サーの奇妙な体験 33
すみません!少し遅れました。
毎週水曜日、投稿頑張ります!
サーとミユ、サーを思うミユ
ミユを思うサー
これから…?
仕事を終えたサーは、ミユが待つ公園へと急ぎ足で向かった。夕暮れの空が次第に暗くなる中、サーの胸には先ほどから募る不安が大きくなっていく。公園に到着すると、すぐにミユの姿が目に入った。しかし、サーが近づくとミユは彼女を見た瞬間、その場に座り込んでしまい、大粒の涙を流しながら泣き出していた。ミユのその姿に、サーの心臓は一瞬止まったかのように感じ、何があったのか理解できないまま、サーはミユの異変に気づき、急いで駆け寄りました。
サー
「ミユ、どうしたの?大丈夫?」
ミユ
サーさん………
しかし、ミユはただサーの名前を呼ぶだけで、言葉を紡ぐことができません。サーはその様子を見て、一層心配になり、ミユの肩に優しく手を置いて言いました。
サー
「私は大丈夫だから、ミユ、落ち着いてね…」
サーはそっとミユを支えながら、
「あそこのベンチに座ろう」と促しました。
ミユは頷きながらも、涙が止まらず、泣きじゃくり続けています。彼女の震える手を握り締め、サーは何も言わずにそばに寄り添い続けました。
サーはミユの震える肩をそっと抱きしめながら、優しい声で語りかけました。
「ミユ、私が来たからもう安心して。何があっても大丈夫だよ。私たち、二人ならどんなことでも乗り越えられるよね…」
サーは周りを見回し、近くに自動販売機を見つけると、「ちょっと待っててね」と言い残してお茶を買いに行きました。戻ってきたサーは、ミユにお茶を差し出しながら微笑みました。
「これを飲んで、少し落ち着いて…」
ミユは震える手でお茶を受け取りましたが、涙が止まらず、ただ頷くことしかできません。それでも、サーの優しさに少しだけ安堵が広がるのを感じ、彼女は深呼吸をしてお茶を一口飲みました。
サー
「ミユ、きっと私たちが期待していた答えじゃなかったんだよね…。でも、私はちