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サーの奇妙な体験 34

34毎週、水曜日、登校、頑張ります


新たな展開スタート!

サーとお母さんの関係

マーさんは何もの?

どうなっていくのか?この先?

書いてる本人もグチャグチャ(笑)


母はソファーに腰をかけたと同時にサーに声をかけました。

サーちゃん、隣に座って


サー

うん


そしてサーも隣に座りました。


母は、ゆっくりと話し始めました。


「これから話すことは、サーちゃんにとってとても辛い話かもしれない。ずっと、お母さんの胸の中にしまっておいたことなの…。いつか話そうと思っていたけれど、こんなに時間が経ってしまった。本当にごめんね。」


母の声がかすかに震えています。サーはその言葉に胸が締めつけられるような感覚を覚え、無意識に自分の手を握りしめていました。


「サーちゃんのお父さん…実は生きていたんだよ。それに、嫌いで別れたわけじゃないんだ。お母さんが勝手に決めてしまったことだったの…」


母の言葉が重く響き、サーは頭の中が真っ白になるのを感じました。死んでいたはずの父は生きていた?… 目の前で語る母の真剣な表情を見つめながら、サーは自分の心臓が激しく鼓動しているのがわかりました。


「サーちゃんが今、関わっているマーさん…。実は、その人がサーちゃんのお父さんなの。」


その瞬間、サーの心の中で何かがまた崩れだしました。目の前がぼやけるほど涙が溢れ出し、頬を伝い落ちていくのを感じながらも、拭うことさえできませんでした。ただ、母の話を聞き続けることしかできなかったのです。


サーちゃんと、あの人が偶然知り合っていたなんて、想像もつかなかった。これも、神様の巡り合わせなのかな…

それとも私に対しての神様の罰なのかな?…

サーちゃんの事を引き離していたから…

あの人の事を隠していたから、神様がサーちゃんに引き合わせたてくれたのかな〜ぁ…


突然母は、軽く静かに微笑みました。


あの人ならこんな事、やりかねないわね…

サプライズ好きなあの人なら…


母は、懐かしそうに遠い昔の話を始めました。

「遠い昔の話なんだけどね…お母さんが雅俊さんと知り合ったのは、偶然だったの。雅俊さんが、私が働いていたお店に友達と遊びに来たのよ。実はその友達って、お母さんの同期の美容師でね。それが縁で、自然と話が進んで、交際が始まったの。何年か後には、一緒に暮らすようになったのよ。その頃は、お給料も少なくて、正直苦しかったけど、毎日が楽しかった。そんな私たち、いつか結婚するってお互い信じてたんだよね。」


母の言葉には、甘く切ない思い出がにじみ出ていました。サーは、母が語る過去の幸せな日々に引き込まれていきました。


「お金はなかったけど、それでも二人で夢を語りながら、いろんなところに出かけて遊んでたの。雅俊はマリンスポーツが大好きだったから、夏は海で過ごしてたわ。お母さんだって、実はね、スキーのクロスカントリーの選手だったんだから〜、信じられないでしょ?冬は2人でスキーに夢中になって、本当に毎日が楽しかったんだよ〜。」


母の目が、あの頃の輝きを取り戻すかのように光りました。しかし、その思い出話は徐々に苦い現実へと向かっていきます。


「そしてね、何年かして雅俊にすごい話が舞い込んできたの。友達のお母さんが、海外で仕事をしないかって提案してくれたの。それは本当に大きなチャンスだったの。同時に…サーが、お母さんのお腹の中にできたのよ。お母さん、すごく悩んだの。お父さんに妊娠のことを打ち明けるべきか、それとも彼の夢を応援すべきか…」

お父さんには夢があって、そのチャンスを壊したくなかった。でも、サーのことも考えて、本当にどうすればいいのか、毎日泣きながら考えていたわ。結局、私はお父さんに妊娠のことを言わずに別れる決断をしたの。それがサーちゃんを守るためだと、自分に言い聞かせて。でも、あの時の決断が本当に正しかったのか、今でも分からないのよ。

彼、優しいからきっと私のために簡単に夢を諦めてくれるの知ってたから。お母さん雅俊の事を大好きだったから…


母はその時の葛藤を思い出すかのように、一瞬言葉を詰まらせました。


雅俊と別れて、田舎に帰った後も、家族にはすごく怒られて、家を飛び出すしかなかった。友達がいる大阪に行って、サーちゃんも知ってるでしょ?あのおばちゃん。あの咲ちゃんには本当に助けてもらった。咲ちゃんには全部話してね。今ならまだ間に合うよと言われてけど、自分で決めたからって突っ張って、無理してたんだね。咲ちゃんが後悔だけはしてはいけないよって釘を刺されたんだよね。新しい生活を始めたけれど、心の中には常に後悔が残っていたの。サーちゃんに雅俊のことを話せなかったこと、そして彼にサーちゃんの存在を知らせなかったこと、全部自分が勝手に決めてしまったことが、ずっと胸に引っかかっていたのよ。今こうして打ち明けることが出来たのもあの人のおかげなんだね〜

お母さん本当にダメだったね〜

本当にごめんね、サーちゃん。


母が話す言葉の一つひとつに、長年抱えてきた痛みと後悔が滲み出ているのが、サーには感じられました。母の話を黙って聞きながら、サーはその時の母の気持ちを思うと、胸が締め付けられるような思いになりました。


サー

お母さんの田舎は何処だったの?


