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鑑定眼の社畜、今日もブラック魔王軍でなんとかがんばります!  作者: 鳶丸


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第036話 社畜、久しぶりに魔王城へと帰還する


 行きとは違って、休み休み帰るオレたち。

 ってかヴェラが気を使ってくれてるな。

 少し時間がかかっても、休んでくれた方がオレも嬉しい。

 

 社畜時代。

 オレは夜行バスで移動していたことがあった。

 経費削減だーとかなんとかでな。

 

 いや、あれは辛かった。

 

 何時間かごとにある休憩時間のありがたいことよ。

 それをなんとなく思いだしてしまった。

 

 ヴェラは今日も元気だ。

 ビュンビュン飛んでいる。

 

 ついでにすれちがう魔物を撃ち落とすこともある。

 絶好調なのかもしれない。


 しかも、飛びながら干し肉をむしゃむしゃしている。

 どんだけ好きなんだよ。

 

 エアーズ……いや、巨木の根っこに泊まった翌日の夕方。

 オレたちは魔王城に戻ってきた。

 

「帰ってきたなぁ」


「ですわねぇ」


 ちょっと感動だ。

 オレにとっちゃ第二の故郷みたいなもんだもんな。

 

 さぁ。

 魔王様のところに行く前に……ちょっとゲロってくるね。

 

「まったく。ハルトもまだまだですわね」


 ニンゲンってなぁ空を飛ぶようにできてねえの!

 

 魔王城をほてほてと歩く。

 なんだかすれ違う魔族がぎょっとしている。

 ニンゲンが帰ってきたってなもんかな。

 

 なんかこの風当たりが強い感じは久しぶりだ。

 気持ちのいいものではない。

 

「ハルト……」


 ぎゅっとオレの手を握ってくるヴェラ。

 ありがとな。

 心配してくれたんだろう。

 

「たっだいまー!」


 オレは敢えてスイッチを入れて、魔王様の部屋のドアを開いた。

 

「む。帰ってきたか。無事でなにより」


 ちびっ子魔王様が出迎えてくれた。

 ヴェラとオレの手を握ってくる。

 

「ちと、外にでておれ」


 魔王様の言葉に従う文官さんたちだ。

 この人たちもすれちがいざまにぎょっとしていた。

 

 どかっと椅子に座る魔王様。

 オレたちも椅子に腰を落ち着ける。

 

「ご苦労だったな。後でギーガのところに顔をみせてやってくれ」


「鍛冶場の問題、うまく解決したんだって?」


「うむ。ドルド兄が魔王城にきたので驚いたがな」


 かっかっかと笑うちびっ子魔王様。


「お兄ちゃんに甘えられたか?」


「やかましい!」


 おっと。

 これは言ったらダメなことだったか。

 

「そうそう。こっちも色々と報告があるんだけどさ。ヴェラ、まずはあれを」


「わかってますわ!」


 ヴェラが首飾りの宝石を握る。

 ぺかーと光って、机の上に鉱石が六つでてきた。

 

「魔晶石か……祖母さまに気に入られたんだな。それはいいとして、これは?」


「炎晶石の鉱石。これを加工したら炎晶石になるんだって。オレの鑑定眼でばっちり見てきたから。ギーガ親方も予備があった方がいいだろ?」


「ふむぅ……鑑定眼は恐ろしいものだな。こんなにも炎晶石を見つけてくるとは」


「ぬわははは! 鑑定先生と呼びなさい! ぬわははは!」


「やかましい! すぐに調子にのりおって。で、ハルトよ。体調は?」


 魔王様がオレを見てくる。


「たぶん大丈夫。アヴィタさんのお墨付きをもらった。でも、また魔力が減ってきたら里に戻ってこいって。定期的に休まないとダメらしい」


「そうか……それにしても龍人鱗の腕輪とは張りこんだな。なにをしたんだ、ハルトよ?」


 興味津々といった感じの魔王様。

 ふふふ、よろしい。

 

 ならば語ってきかせようじゃないの。

 涙あり、笑いありの一大巨編を。

 

 ってことで龍人族の里のことを話すオレ。

 その間、ヴェラはむしゃむしゃしていた。

 

「ズルい! ズルいぞ!」


 ちびっ子魔王様が立ち上がって、拳を振り上げている。

 

「まぁまぁ。ヴェラさん、だしておあげなさい」


「ハルト……黙っていればわかりませんのに」


「そういうことは言わない。ほら」


 どんだけ食いしん坊なんだよ。

 ヴェラが首飾りからお土産をだす。

 

 ソフトタイプの干し肉と塩蔵の鮭。

 それにお肉だ。

 龍人族のみんなが大好き、イノシシ肉の香草蒸し。

 

「むほほほ、これはやらんぞ! 絶対にだ!」


 お土産だっつうの。

 両手でお肉を抱きしめている魔王様。


「誰もとらないって」


 ふしゃああと猫みたいな声をだしている魔王様。

 どんだけ食べたいんだよ。

 

「で、魔王様」


 ちょっと真面目な雰囲気をだす。

 ほへ、とアホみたいな声をだすなよ。

 気が抜けるだろ。

 

「待て、ハルト」


「ん? どうしたんだ?」


「仕事の話は明日からでいい」


「そっか……」

 

 お肉でも食べたいのかな。

 いい匂いがしているもん。


「まぁおぬしには悪いことをしたとも思っている。古き神に召喚されて、すぐに働かせたからの。魔族の信用を得るという理由もあったが、そんなものは言い訳にしかならん」


 すまんかった、と素直に頭を下げる魔王様だ。

 いい社長じゃんか。

 仕事はブラックだけど。

 

「いいよ。気にしないで。それよりさ、ちょっと相談があるんだけど」


「ん? 仕事の話じゃないのか?」


「いや、あのさ。オレとヴェラって城の離れに移れないかな」


「離れに?」


「ヴェラに聞いたんだけどな。調理ができる部屋があるって」


「ああ――確かにあるが……まさか!」


 くわっと目を見開く魔王様だ。


「そうそう。オレが料理したいんだよ」


 べつにわんこ兄さんが悪いわけじゃない。

 魔王軍の台所事情ってのは知ってる。

 

 だけどさ。

 オレはもう龍人族の里で変わったんだ。

 食事で満足するっていう生活を覚えちゃったの。

 

 さすがにもう無理だわ。

 あのうっすいスープとか。

 かっちかちのパンとか。


「いや……うむ。そういうことか……」


 ちょっと考えこむ魔王様。

 

「ならば、こうしよう。魔王城には離宮がある。そこに住むといい」


「ちょ……魔王様。そこって」


 ヴェラが口を挟む。

 なんだかとっても驚いているんだけど。


「うむ。わらわの部屋だの」


 なんだってー。

 というか、魔王様もオレのメシを御所望か。

 いいよ、メシの代わりに部屋を提供してくれるなら。

 

「ハルト、それにヴェラ。おぬしらも家族だからな。歓迎するぞ!」


 ちびっ子魔王様が笑顔で言う。

 オレとヴェラは顔を見合わせてから微笑む。

 

「よろしくな、ララゼヴィンクちゃん! オレのことはお兄ちゃん……ぐへえ」


 魔王様、色んな意味でナイス・ツッコみ。


ストックはここまでになります

ちょっと明日以降はリアルが多忙なため、更新が難しくなるかもしれません

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