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鑑定眼の社畜、今日もブラック魔王軍でなんとかがんばります!  作者: 鳶丸


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第032話 社畜、生活魔法を極める


 生活魔法とはなにか。

 オレは一から魔法ってもんを学んでいたわけだ。

 

 この世界では理をしれば、魔法を使うことができる。

 まぁ魔力がないと無理だけどな。

 

 火属性しか使えないとか、けちくさいことは言わない。

 なんだって使える。

 ただし、勉強すればの話。

 

 で、オレはアヴィタさんとヴェラを中心に、みんなに魔法を教えてもらった。

 

 アヴィタさんの連れ合いになる爺様。

 アヴィタさんと爺様の息子のオヤジ殿。

 あと、ママさん。

 

 そして、ドルドの兄貴。

 ちなみに魔王様はドルドの妹だそうだ。

 末っ子なんだってよ。

 

 龍人族はみんな気のいいヤツらだ。

 余裕があるっていうか、寛容というか。

 

 魔族の頂点とも言われる種族だからな。

 強いヤツは余裕があるんだ。

 金持ちケンカせずみたいな話かもしれない。

 

 あれから二週間くらい経っている。

 ドルドはまだ帰ってこない。

 たぶん魔王城であれこれしてるんだろう。

 

 魔王様は末っ子だからな。

 

 で、オレはと言うと……。

 

「燃えさかれ! 地獄の火炎!」


 オレの掌からピンポン球サイズの火がでる。

 

「押し流せ! 激流の波濤!」


 オレの掌からちょろちょろと水が流れた。

 

「吹き飛ばせ! 雷雲まといし大風!」


 オレの掌から微風が吹く。

 

「凍てつけ! 絶対零度!」


 オレの掌から一センチ四方の氷がぽろんと落ちる。


「常識を断ち切れ! 逆巻く念動力!」


 さっきのちいさい氷がちょっとだけ浮いた。


「清浄なる光を我に! 浄化光!」


 しゅわしゅわっという音と光がオレを包む。

 全身がものすごくきれいになった。

 

「はぁはぁ……どうよ!」


 どや顔をしてみせる。

 ふふーん。

 生活魔法を極めたもんにー!

 

「まぁ……いいんじゃありませんか?」


 ヴェラだ。

 

「うむ……まぁ使えると言えば使えておるのかのう」


 アヴィタさんも!

 

「というか、なんで清浄化の魔法だけ上手いんですの?」


「必須だからだ!」


 わかれよ。

 そのくらい。

 オレはきれい好きな社畜なんだよ。


 もう臭いとか言われたくないの!

 加齢臭とか加齢臭とか加齢臭とか!

 気になるの!

 

 まぁ身体だけは若くなってるけどな!

 

「そんなことよりハルトよーい」


 爺様が声をかけてくる。

 そんなことっておい!

 雑に扱うんじゃねえ!

 

「ほれ、これでいいんだよな?」


 爺様にはいま、魔法で肉を焼いてもらっている。

 イノシシ肉をローストするために考案した。

 オーブンの魔法だ。

 

「そうそう。その調子でもうちょい焼いてねー」


 空中でくるくると回るイノシシ肉。

 もちろん香草と塩で味つけしてあるやつだ。

 香草もあれから、かなり数が増えた。

 

 オレがあれこれとってきたからな。

 

「わかった」


「ハルト! このパンはこれでいいのかしら?」


 今度はママさんだ。

 むっふっふ。

 この二週間でオレはトウモロコシを見つけたのだ。

 

 あっちこっち連れ回されたからな。

 オヤジ殿に。


「うん、いい感じ。どんどん焼いていってねー」


「わかったわー」


 信じられないくらい食べるからな。

 ママさんが作っているのはトルティーヤだ。

 トウモロコシの粉から作る薄パンな。

 

 ちゃんとアルカリ処理をしてあるんだ。

 前にテレビ番組で見たんだよね。

 

 トウモロコシの皮って体調を崩しちゃうらしいから。

 偶に食べる分にはいいんだけど。

 主食にするなら、アルカリ処理しないと。

 

 と言っても、炭をいれた水につけるだけ。

 それで皮がはがれる。

 

 でも、龍人族たちは魔法でなんとかしちゃう。

 で、なんとかなっちゃうんだな。

 これが。

 

 二週間で、なかなか馴染んだと思う。

 兄貴とオヤジ殿の二人は今、巡回中だな。

 

 ついでに色々ととってきてもらっている。

 

 この霊地サハルーサってすごいんだ。

 地下世界のはずなのに、魚までいるんだぜ。

 鮭みたいなやつ。

 

 今は魚醤をしこんでいる最中だ。

 他にも砂糖を作れる果物があったりな。

 はっきり言って、鑑定先生が大活躍だった。

 

 そのおかげで、かなり食材が充実したんだよね。

 ついでに調味料も。

 お陰で塩味以外にもありつけるようになった。


 鑑定先生様々だ。

 偉大すぎるぞ。

 

 あと龍人族の魔法な。

 ヴェラも負けてなかったけど。

 

 正直に言おう。

 オレはもう帰りたくない。

 

 この里に永久就職したいくらいだ。

 魔法を勉強するのも楽しいしな。

 

「さて、そろそろ見てみるか」


 鑑定先生!

 

 氏名:なし

 種族:イノシシ肉

 性別:なし

 状態:しっかり火のとおったいい感じのお肉

 備考:そろそろ魔王軍に帰りましょう

 

 実は鑑定先生が最近、帰れとうるさい。

 ただ、アヴィタさんの話によると、もう少しいた方がいいらしい。

 具体的にはあと二週間。

 

 定期的にオレの身体を診てもらっているんだ。

 器でいうなら半分くらいしか魔力がたまってないんだって。


 これが満タンになったら帰っていいらしい。

 それと平行して鑑定先生を積極的に使えとも言われた。

 

 使うほど力がなじんでいくらしい。

 お陰でかなりの経験を積めたんだよな。

 

 オレの隣でニコニコしながら料理を見ているヴェラ。

 その口がくっちゃくっちゃと音を鳴らしている。

 

「ヴェラ、その干し肉はまだ食べちゃダメだって言ったろ?」


 振り返って、ぎょっとした。

 アヴィタさんに爺様、ママさんまで。

 みんなで干し肉を食べている。

 

 ソフトタイプの干し肉。

 日持ちはしないが、味が格段に美味しいのだ。


「そうは言っても、ハルトの料理は時間がかかるのですわ」


「うむ。この干し肉は小腹を満たすのに、ちょうどいいのう」


 ヴェラに続いて、アヴィタさんまで。

 爺様とママさんもニコニコしてる。

 

「なぁ。オレがいくら作っても蔵から酒がなくなるのも……」


 その場にいた全員が鳴らない口笛を吹いて誤魔化すのだった。

 こいつら、ダメだ。

 なんとかしないと。


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