サーの奇妙な体験 35
毎週水曜日、新作投稿少しずれだらごめんなさい。
0時と共に登校目指します
新たな展開からどう発展するしていくのか?
お楽しみに!
サーはスマホを取り出し、マーのお店に電話をかける準備をしました。彼女は深呼吸を一つして、自然と落ち着いた気持ちになっている自分を感じました。いつものように冷静で、緊張感は全くなく、ただやるべきことをしっかりと進めている自信がありました。
サーは冷静さを保ちながら、スマホの画面に表示された番号をタップして、マーのお店に電話をかけました。数回のコール音が響いた後、電話が繋がり、やわらかい女性の声が応答しました。
「お電話ありがとうございます。
ヘアーサロン ワイズでございます。」
サーは瞬時に頭を切り替え、自然なトーンで返事をしました。
「こんにちは、高橋と申します。少しお伺いしたいことがありまして、お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
相手は丁寧に応じてくれました。
「もちろんです。どのようなご用件でしょうか?」
サーは自分の目的をしっかりと伝えるため、言葉を選びながら、次の言葉を選びました。
「小野寺さんの事で、奥様にお聞きしたい事がありまして…
以前紺野ミユが電話をしてその友達の高橋サナと申します。」
「わかりました。確認しますので少々お待ちください」
保留音が聞こえます。
サーは頭の中で、どう伝えるか、昨夜メモに書いた事を整理しながら、保留音が止むのを待っています。
その時、保留音が切れました。
小野寺
「お待たせしました。
小野寺です。
高橋さんね、紺野さんから電話で伺ってます。」
サー
「小野寺さん、今お電話の時間大丈夫ですか?」
小野寺
「はい、とりあえず15分位は大丈夫ですから」
サー
「それでは、旦那様との経緯をお話ししますね。友達のミユから聞いてますので、不思議な事だと思いますがとりあえず聞いてください。」
小野寺
「はい」
サー
今月の初め3月13日だったんですが
新宿で、私達が男の人に絡まれていたところを、旦那様に助けていただいたんです。
私達は、旦那様のお陰で難を脱れたんです。
私達、その後が気になって2時間くらいしてまたそこに戻ったら、旦那様はもうそこにいなかったんですね。でもそこに名刺ケースが落ちてたんです。
それで、15日にお店にお礼の電話を入れたら、小野寺電話に出てくれて、それで私達お礼を兼ねて、お食事会に誘ったんです。
小野寺
「やっぱり、不思議なお話しですね…
主人は確かに5年前に亡くなってるから…
それでお店に電話くれたの15日ですか?」
サー
「はい」
小野寺
「ちょっと待ってね」
少し間があった後、奥様が電話口に戻ってきました。
小野寺
「今、スタッフにも確認取ったんですけど、まず、その日はお店がお休みだったんですね。
念の為、スタッフがお店に来てたか聞いたんですが誰も来てないみたいなんですよ…」
サー
「やっぱりそうなんですね
その後、20日の日は私は行けなかったんですが、お食事会ができたんです。
で、その時写真を撮ったんですが、のちに携帯電話が不思議な事が起きて、壊れてしまって写真が全部消えてしまったんです。」
小野寺
「本当に不思議な話ですね〜」
サー
「唯一、一枚だけ写真が残っているんです。
もしよかったら、奥様のLINE教えていただけませんか?LINEに繋いでこの写真送って確認していただきたくて…」
小野寺
「わかりました。
とりあえず私の携帯の番号教えますね」
サー
「よろしくお願い致します」
サーは感謝の気持ちを込めて返事をしました。
サー
「ありがとうございます。お手数をおかけしてすみませんでした。また何かありましたらご連絡させていただきます。」
小野寺さんは不思議そうな感じでしたが、やはり確認してみたい様子ですぐに番号を教え
てくれて、サーはこれからLINEで連絡取り合う約束をして電話を切りました。
その後、すぐに小野寺さんとはLINEがつながりました。
サーはすぐにマーのと1枚を送りました。
LINEの返信が来て、やはり間違いなく主人と確認してくれました。
奥様から、改めて、小野寺あすかと名前を教えて頂き、また、何か新しい情報がお互いあったら連絡すると約束をしました.
マーさんのお墓もあすかさんから教えてもらい、サーはお墓行くしかないと決心しました。
サーは時間を見て、まだ午前中だし、今から出て、お墓は川越みたいなので時間を計算して、13時過ぎには着けると思い支度を始めました。
その様子を見て、母が言います
私も一緒に行こうかな?
