変な本拾った。
こちらは紹介のようなもの。というより裏話。とっても短いです。
‥‥何これ。目の前にあるのは薄いピンク色の本で、題名も出版社も著者も、なにも書いていない。この私の目の前に落ちていた読んでくださいと言わんばかりのオーラを放っている本を、手にとって開いた。
そこに書いてあるのを読んでみると、なんだか妙に既視感がある。まず最初は‥なになに、みんなに頼りにされるようなお母さん?
【みんなに頼りにされるお母さんは、いつもたくさんの子供たちに好かれているんだ!プロポーズもたくさんされちゃってるよ!本人は体のことをそこはかとなく気にしているけど、そこもお母さんの魅力の一つみたいだね!いろんな秘密を知っていて、本人はそれが、バレるのがいけないことだと思ってるみたい、だけどお母さんが思っているよりも、きっとみんなもかあさんも気にしてない。博愛主義者なのか、誰にでも微笑むが誰にも振り向かない。】
ふーん、お母さんか。お母さん大変だなー、でも、たくさんの子供たちに囲まれてるならそこ変わってくれないかなー。
【お母さん大好きっこな女の子。お母さんも女の子の事が大好き!でも、この頃お母さん離れしなきゃなーと女の子は思ってるみたい。でも、お母さんの周りにいる子ども達がお母さんをいじめないか心配で、お母さんにくっついているよ!自分が可愛いことは知っている、でもお母さんはもっと可愛いと思ってる。自分を守ってくれたお母さんがとにかく大好き!】
ぺら、ぺら。
【思春期真っ只中の背伸びしたいお年頃の少年。お母さんが好きな女の子が好きだった。でもこの頃お母さんが持ってる母性にやられちゃったみたい。お母さんをいじめたことを少し後悔している。周りには強がってても、どんなに女の子が好きだと公言しても、お母さんに近付かれると逃げたくなる。もったいないから逃げないけれど
。一番のロマンチスト。】
ぺらぺら
【周りの事は気にしてないようで気にしてる。一匹狼気取った少年。お母さんには悪い印象を抱いていない。最初から好き、でも女の子として見たときに、少しもやもやとなったから、とりあえず一時期離れていたこともある。怖いふりをして威嚇をしてるけど、優しい。お母さんは自分だけが好きじゃないことに気づいたら、後はもう転げ落ちるだけ、お母さんを追いかける。】
ぺらぺらぺら
【いつもにこにこ、愛されるお顔の純黒少年。腹黒とかそんなじゃない、素直すぎるが故の真っ黒さ。子供の持っている無邪気な残酷さと同じ。お母さんは好きでも嫌いでもないけど、誰にも振り抜かないから、無理やりこちらを向かせたくなる。執着していった感じ、だから、いつもにこにこしてるけど、構ってくれないと癇癪を起こす、我が儘少年。】
ぺらぺらぺらぺら
【年下の可愛い男の子。女の子の身体とか、気になっちゃう感じの清く正しい男の子。お母さんに喧嘩してるところを拾われて、それから気になっちゃうけどでも中々会えないから歯がゆい。たまに会えた日には嬉しくてしょうがないから1日機嫌がいい。実家暮らしだから、まだいい子で居られてる。携帯の番号を聞くのを忘れて、凄い後悔している。】
‥‥厚さの割には内容少なくない?
結構厚いから中々おもしろいのかと思ったら内容が全然なかった。あとのページは真っ白だ。‥あ、まだあった。
【可愛い女の子と男の子。お母さんの癒し。女の子は色々考えてる、お母さんが心配。お母さんに悪い虫がたくさん付かないように、頑張って追い払ってる。でも、すでに悪い虫はついているのだけど。男の子は将来亭主関白になりそうでお母さん心配。男の子のほうはお母さんのもらい手が居ないなら貰ってやっても良いぐらいの気持ちでいる。】
ぺらりぺらり
【お母さんのかあさん。別に大したことはしてない普通のかあさん。前の世界を回す人。今はお母さんが過ごしやすいように色々頑張ってる。】
‥‥結局これはなんだったんだ?
私は学校にも行かないといけないので、本を元の場所に置いて歩き出した。
本はやっぱり外におくのはどうかと思って、持って帰ろうと振り返ると、そこにもう本はなかった。