山形県だよ


サー

マーさんが言ってた…

忘れられない人は山形の人だと…

別れて1年後、2年後に電話もした?


したよ…

最初はサーの生まれた日

2度目は一歳の誕生日

3回目はサーが熱を出してかけられなかったんだよ

4回目はもぅ、その電話使われてなかった。


サー

マーさんが言ってた。

それを聞いた時、私の誕生日と同じだったから、鳥肌が立ったんだよ。ビックリしたんだ。

でもそれっきりになってしまったって…


でも、マーさん諦めきれなくて、山形の蔵王まで何回も行ったらしいよ。奇跡が起きて会えるんじゃないかと。

でも、もうその時お互い歳を重ねてきて、もう結婚してるよなと思って諦めたって言ってた…

お母さん、マーさんに愛されてたのが私凄くわかるよ

マーさんと話しててね、悲しい思い出なのに、全て綺麗な思い出に変わっていて羨ましいなって思ったくらいだよ。


お母さんね〜、雅俊の事本当に今でも忘れられないくらい好きだよ。


サー

でも、何で素直になれなかったの?

そんなにマーさんのこと好きだったのに?


お母さんの思い込みが強すぎたんだよね…

雅俊の幸せって何なのか…

もっと素直でいればよかったって何回も後悔したよ。

雅俊、優しいから電話かけるたびに、もう一度やり直そうと言ってくれた。

でも、サーちゃんがいて、はいとは言えなかった。

雅俊に負担を増やすし、夢を諦めさせたくなかった…

彼に電話で聞いたら海外の仕事は断ったそうで、後でお母さん、ショックで立ち直れなかった。何やってるんだろう、私ってね雅俊の夢も壊してる事に後から気がついてね。

全てお母さんの身勝手だよね。



サー

「私がいなければ、お母さんとお父さんが別れることもなかったんだよね…」


「それは違うよ、サーちゃん!」


母は力強く首を振りながら、サーの手を握りしめました。


「サーちゃんがいたからこそ、お母さんはここまで頑張ってこれたんだよ。サーちゃんは私の一番の宝物なんだから。あの頃、お母さんには雅俊に言うチャンスが何度もあったのに、勝手にそのチャンスを潰してしまったの。全部、お母さんのせいだよ…だから、サーちゃんにこんなに寂しい思いをさせてしまって…

本当にごめんね。」


母の声は震え、涙がまた溢れ出しました。サーもまた、心の奥から込み上げてくる感情を抑えきれずに泣き出しました。お互いに涙を流しながらも、二人は手を強く握り合い、ずっと話し続けました。マーのこと、過去のこと、そしてこれからどうするべきか。母の言葉には深い後悔が滲んでおり、それがサーの心にも痛いほど伝わってきました。


二人の会話はどこか心の重荷を少しずつ下ろすように、ゆっくりと時計が時を刻んでいきます。それと同時に新たな痛みや不安も浮かび上がってきました。けれども、互いに支え合い、寄り添いながら、二人はマーの存在を再確認することが出来ました。



「サーちゃん、この缶の中には雅俊との思い出が詰まってるの。写真がいっぱい入ってるから、一緒に見てみる?」


母が四角い缶の蓋をそっと開け、中から色あせた写真を取り出しました。サーはその中から何枚かをまとめて手に取り、1枚ずつゆっくりと見ていきました。


写真には、若い頃の母とマーさんが楽しそうに笑っている姿が映っています。彼の腕に抱えられて微笑む母、海辺で一緒にジャンプしている瞬間、冬の雪山でスキー板を持ちながらいたずらっぽく笑うマーさん。どれもが、彼の優しさや面白さを伝える瞬間が写し出されていました。


サー

「これ、いつ頃の写真なの?」


母は写真をじっと見つめ、懐かしそうに微笑みながら答えました。


「たぶん、今のサーちゃんと同じくらいの年齢の頃ね。若かったでしょ。あの頃はね、お父さん、どんな時でも周りを笑わせるのが得意だったの。たとえば、この写真…覚えてるのは、スキー旅行に行った時だったかな。お父さんが突然、雪だるまに帽子をかぶせて話しかけ始めて、周りのみんなが大笑いしたの。お父さんって、本当に子供みたいに無邪気で、お母さんもその時つられて笑っちゃったのよ。」