サー、ダメかな?
サー
「一緒に行ってみようか!
この先どうなるかわからないけどね」
サーは母が今でも大切と思うマーさんのお墓参りは、決して悪い事ではないし、あえて2人で行ってみたいと思いました。
サー
「そうしたらお母さん、急いで支度てね
午後イチには行きたいからね。
2人は急遽、川越まで行くために身支度を急いでして、家を出ます。
駅までの道のり母がぼんやり呟きます。
母
雅俊、何で川越の方にお店出したんだろう〜?
海無し県なのに…
サー
それは、マーさんとあすかさんしかわからない事だよね…
お母さん、大丈夫?
母
私は大丈夫だよ。
でも、なんか信じられなくてね。
サーと一緒だよ。
だからお墓参りだけでもして自分にけじめつけたいしね。
サー
お母さんが言ってるのなんかわかる様な気がする。なんかね、お母さんと昨夜の話をしたら、すごく気が楽になったんだ。マーさんは今でも大好きだし、これからももっともっと仲良くいれたらなんてずーっと考えてるし、多分一生消えない思いだと思うよ、
なんかね、マーさんもお母さんに対してこんな気持ちだったのかな〜なんて考えちゃって…
母
お母さんも一緒だよ。
お墓だけども、あの人の足跡見てみたくてね
2人はそんな話をしながら駅に辿り着きました。
サーがナビで調べて新宿に出て池袋そこから東武東上線で川越
時間は約1時間
今からなら1時には、行けるね。
とサーが言うと母は少しだけ川越観光してみようか?なんて答えがかえってきました。
サー
お母さん、遊びでは無いんだよ
母
あの人が暮らした街はどんなとこかなぁと思ってね
サーは笑いながら
サー
わかったから!
とりあえずお墓参りが先だからね!
全くお母さんどんな時でもマイペースなんだから
母
ありがとう
良かった
電車に乗ってからも2人の会話は途切れる事なく続いていました。
昨夜、涙ながらに語り合った出来事がまるで嘘だったかのように、サーと母はいつもの親子関係に戻っていました。二人の間に流れる穏やかな空気は、まるで何事もなかったかのように静かで、これまでの重い感情が少しずつ消え去り、普段の親しみやすい関係へと戻っていったのでした。
川越に着いた2人
川越を訪れたのは初めてな2人
駅前でタクシーに乗り墓地まで、帰りは歩きながら街の探索を予定しています。
サー
駅から車で5分位だから近くて良かったね
母
そうだね
早速、サーと母は駅前からタクシーに乗り込み、運転手に行き先を告げると、外の景色を眺め始めました。穏やかな時間が流れる中、ふと運転手が話しかけてきました。
運転手
「お墓参りですか? 旦那様のお墓ですか?」
突然の問いかけに、2人は少し驚いたものの、母はすぐに笑顔を返しました。
母
「ええ、そうなんです。娘とたまたま予定が合ったので、久しぶりに行ってみようって話になって。」
運転手
「それは旦那様もきっと喜ばれるでしょうね。帰りは川越でお散歩でもされますか?」
母
「そうですね。少し蔵の街並みでも歩こうかと考えています。」
運転手
「いいですねぇ。最近は観光客も増えて、すごく賑やかになってますよ。蔵の近くにある氷川神社、縁結びで有名なんですが、娘さんもどうです?」
サーはふっと笑いながら、母に向かって楽しそうに言いました。
サー
「本当? お母さん、帰りに寄ってみようよ、絶対!」
母も笑みを浮かべ、軽く頷きました。昨夜の重い話がまるで嘘だったかのように、2人の間には軽やかな笑い声が響き、心地よい会話が続いていきました。しかし、ふとした瞬間に母は遠くを見つめ、雅がこの街でどんな日々を過ごしていたのだろうと、胸の奥で静かに思いを馳せていました。
間もなくして、タクシーが目的地に到着しました。運転手が穏やかな声で言いました。
運転手
「はい、到着ですよ。お墓参りが終わったら、ぜひ川越の街も楽しんでいってくださいね。」
母は優しく頷きながら、
「ありがとうございます。」と返事をし、財布を取り出して丁寧にお会計を済ませました。タクシーを降りる際、サーに軽く微笑んで「さあ、行こうか」と声をかけると、2人は静かに歩き出しました。
母はふと空を見上げ、風に乗る木々のざわめきを感じながら、雅の眠る場所に向かって一歩一歩ゆっくりと進んでいきました。
