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サーの奇妙な体験 36

毎週水曜日、新作投稿少しずれだらごめんなさい。

0時と共に投稿目指します


川越の街を散策のはずが不思議な縁が繋がり出す……


お楽しみに!



2人は神社の本殿にたどり着き、深く息をついて静かにお参りをしました。境内の静かな空気が、まるで時間を忘れさせるかのように心を落ち着かせてくれます。


サー

「お母さん、いくらお賽銭入れる?」


母は少し微笑みながら、昔のことを思い出すように答えます。


「私はね、いつも485円なの。昔から変わらないんだよね(笑)」


サー

「え?なんで485円なの?なんか意味があるの?」


母は軽く笑いながら首をかしげ、優しい目でサーに語りかけました。


「実はね、雅が教えてくれたんだよ。『四方八方からご縁がありますように』っていう意味があるんだって。だから、ずっとこの金額を入れてるの。昔そう聞いてから、もう変えられなくなっちゃって…変でしょ?(笑)」


母の懐かしそうな笑いに、サーもつられて微笑みます。雅の姿が不思議と近く感じられるような瞬間です。


サー

「変じゃないよ!むしろいいなあ、そういうの。私も485円にする!知っちゃったら、もう縁起を担ぎたくなるしね(笑)」


2人は顔を見合わせて笑いながら、それぞれ485円をお賽銭箱にそっと入れました。その瞬間、心の中に雅が寄り添っているかのような温かな気持ちが広がり、まるで遠くにいる大切な人と繋がっているかのような感覚が2人を包み込みます。


境内の静けさの中で、雅に想いを馳せながら、親子の絆が一層深まるひとときでした。


お参りを終えて、2人はゆっくりと境内を見渡しました。ふと目に留まったのは、絵馬がたくさん飾られたトンネル。風に揺れる絵馬が、木々の間を通り抜ける光と影と共に美しく並んでいました。


サー

「お母さん、この絵馬のトンネル、行ってみようよ。何だか素敵じゃない?」


「そうね。本当に綺麗ね… こんなにたくさんの絵馬が飾られてるなんて、壮観だわ。」


2人はゆっくりと歩みを進めながら、周りの絵馬に目を向けました。絵馬には様々な人の願い事が綴られており、手書きの文字には、それぞれの思いが詰まっているのが感じられました。


サー

「こんなにたくさんの人が、いろんな願いをしてるんだね。何だか心が温かくなる。」


「そうね…。みんなの願いが少しでも叶うといいわね。私たちも何かお願いしてみようかしら?」と、優しい笑顔で言いました。


サー

「うん、それもいいね。お願いすることで、なんとなく気持ちも前向きになれる気がする。」


2人は笑顔を交わし、穏やかな気持ちでトンネルを進んでいきます。温かな日差しが2人を包み込み、どこか優しい風がそっと吹き抜けていくようでした。


サー

「お母さん!見て、すごく立派な木があるよ!」


「あら、本当ね。あれは御神木だわ。ちょっと御神木のパワーをいただいていこうかしら?」と笑顔を浮かべながら言います。


サー

「どうやってするの?」


「サー、こっちにおいで。」と、手招きをしながら母が優しく言います。


サーは母に近づき、母の動きを見つめながら、真似をしてみました。母はゆっくりと御神木に手をそっと当て、静かに目を閉じています。


「サー、こうやって御神木さんに手を当ててね… そして、心の中で今一番叶えたい願いをお願いするのよ。」


サーは母の言葉を聞きながら、小さく頷きました。静かに目を閉じて、心の中で深く考えます。温かくて力強い御神木の存在を感じながら、サーは心の奥底から静かに願いを込めました。


『御神木さん、マーさんとまた、今までのように戻れるようにお願い…』


風がふわりと2人を包み込み、葉の間をすり抜ける音が優しく響きました。サーの願いが御神木に届くようにと、母もそっと手を合わせています。2人の願いが、木の静かな力に溶け込むように伝わっていくのを感じながら、2人はしばらくその場に佇んでいました。


サー

「お母さん、なんか氷川さまに来て本当によかった。今、体の中がスッキリした感じがするよ。まるで、悪い気を御神木さんが全部吸い取ってくれたみたい。」


母はクスクスと笑いながら

「吸い取ってくれたんじゃなくて、浄化してくれたんだよ(笑)。まったく、サーは面白いこと言うわね。」


サーは少し恥ずかしそうに

「だって知らないんだもん。今まで神社にお参りしたのって、初詣ぐらいしかないし…仕方ないじゃん(笑)。」


2人は顔を見合わせて、楽しそうに笑いながらその場を離れました。まるで、言葉のやり取りだけで重い気持ちが軽くなっていくように、心からの笑い声が境内に響きます。


しばらく歩いていくと、前方に小さな川が流れているのが見えてきました。看板には人形流し(ひとがたながし)書かれていて、サーは興味津々で足早に川へ向かって歩き始めました。母はサーの後ろをゆっくりと追いかけながら、その様子を微笑ましそうに見守ります。


