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鑑定眼の社畜、今日もブラック魔王軍でなんとかがんばります!  作者: 鳶丸


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第035話 社畜、魔王城に帰る前に質問する


 翌日、龍人族はグダグダだった。

 いや、おまえらお酒飲みすぎよ。

 マジで。

 

 龍人族が酒好きってのはわかるよ。

 前世でも八岐大蛇とかいたもんな。

 ありゃヘビか。

 

 まぁどっちでもいい。

 

 とにかく全員が二日酔いでぐったりしていた。

 

「お世話になりました!」


「ハルトや、いつでも帰っておいで……うぷ」


 口を押さえるな。

 アヴィタさん、いやさ、アヴィタ!

 

「じゃあ、行くね。また帰ってくるから」


 ヴェラとオレは手を振って、彼らに別れを告げた。

 なにもこれが今生の別れになるわけじゃない。

 それに家族になったんだからな。

 

 べつに盛大な別れなんていらない。

 また、帰ってくるから。

 

「ハルトー! 気をつけるんじゃぞううう!」


 振り返らない。

 あえて手だけをあげて振ってみせる。

 ふふ……一度はやってみたかった仕草だ。

 

「さ、行きますか」


 ヴェラは元気だ。

 お酒は飲んでも飲まれない。

 って言うか、あんまり口に合わなかったみたいだな。

 

 まぁ仕方ない。

 

「頼むよ」


「任されました!」


 ぶおん、と空を飛ぶ。

 そして一気に入り口に。

 

 今度はあの長い階段を上るのか。

 そう考えたらげんなりだな。

 

 と、思いつつ扉をとおる。

 すると、オレたちは一気にメテナ廃神殿にいた。

 

「おお?」


「転移ですわ……すごいですわね」


「マジか! めちゃくちゃ便利じゃんこの腕輪!」


 龍人族の鱗を使った腕輪をなでる。

 いや、マジですごい。

 

「そりゃそうと……ヴェラ。ちょっと話しておきたいことがあるんだ」


「なんですの?」


「あのさ、別に古き神ってニンゲンを駆逐しろーなんて言わないよな?」


 これマジで大事なところだから。

 オレだって考えてたんだ、ずっと。

 ドルドの報告を聞いてから。

 

「言いませんわよ。そうですわね……」


 少し考えるヴェラだ。

 オレはじっと口を開くのを待つ。

 

「もともとこの世界には古き神々しかいませんでしたの。その間はニンゲンも魔族も平和に暮らしていたんですわ。と言っても戦争をしていないだけで、お互いの領分を侵さずに暮らしていたのです」


「まぁ仲は悪くなかったんだな」


 こくと頷くヴェラ。

 

「ですわね。一部ではニンゲンとも交流する魔族がいましたし。ところがいつの間にかニンゲンの間で、古き神々への信仰が薄れ、新しき神の信仰が増えていましたの」


 へえ……。

 

「それで新しき神は自分たちを信仰するニンゲンたちを優遇しだしたのですわ」


 なるほど。

 現世利益を謳ったわけか。

 そりゃあ実際に御利益があるとなると……増えるわな。

 

「その内、古き神々のお力が弱まり、ニンゲンたちも魔族を下に見るようになったのです。そして――」


「戦争が始まったってことか」


 詳しくはなにがあったのかわからない。

 でも、まぁ元凶としては新しき神々だな。

 

「……そうか。もともと古き神ってのはニンゲンも魔族も信仰してたのか。だったら、その信仰をまた元に戻せばいいってことか」


「ですわね。どうやればいいのかわかりませんけど」


「まぁ一年や二年でひっくり返すなんてのは無理だな。どう考えたって長い時間をかけていくしかないだろう」


 そう思う。

 信仰なんて、そんなにすぐに流行ったり廃れたりするもんじゃない。

 だから――ちょっとずつでいいから塗り替えていく。

 

「……ありがとな、ヴェラ。だいたいわかった」


「もういいのですか?」


「うん。あんまり情報を一気に詰めこんでも処理できないからな。少しずつでいいんだ。必要な分だけ」


「そうですか。また聞きたいことがあったらいつでもどうぞ」


「おう! じゃあ、そろそろまた運んでちょうだいな」


「ですわね!」


「おっと。その前にあれをやるぞ!」


 はああと気合いを入れる。

 目を閉じて集中だ。

 丹田から魔力を全身に巡らせて、叫ぶ。

 

「身体強化!」


 ぶわぁと魔力が広がっていく。

 これよ、これ。

 

 生活魔法ってのは基本的な魔法の総称だったりする。

 オレはこの基本で十分。

 

「はぁ!」


 ムダに中段突きを披露する。

 ちょっとはマシかな。

 

「へっぴり腰ですわ!」


 やかましい。

 格闘技なんてやったことないんだよ!

 戦闘力をオレに期待するな。

 

「身体強化も少しできるようになりましたわね。では、行きましょう」


「どこまで行くの? 最初にとおったあの岩の大地まで?」


「ハルト……あれ、岩ではありませんわよ」


 え? エアーズロックみたいな場所だったじゃん。

 

「あれは巨木の根っこですわ!」


 うそーん。

 そういや前世でもそういう話があったな。

 なんちゃらタワーとか言うの。

 

「まぁでもちょうどいい距離ですしね。あそこにしましょう」


 と、オレはヴェラに抱っこされる。

 そして、空中飛行へとしゃれこむ。

 

 うん。

 もう慣れたものだな。

 

 あんまり胃もぎゅっとしなくなった。

 たぶん。

 

 これも身体強化を極めたお陰だな。

 なははは!

 

 その日の夜、オレは盛大にゲロっていた。

 調子にのるのはよくない。

 これ、人生の真理。


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