橋の横にお花屋さんがあります
サーはそれを見て
サー
「お母さん、お花を買っていこう。お線香は持ってきたんだけど、お花のこと、すっかり忘れてた…」
母
「そうだね。お花くらい持って行かないと、きっと雅に怒られちゃうね。」
2人は近くのお花屋さんに立ち寄り、白とピンクの菊を買いました。花を手にしたサーが小さく微笑み、母も少しほっとした表情を浮かべました。
サー
「これで準備は整ったね。あとはマーさんのお墓を探すだけ。」
母
「広い墓地だったらどうしよう…。ちゃんと見つけられるかしら…。」
母の不安げな声に、サーは笑顔で答えました。
サー
「大丈夫だよ!あすかさんがLINEで簡単な地図を送ってくれたから、心配しなくていいよ。」
2人はお寺の門をくぐり、石畳の道を進みながら、地図を確認しつつ慎重に歩いていきました。風に乗って漂う線香の香りと、静けさが広がる境内。鳥のさえずりが、空気を優しく包み込んでいました。
サー
「多分、あの辺りだと思う…。」
母とサーは、地図を見ながら墓標の名前をひとつひとつ注意深く探し始めました。息を呑むような緊張感の中、2人はその場所に近づいていきます。
サー
「お母さん、あったよ!ここだ…!」
母
「そうね…。小野寺家…間違いないね。」
その瞬間、母の恵美はこみ上げてくる感情に耐えきれず、涙が自然と溢れました。声を押し殺しながら、しばらくじっと墓碑を見つめていました。
サーはそっと母の手を握りながら、墓碑の後ろに刻まれた名前を指でなぞり、日付を確認しました。
「令和元年、11月9日」。サーは静かにその日付をメモに取りました。
サー
「やっぱり、ここで間違いないね…。」
木々がそよ風に揺れ、墓地を取り囲む緑の葉が静かにサラサラと音を立てていました。遠くで鳥のさえずりが聞こえ、まるで静かな自然が2人の悲しみをそっと包み込んでいるようでした。青空の下で、木漏れ日が2人の肩に柔らかく降り注ぎ、何かが終わり、そして始まるような感覚が広がります。
サー
「やっぱり、亡くなってたんだね…。とりあえず、お花とお線香を供えようか。」
涙を拭うこともせず、2人は花束をそっと墓前に置き、線香に火を灯しました。線香の煙がゆっくりと空へ昇っていく様子を、2人は無言で見つめていました。自然にこぼれる涙が、静かに頬を伝い、2人の心の中にあった過去の重さがゆっくりと解きほぐされていくようでした。
2人は静かに墓碑の前に並び、そっと手を合わせました。風が少し強く吹き、木々が優しく揺れる音が耳に心地よく響いています。目を閉じると、自然と心が穏やかになり、2人の間に静かな時間が流れていきました。
サーは深く息を吸い込み、心の中で静かに語りかけました。
「マーさん…私、あなたのことをもっと知りたいって思っています。お母さんも、きっとそうだよね。あなたがここで見守ってくれているのを感じます。」
母も、涙を流しながら心の中で雅俊に言葉を届けました。
「雅…久しぶりね。あなたに会うことができなくて、とても寂しかった。本当に今は後悔してます。でも、サーがこうして一緒に来てくれたから、少し心が軽くなった気がするわ。ありがとう…私たち、あなたを忘れずに生きていくからね。でも、本当に、本当に今でも会いたいよ…雅…」
風が優しく2人の頬を撫で、まるで雅俊がそばで微笑んでいるかのようでした。手を合わせたまま、2人は雅俊との繋がりを感じながら、その穏やかな時間に包まれていました。
サー
とりあえず、マーさんのお墓の確認は取れた。やっぱり事実だったんだね。
母
「でも、まだ信じられないね…先週、サーは雅に会ってたんだもんね。お土産までいただいて、あんなに普通に話してたのにね。」
サー
「そうなんだよね。墓地があって、亡くなったっていう事実は目の前にある…これは紛れもない真実なんだよ。でも、不思議なことに、今度の火曜日にマーさんと会う約束があるから、なんだかまだ現実として受け入れられないっていうか…深く考えられないんだよね。」
母
「お母さんも同じ気持ちだよ。こうして墓碑を目の前にすると、これが現実だって思わざるを得ないけど…でも、もう1つの現実が今も生きていて、雅にまた会えるかもしれないって思うと、涙を流していたけどまだ、期待してしまってる自分がいるんだよね。」