サーの足取りは軽く、母も穏やかな表情でついて行く。2人は楽しいひとときを共有しながら、まるでこの一瞬が特別な時間として刻まれるかのように、ゆっくりと前へ進んでいきます。


人形流し、和紙で作られた人形を川に流して、心身の穢れを祓う(けがれをはらう)

と書いてあります。


サーがその説明を見て、少し興味深そうに振り返り、

「お母さん、これやってみようよ。心身の穢れ、ここで全部流しちゃおうよ!」と楽しげに提案します。


母も笑顔でうなずき、「そうね、やってみましょう。綺麗さっぱりした気持ちになれるかもね」と同意しました。


2人はそばに置かれた人形の形をした和紙を手に取り、それぞれ自分の体の気になる部分にそっと当てながら、心の中で穢れを祓う願いを呟きます。その姿は、静かでありながらもどこか軽やかで、心地よい空気が漂っています。


人形を川に流した後、その先には小さな鳥居が見えてきました。


サーは鳥居を指さしながら、「お母さん、あの鳥居をくぐれば良いんだよね?」と確認します。


母も優しく微笑みながら、「そうみたいね。じゃあ、しっかり祈りながら見守りましょうか」と答えます。


流れに乗って、和紙の人形が水を含んで徐々に溶けていきますが、それでも鳥居に向かって少しずつ進んでいきます。


「あともう少し!お願い!」サーは思わず声を上げ、手を軽く握りしめます。


「私のはどんどん沈んでいくわよ!」と母は笑いながら人形の行方を見守ります。その姿に、2人は思わず大笑い。


結果的に、サーの人形はなんとか鳥居を通過し、母の人形は手前で沈んでしまいましたが、それでも2人は本当に楽しそうに笑い合い、和やかな時間を過ごしていました。


さてそろそろ町の方でも歩いてみょうか

サー

うん。なんかお母さんと2人で出かけるの久しぶりだね。

すごく楽しいね。


2人は川越、蔵の町の方に向かって歩いています。

途中、芋チップスを買いそれを食べながら街を散策していました。


途中に、観光スポットの時の鐘を見学して


サー

お母さん、時の鐘って思ったより小さいんだね

でも、昔は高い建物が無かったからこれで充分だったんだろうね〜


そうね〜

でも、さっきの蔵が続いてるところとすごくマッチしてて、素敵ね

小江戸、ってわかるような気がするわね(笑)


2人は駅に向かう途中突然、恵美が

サー、大福食べたい?


サー

えぇ?

何突然?


ここよ〜


そこのお店を見てみると

『弁財天』と大きな看板。

フルーツ大福と書いてまります。


私、ここの大福、大好きなのよ…

お土産に買って行こうか?


サー

食べたことないけど、いいよ


2人は中に入って、サンプルが並んでいるのを見て


何を食べてみたい?


サー

沢山ある〜

すごく綺麗!

これ全然大福に見えないね


美味しいんだよ〜


店員

ありがとうございます。

お決まりですか?


私はこのイチゴとみかん


サー

そうしたら私も同じでいいよ


そうしたら、2つづついただけますか?


店員

かしこまりました。

今、ご用意今しますので


2人は楽しそうに買い物を済ませて外に出ました.


サー

お母さん、あの大福そんなに美味しいの?


帰ってからのお楽しみ!

フルーツの質が違うのよ

みてるだけでなく、食べてみないことには始まらないから、帰ってからのお楽しみにね

前にキウイの大福食べたんだけど、もはやキウイではかなったのよ!

それからお母さん、弁財天さんのファンになっちゃったのよ。


サー

そうなんだ〜

お母さん、食べ物うるさいもんね…(笑)



2人は川越の散策を終え駅に向かう途中、熊野神社を通りかかった時


サー

お母さん、ここに寄ろう。

なんかここ、気になるんだよね

少しだけお参りしても良いかな?


