である。


乙女ゲームの生徒会長といえば?金持ちである。


そんなわけで、夏休みに入っている私達は松田君の家が所有している南の島へ来ている。鷹司くんと、誠ちゃんも一緒に。初めての船なのか、きゃっきゃとはしゃいでる二人を見ると気持ちがほんわかしてくる。可愛いなぁ。


何故こうなったのか?それは、いきなり彩乃ちゃんが押し掛けてきたのが原因だった。


「花ちゃあん!聞いてよぉ、私、生徒会の旅行だなんだで一緒に行くことになっちゃったのぉ!」


えーん、と擬音が聞こえてくるようだ。

彩乃ちゃんは、生徒会の親睦を深めると言う名目で、旅行に行くことになったそうだ。あれ?学校違うよね?そうだよね?え?姉妹校だから?なら仕方がないね。


「なんか、副会長の弟も来るんだって。副会長がどうせ暇してやること無いだろうから連れてってやってって副会長がおねがいしたの。」


へぇ、そうなのか。私の胸にグリグリと顔を押し付ける彩乃ちゃんは幸せそうな顔をしている‥ちょ、ちょっと目が血走っているのでやめて欲しいかな?


「私行きたくないよぉ‥花ちゃんとずっと離れたくないしぃ‥‥もっとぎゅうってしてー‥」


「はいはい。」


彩乃ちゃんの背中をポンポンと叩いていると、ピンポーンと可愛い音がしてチャイムが鳴った。彩乃ちゃんをはがそうと思ったがはがれなかったのでそのまま玄関に連れて行くことにする。‥回覧板とかだったらどうしよう。


がちゃりとあけると、そこにはきらきらしい笑顔を振りまいている、松田君がいた。


「やっほぉ、お花ちゃん。彩乃ちゃんがいるって事は、旅行の話はもう聞いたかな?」


「はい、もう聞きました。」


「とゆうことで、お花ちゃんも一緒に行こうね、けってーい。」


ふぁっ?!いやいやいや、無理でしょ。何より鷹司くんと誠ちゃんがいるし、ひとりにするとか耐えられない!おばあちゃんのとこに行くのは悪いし‥松田君には誘ってもらっておいて悪いけど、これは断るしかないね。


「鷹司くんと誠ちゃんも一緒に行ってもいいよ?」


「えっ‥?」


「てゆうか、もうみんなで旅行にいくよって言っちゃった。」


てへっ、と笑う松田君は幼少時代とても可愛かったんだと思う。え、もう買収済みなんてすか?そうなんですか?目をぱちくりさせていると松田君の後ろから鷹司くんと誠ちゃんが出てきた。手には浮き輪や虫取り編みを持っていて‥‥


「僕、海で泳ぐの初めて!川と違って水がしょっぱいんでしょ?」


「南の島で新種捕まえる!」


‥そんなこと言われたら断れないじゃないですかぁ‥‥ねえ?



まぁ、そんなわけで、今は船に乗って移動中だ。今から一週間、南の島に行くことになる。

これからが楽しみだ。生徒会の人たちとは面識があるし、楽しめる仲間ばかりだ。ゲームセンターとか、水族館とか、コンビニとかもなくて、自然の中で伸び伸びとゆったり出来る。


「鷹司くん、網振り回したら人に当たっちゃうよ。」


「大丈夫!」


とそれを証明してみせるためか、ぶんぶんと振り回す。だけど案の定、網で誰かを捕まえてしまったようだ。あぁ、いわんこっちゃない。


「てめぇ、このガキ!」


「やるのか!こい悪の魔王!」


網を被ったのは皐月くんだった。おまけに首の部分を引っ張られたようでぐえっと言う声も聞こえた。短気は損気なんて知らなさそうな皐月くんはすぐに鷹司くんにくってかかってしまった。鷹司くんも鷹司くんで、かまってくれる人が出来て嬉しそうだ。


「楽しそうだな。‥ッケ、アイツ俺にはなつかねぇのによぉ‥」


「君は顔が怖いからねぇ、仕方ないんじゃない?あと変態だもんね!」


少しふてくされてご機嫌斜めの柚希ちゃんは、松田君にからかわれたことでさらに機嫌を悪くしたらしい。うん、柚希ちゃんは露出狂だもんね、今日のパンツは何色ですか?


松田君と柚希ちゃんも喧嘩を始めてしまった。とゆうより言い合いだけど。彩乃ちゃんは興奮して寝られなかったみたいで、すやすやと私の肩に寄りかかりながら寝ている。この席は三人座れるソファで、通路側が彩乃ちゃん、真ん中が私。そして窓側が知らない人だ‥とゆうよりも、しゃべったことが無い相手だ。背が高い無口の彼は、攻略対象の一人なんだろうか‥ちらちら見上げていると、ばちりと目が合う。


「‥‥ス。」


「あ、どうも。」


目があったのでとりあえずお辞儀してみた。うん、このまま話を広げられない、だって初めてあった人だからどう接すればいいのかわからないですよ。


前にいる誠ちゃんは窓の外をじっと見つめている。きっと海を見るのが楽しいんだろうな、いいなぁ窓側。この人と変わってもらえば良かった。

この船は大きい船で、中には食べ物を食べるところもあるし、中に宿泊施設だって大きいお風呂だってある。今回行くとこには、船で一泊するらしい。船の中でお泊まりは初めてで、私も少し浮かれている。


「みんなぁ、そろそろ夕食だって。バイキングにしてくれたから好きなのいっぱい食べてねぇ。」


「バイキング?」


夕食という言葉に反応した誠ちゃんはこてんと首をかしげた。バイキングに疑問をもったようで、多分、誠ちゃんの頭の中にはなんて日だっ!と叫ぶ芸人さんが浮かんでいるのだろう、よく誠ちゃん真似してるもんね。


「バイキングっていうのは、好きなものを好きなだけ食べていいのよ。本当は時間制限とかあるんだけど、今回は食べ放題ね。」


説明しようとしたら前にいる美鈴さんに説明役をとられてしまった。美鈴さんの方が説明お上手なんだけどね。


美鈴さんは、あっちの高校の服会長さんで、不二子ちゃんボディのお姉さんだ。ゲームには出てきていなくて、最初に会ったときは戸惑いながらも、同い年なのに心の中でお姉様と呼ぶことを止められなかった。

社会人の彼氏さんがいると聞いた、ラブラブなのよぉ、と猫目をふにゃりと垂れさせては幸せそうに語る。ごちそうさまです。


美鈴さんには弟がいるらしく、今回いくのを渋っていたが無理やり行かせることに成功したらしい。弟さんは先にいっているようだ。


用意が出来たらしく、豪華な食事に感動しながら私達は楽しい夕食を終えた。

お風呂に入りおわって、ロビーみたいなところで少し話していたら、もう寝る時間で、楽しい時間はすぐに過ぎてしまうなぁと実感させられたのだった。


でもこれからもっと楽しい時間が待っている、私は寝るとき顔がにやけるのをおさえられなくて、美鈴さんにそれを指摘されてしまい、少し恥ずかしい思いもして眠りについた。

夏休みなので、南の島編にします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