サーはその話を聞きながら、写真に映る父の姿を改めて見つめました。そこには、母を大切にし、どんな時でも楽しませようとする愛情深い姿がありました。


サー

「お父さん、すごく優しい人だったんだね…

でも、それは私も感じてた。

マーさんに会うといつも穏やかな気持ちにさせてくれてたし、楽しくて時間があっという間に過ぎてたから…」


母は涙を堪えながら、サーにそっと寄り添いました。


「そう、すごく優しい人だった。だから、サーちゃんにもその優しさがちゃんと受け継がれているのかもしれないね。サーちゃんがこんなにも大切な人だから、お母さん、後悔していることがあるんだ。でも、今こうしてあなたと一緒に写真を見られることが、少しだけ救いだよ。」


サーは母の言葉に胸が締め付けられるような感情を覚え、再び静かに涙が頬を伝いました。二人が過去の思い出を共有しながら、今この瞬間を一緒に過ごしていることの大切さを改めて実感していました。


サーは静かに言いました。


「お母さん、今度の火曜日、一緒にマーさんに会いに行こう。なんだか、少しずつだけど、わかってきた気がするんだ。本当にマーさんが亡くなってしまったのか、明日確かめてくるね。あと、きっとマーさん、お母さんに会いにきたんだよ。今までずっとお母さんに会いたくて仕方なかったんじゃないかな。だから、あの時もどかしそうにしてたんだよね…」


サーは続けました。


「マーさんお母さんに会いたいだから

【なんとかならないのかな〜こんなもどかしい事が解決する方法なんてね】

って思ってたのかも。それで、私にお母さんの事を

【そのうち話す時が来るから】

って私に言ったんだと思う。きっと、お母さんに会うために、私たちの前に現れたんだよ。」


母はその言葉に微笑みながらも、どこか切なげに呟きました。


「お母さんも、雅俊に会いたいな…」


サーはそんな母を見つめながら、少し明るい声で言いました。


「まずは、その前に、何か食べようよ。お腹すいちゃった!」


二人は目を合わせ、その瞬間の重さがふっと和らぎ、自然と軽く吹き出してしまいました。涙が乾き、少しずつ笑顔が戻るその様子に、気がつけば母とサーはいつもの親子に戻っていした。


夕食も終え、お風呂も済ませサーはベットの中で明日の行動を考えています。

まずは、お店に電話を入れて、マーさんの安否確認。もし、時間が取れれば約束をしてお話をする。

母と話して、何となくマーさんの行動がわかった様な気がしていたが、何故新宿であの形で出会ったのか?サーは1つ1つ振り返る事にして、全てメモに残す事にしました。


サー

でも全ては明日から!

残り3日何処まで出来るかわからないけど、お母さんの為にもマーさんの為にもそして私のためにも…



3月31日   土曜日


朝、目覚めると、母は朝食を作りながら鼻歌を歌っています。


サー

おはよう

どうしたの?


おはよう

何が?


サー

お母さん、なんか凄くご機嫌だよね(笑)


当たり前でしょ〜!

胸のつかえ、昨日全部出せたんだもの〜

長い便秘から解放された感じ(笑)


サー

ありえない!

普通そんな例え言わないよ〜それも朝から(笑)


いーから、いーから!

何食べたーい?


サー

何でもいいよ。

ご飯でも


ごめん、ご飯炊いてなくて

サンドイッチだけどいい?


サーは笑い出して、ならサンドイッチって言えばいいじゃ〜んと、笑いながら母との朝の会話がスタートしました。


サーは歯を磨きながら、まだ、昨夜のことが信じられない感じですが、事実なんだな〜と自分なりに受け入れていこうと思ってました。


サー

お母さん、今日とりあえず10時にマーさんのお店に電話入れてみるね。

そこからこの3日間の行動考えてまとめてみようと思って。



「闇雲に動いても無駄足になるからね。今、何が大事なのか、よ〜く考えて行動してね。」


サー

「なんか、前と違って、心配しないの?」


母は軽く微笑んで言いました。


「だって、雅のこと調べに行くんだもんね。何があったとしても、雅が助けてくれるよ(笑)。そういう人だから、サーをきっと見守ってるから!何も心配いらないから。」


母の急変ぶりに、サーは少し戸惑いながらも、母が昔の父をどれだけ信頼していたかを改めて感じていました。心の中で「若い時、あの二人は本当に信頼し合ってたんだな…でも、相当2人やばかったのかも(笑)」と少し思ってしまうサーでした。


母との会話がひと段落し、サーは気を引き締めて行動に移る決心をしました。


サーはソファーに座りスマートフォンを手に取りました。さっきまで母と交わした言葉が、彼女の中で私は1人では無いんだからもう怖がる事はないと確信しました.


サーはとりあえず、時間を見てマーのお店に電話をかけます。

前に電話した時よも、心穏やかで、何か不思議に落ち着いている自分にきがつきました。



続く



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