大丈夫よ、寄ってみようか(笑)


2人は鳥居をくぐり、本殿の方へとゆっくり進んでいました。境内には御守りや御朱印を扱う小さな屋台があり、その奥にいる白髪のお巫女さんがじっとこちらを見ていることに、サーはふと気がつきました。サーは少し不思議に思ったものの、特に気に留めることなく母と一緒にお参りして、再び振り返ると、先ほどの白髪のお巫女さんがこちらに向かって歩いてくるのが見えました。


お巫女さんは柔らかい微笑みを浮かべながら、静かに声をかけます。


「もし良かったら、手相を見ていかれませんか?」


突然の誘いに、サーと恵美は一瞬驚いて顔を見合わせましたが、すぐにお巫女さんの優しい雰囲気に引き込まれ、話を聞くことにしました。


「ごめんなさいね、驚かせてしまって」と、お巫女さんは申し訳なさそうに続けます。「こちらの熊野神社では、曜日によって手相を見てくれる先生がいらっしゃるんです。今日の先生は特に親切で、丁寧に手相を見てくれる方なの。あなたたち2人を見ていて、ぜひ見てもらうといいかなって思って、つい声をかけちゃったの。時間がなかったら無理しなくて大丈夫、また別の機会でもいいんですけどね。」


お巫女さんの言葉に、サーが母の方を見て提案します。「お母さん、どうする?手相見てもらおうか?」


恵美は笑顔で頷きながら、「そうね〜、今日はもう帰るだけだし、特に急ぐ予定もないから、お願いしてみようかしら」と楽しげに答えました。


「ありがとうございます。それでは、こちらへどうぞ。」お巫女さんは丁寧にお辞儀をしながら、2人を建物の中へと案内します。


建物の中は、静かで落ち着いた雰囲気が漂い、やわらかな光が差し込んでいます。手相を見てもらう場所へ向かう道すがら、サーと恵美は少し期待と好奇心が入り混じった表情を浮かべながら、次に何が待っているのかを楽しみにしていました。


お巫女はにっこりと微笑み、

「こちらにお掛けになってお待ちください」と、サーと恵美を落ち着いた雰囲気のテーブル席に案内しました。


2人は椅子に腰を下ろし、しばらく無言のまま周囲を見渡しながら、相談しようと思っている内容について考え始めます。


サーが少し戸惑いながら、

「マーさんのこと、聞いてみようか?」

と母に問いかけました。


母はため息をつきながらも、

「でも、なんだかちょっと怖いわね〜」

と呟きます。


「でも、ここまで来たし、不思議な縁かもしれないから、やっぱり私、聞いてみるよ」

とサーは決意を込めて言います。


母は優しく微笑み、

「そう言うなら、聞いてごらん。サーの気の済むようにね。お母さんは横でちゃんと聞いているから」

と、娘をそっと励ましました。


そんな会話を交わしていると、静かな足音が廊下から響き、優しそうな女性と、先ほどのお巫女さんが室内に入ってきました。


「お待たせしました。こちらは高橋さんです。何でも聞いてみてくださいね」 

と、巫女さんが丁寧に紹介します。

「こちらには、経営者の方も相談に来られることが多いんですよ。例えば、従業員のことや会社の方向性についてお聞きになることもあります。もちろん、恋愛についても大歓迎ですからね」

と笑顔で付け加えました。


高橋さんは、穏やかな声で挨拶をします。

「はじめまして。よろしくお願いします。突然声をかけられて、少し驚いたんじゃないですか?大丈夫ですか?」

と、気遣うように優しく話しかけました。


サーと恵美は、その柔らかな雰囲気に少しほっとしながらも、緊張が高まり、思わず顔を見合わせます。


恵美が微笑みながら答えました。

「大丈夫ですよ。この後は、家に帰るだけですし、実は手相を見るなんて初めてなんです。どういう風に見てもらえるのか興味津々で…今日はよろしくお願いします。」


「私も、よろしくお願いします」

とサーも緊張しながら一言付け加えました。


高橋さんはにっこりと頷き、

「今日はどんなことを知りたいですか?それじゃあ、まずは娘さんから見ましょうか?」と、優しい目でサーを見つめます。


母は軽く頷いて、サーに促します。

「お願いね」

と、サーに視線を送ります。


サーは深呼吸し、

「よろしくお願いします」

と静かに言いました。


「では、利き手を見せてください」

と高橋さんが促すと、サーは緊張しながら右手を差し出しました。


「どんなことを聞いてみたいですか?」

高橋さんが、サーの手を見つめながら静かに尋ねます。


サーは少し考えてから、遠慮がちに言いました。

「今度の火曜日、ある人と会えるのかどうか知りたいんです。それから、その人とこれからも今の関係を続けていけるのか…?

それともそこで終わってしまうのか…?

すみません、極端なことばかり言ってしまって。初めてなので、何をどう言えばいいのか分からなくて…」


高橋さんは優しく微笑んで、

「最初は皆さんそうですよ。でも、話していくうちに、今のあなたの心の声が自然に伝わってきますから、焦らずゆっくりお話ししましょうね」

と、サーを安心させるように優しく話しかけました。


部屋は静まり返り、外の音が遠くに感じるほど。周囲の静けさと、穏やかな光に包まれた空間が、2人の心に落ち着きを与えながらも、少しだけ緊張感を伴う期待が高まっていくのでした。



続く


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