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鑑定眼の社畜、今日もブラック魔王軍でなんとかがんばります!  作者: 鳶丸


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第024話 社畜、メテナ廃神殿へとたどりつく


 魔法の焚き火を囲んでいるオレとヴェラ。

 腹は減ったが仕方ない。

 ここは水を飲んで誤魔化しておく。

 

 ドライフルーツをパクリ。

 うん、しっかり甘みが凝縮されていて美味い。


 こうねっとりした食感だ。

 オレの知る果物だと、イチジクに近いかもしれん。

 実際にはなんの果実かはわからんけどな。

 

 さて、どうしたものか。

 ヴェラはお腹がいっぱいになったこともあるのか。

 少し、うとうとしているようだ。

 

「ヴェラ、寝るんなら天幕で寝なよ」


「うー。もうちょっとこのままでぇ」


 なんかちょっと言葉遣いが幼くなっている。

 仕方ないか。

 

 天幕から、厚手の布をとってきてヴェラにかけてやる。

 それにくるんと包まるヴェラだ。

 

 もう寝る気まんまんじゃないか。

 べつにいいけど。

 

 この魔法の火ってヴェラが寝ても消えないのな。

 便利でいいけど。

 

 で、オレはピンときてしまった。

 あるじゃないの。


 気を紛らわせるとっておきのものが!

 ギーガ親方にもらった煙草だ。

 

 香り草って言ってたかな。

 

 親方からもらった小袋をとりだす。

 ちゃんと鞄の中に入れておいたんだよね。

 

 キセルみたいな喫煙具。

 もう面倒だからキセルでいいか。

 

 灰皿と紙袋も入っていた。

 紙袋の中身が煙草の葉っぱなんだろう。

 

 触ってみてわかる。

 これ、パラフィン紙だ。

 

 紙に蝋を塗るか、しみこませた紙だな。

 梱包材なんかによく使われた。

 

 耐水性があるから使われているんだろう。

 

 刻まれた葉っぱを適度に丸めて、火皿へ。

 そこで気がつく。

 

 火がねえ!

 いや、目の前にあるわ。

 

 キセルを咥えたまま、焚き火に近づくと簡単に火が点いた。

 ふわぁと煙が香る。

 

 なんだろう。

 このちょっと甘い感じの匂い。

 ちょっと記憶にない。

 

 強いて言うならバニラに近いだろうか。

 うん。

 煙草っぽい喫味もしっかりある。

 

 キックが強い。

 まぁ久しぶりだから仕方ないだろう。

 ちょっとくらっとするが、こんなもんだ。

 

「ふぅ……美味いな」


 久しぶりの喫煙だった。

 親方ありがとう。

 

 オレも寝るか。

 

 とりあえずヴェラをおんぶして天幕へ。

 オレも横になる。

 今日も一日、おつかれさまでした。

 

 翌朝のことだ。

 目を覚ますと、既にヴェラの姿はなかった。

 天幕の外にでると、ヴェラがお湯を沸かしてくれている。

 

 ささっと朝食を済ませて、荷物を片づけて出発だ。

 

 腹が鳴ったが気にしない。

 

「ハルト! メテナ廃神殿まで一気に行きますわ!」


「任せた!」


 ヴェラに抱えられて、超高速飛行だ。

 まだ慣れないけど、少しは余裕がでてきた。

 

 砂漠が広がっている。

 その砂からどぎゃんと棒みたいなのが伸びてきた。

 

 ヴェラを狙ったんだろう。

 棒みたいなのは、たぶんモンゴリアンデスワーム。

 でっかい芋虫みたいなやつだ。

 

「ふん!」


 ヴェラが魔法を使ったんだと思う。

 一瞬でバラバラになるでっかいモンゴリアンデスワームだ。

 

「うへええ」


「あの程度の雑魚にかまっている暇はありませんの」


 ヴェラさん、かっこいいー。

 これぞ強者って台詞だ。

 オレもいつか言ってみたい。

 

 遠く、遠くに見えるでっかい山。

 連峰ってやつだ。

 山脈とかそういうのな。

 

「ハルト、あの山の中腹あたりにメテナ廃神殿がありますのよ」


「へぇ……ああ、それで地下なのか」


 なんとなく納得する。

 ちょうど昼あたりだろうか。

 

 オレたちは廃神殿の前にいた。

 

 ――おろろろ。

 こればっかりはなんとかならんもんかね。

 胃がぎゅるんぎゅるん言ってる。

 

 ふぅ。

 水飲んで、休憩だ。

 

 メテナ廃神殿。

 かつての宗教施設だな。

 恐らくは古き神を祀っているんだと思う。

 

 ヴェラによると、かなり古い時代のものらしい。

 オレからしたらギリシャかどっかの神殿みたいに見える。

 柱がばんばん立っていて、屋根が乗っかってる感じの建物だ。

 

 神殿は崖を背にするような感じで建っている。

 なかなか雰囲気のある作りだと思う。

 

 ヴェラと中に入る。

 神殿の奥、崖側にむかって歩いていくと、でっかい神像があった。

 奈良の大仏さんよりは小さいかな。

 

 ところどころ汚れていたり、欠けていたりはする。

 でも、しっかりと形は残っているんだから大したもんだ。

 

 数を数えると全部で十二体。

 ちょうど真ん中を空けて、六体ずつが左右に弧を描く形で配置されている。

 

 おお、なんかすげーな。

 荘厳というか、神聖というか。

 

「ハルト、この先ですわ」


 ヴェラが神像に見惚れていたオレに言う。

 もうちょっと見ておきたい。

 帰りにでも拝むとするか。

 

「ほいほーい」


 ちょうど空いている真ん中を行く。

 ヴェラが手を伸ばすと、ぶおんと音がして景色が歪んだ。

 

 水面に波紋が起きるような感じで。

 そのままヴェラが足を踏み入れた。

 

 え? 通れるの?

 

「大丈夫ですから、ついてきなさい」


 ヴェラの言葉に従って、オレも恐る恐る足を踏み入れた。

 瞬間、ぱっと景色が切り替わった。

 

 地下に続く長い長い階段だ。

 壁や天井、階段そのものがぼやっと光っている。

 なので、薄暗くはあるがまったく見えないわけでもない。

 

「おお! ファンタジー!」


 オレの声が反響して、どえらく大きく聞こえた。

 

「ちょっと、声を抑えてくださいまし」


「ごめん。ちょっと興奮しちゃって」


「まったく。さっさといきますわよ。炎晶石に魔力を吸わせて、魔王城に戻らないといけないのですから」


「わーってるよ」


 地下に続く、長い階段を降りて行く。

 もうドキドキわくわくがとまらない。

 

「ハルト、お腹が空きました」

 

 唐突に言うヴェラだ。


「って言われてもな。食料全部食べたし」


「……乾燥果物が残っていますわよね」


「はい……」


 なけなしのドライフルーツをかつあげされるオレであった。


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