サー
「うん、私も同じ。もしかして、2つの時空が重なってるのかなって思っちゃうんだよね。そう考えると、少しずつこの不思議な出来事が説明できる気がする。」
2人は、墓碑を前にしてまるで夢のような、不思議な話を始めました。静かな風が吹く中、木々のざわめきが彼女たちの会話を包み込むように揺れ、現実と幻想の狭間で語り合う2人の姿は、どこか儚くもありました。
「これが本当に今、私たちが体験していることなのか…それとも、あの人の得意なサプライズ?…』と母がぽつりと呟き、サーは墓碑を見つめながら、「もしかしたら、本当にマーさんが私たちに何かを伝えに来てくれてるのかもしれないね」と、不思議な現象の意味を探り続けていました。
母とサーはしばらく墓碑の前で手を合わせ、不思議な気持ちのまま、静かに雅俊へ祈りを捧げました。風が木々を揺らし、葉がささやくような音が響き渡る中、彼女たちは心の中でそれぞれの言葉を雅俊に送ります。
やがて母がゆっくりと立ち上がり、深く息をついて、「さあ、そろそろ行こうか」と小さく微笑みました。サーも静かに立ち上がり、手を合わせたまま最後の別れを告げました。
「うん、お母さん。行こう。」
2人はお寺の門を出て、川越の町へと向かいました。町の入り口に差し掛かると、そこには昔ながらの蔵造りの建物が立ち並び、観光客で賑わっていました。道には和菓子や小物のお店が並び、どこか懐かしい空気が漂っています。
川越の石畳の小道を歩きながら、古風な建物や蔵造りの商店街を目にするたびに、サーと母は微笑んで
サー
「すごいね、お母さん。こんなに昔の建物がそのまま残ってるんだね。雰囲気がすごくいい!」
母
「本当ね。時代劇のセットみたい。でも本物だから、余計に味があるわね。」
2人は、少し緩やかな風に包まれながら町を散策していました。木々がさわさわと揺れ、どこか懐かしい音が辺りに響き渡ります。時折、観光客の楽しそうな笑い声が聞こえ、川越の静かで穏やかな雰囲気に包まれていました。
「なんだか心が落ち着くね。』とサーも笑顔を浮かべながら、蔵造りの通りを見渡しました。
2人はゆっくりと町を散策しながら、あちらこちらの店を覗いていきます。老舗の和菓子屋の前を通ると、甘い匂いが漂い、サーはふと足を止めました。
サー
「お母さん、見て!あそこのお店、お団子売ってるよ。』
母
『サーはお団子昔から好きだったよね〜(笑)』
2人は店の前に立ち止まり、しばらくお団子を眺めていましたが、母が
母
「ちょっと疲れたし、このあたりで一休みしない?それに、少しお腹も空いてきたし。」
サー
「うん、いいね。私もお腹すいちゃった。何かおいしいもの食べたい!」
母
「それがいいね。歩き回ったら、さすがにお腹空いたよ。どこかでご飯にしようか』
2人は町をさらに歩きながら、お昼ご飯に適したお店を探し始めました。古風な喫茶店やうどん屋、和食のお店が並び、観光客でどこも賑わっています。サーは少し迷いながらも、「お母さん、何食べたい?せっかくだから、和食にしようよ」と母に問いかけました。
母は少し考え込んだ後、「うん、それがいいね。ちょうどお腹も空いてきたし、せっかくだからうなぎでも食べようか?」と笑顔で返しました。
「いいね!あ、あそこにいい感じのお店があるよ!」とサーが指差した先には、落ち着いた雰囲気の鰻屋さんがありました。店の前には木製の看板が掛かっており、「うな重」と書かれた文字が目に入りました。
「ここにしようか?」サーが嬉しそうに言い、母もうなずきました。「そうだね、ここならゆっくりできそうだし、落ち着いて食べられそうだね。」
2人は店の中に入っていきました。和風の落ち着いた内装が広がり、木の香りと静かな音楽が流れる店内は、どこかほっとできる空間です。
店員
「いらっしゃいませ。お席はお好きなところへどうぞ。」
サーと母は窓際の席に座り、メニューを開きます。地元の名物料理がいくつも並んでおり、どれも美味しそうです。
サー
「川越ってさ、さつまいもが有名なんだよね。後でさつまいものデザート食べてみようかな。」
母
『いいんじゃない!
今日は、少し贅沢しちゃおう。
サーと2人でこんなふうに出かけるの久しぶりだもんね』
2人は少し迷いながらも、笑い合いながら注文を決めました。注文が届くまでの間、外の風景を楽しんでいました。観光客や地元の人々が行き交う様子を見ながら、母とサーは先ほどのお墓参りや、雅俊との不思議な出来事について静かに話を続けました。
サー
「さっきはちょっと不思議な気分だったけど、こうして落ち着くと、やっぱり現実に戻った感じがするよね。」
母
「うん、そうね。でも、また火曜日に何が起こるか楽しみだわ。何かが全て解決するような気がするんだよね。あの人の事だから」
2人は、何か大切な答えが火曜日に見つかると感じながら、次の出来事に期待を膨らませつつ、今はただ川越の穏やかな空気を楽しんでいました。
食事を終え、2人は満足そうに食事処を後にしました。外に出ると、午後の日差しが少しずつ傾き、穏やかな風が川越の街を優しく包んでいます。古い建物が立ち並ぶ風情ある街並みを背に、次の目的地である氷川神社へ向かうことにしました。
サー
「鰻、美味しかったね〜
久しぶりだもんね」
母
「ほんと!
いつ以来かな〜
大阪ではあまり食べてないもんね〜
また、食べにこようか?」
サー
「うん。今のところ、おつまみも充実してたから、お酒を飲んでから鰻もいいね!(笑)
大人飲みしたいね」
母
「やっぱり、雅にそんなとこ似てるかもね(笑)」
サー
「タクシーの運転手さんが言ってた神社、縁結びで有名なんだってね。なんだか楽しみだね」
母
「そうね。縁結びっていうのがまた面白いわね。運転手さんも勧めてくれたし、ちょっと寄ってみる価値はあるわね〜」
2人はゆっくりと歩きながら、周りの風景を楽しんでいます。途中、道端の小さな花屋や雑貨店を覗きつつ、自然と話題は雅俊のことに戻っていきます。
サー
「ねえ、お母さん。今日こうして川越を歩いてると、なんだかマーさんがどんな人だったのか、少しずつ見えてくる気がするよ。町の雰囲気も含めて、マーさんの人柄に合ってる気がするし。」
母
「そうかもしれないわね。川越のように静かで落ち着いていて、でもどこか懐かしい感じ。雅もそんな人だったのよ。周りを温かく包み込むような優しさがあったの。」
母は少し遠くを見るような表情で話しながら、雅俊との過去の思い出に浸っている様子です。
母
「でも、今日こうしてお墓に行ったことで、やっぱり現実なんだな〜って少し実感したわ…
あの人がもういないんだって。今の空間にはね。でも、不思議ね、心の中ではまだ雅がどこかにいるような気がしてしまうのよ。サーちゃんと雅があの日会ったって話を聞くたびに、その思いが強くなってるんだよね。だからこれで終わりでは無いと期待もしているんだよね。お母さん、変かな?」
サーは母の言葉に頷きながら、同じように感じていることを伝えました。
サー
「そうだよね。私も同じ。あの日、マーさんに助けてもらったのは確かだし、その後もいろいろ出かけたりしたから。本当に亡くなってるって事、今日、お墓を見て現実なんだとは思ったけど、なんか全く別の話のような気がしていて…
火曜日にまた会うって約束があるけど、本当に会えるのかな?…
少しだけ不安になるんだ〜」
母
「きっと会えるわよ。雅は約束を守る人だったから。サーちゃんに何か伝えたいことがあるんじゃないかしら。あの人、いつも大事なことを直接言わない人だったから、もしかしたら今、そういう形で現れているのかもね。」
母は少し微笑みながら、雅俊の穏やかで慎重な性格を思い返していました。サーもそれに応じるように軽く笑い、2人は雅俊の姿を心に思い浮かべながら、氷川神社への道を進んでいきました。
やがて、神社の鳥居が目の前に現れました。周囲は静かで、少し風が木々の間をすり抜ける音が心地よく響いています。参道を進むと、境内の中にはどこか神秘的な雰囲気が漂っていました。
サー
「ここが氷川神社か…すごく静かで、マーさんが好きそうな場所だね。」
母
「本当にそうね。少しお参りして、雅に感謝の気持ちを伝えようかしら。もしかしたら、縁結びじゃなくて、私たちがまた雅と繋がるために、ここに導かれたのかもね…」
2人は微笑みながら、神社の穏やかな空気に包まれつつ、雅俊との新たな繋がりを期待しながら本殿に進んでいきました。
続く
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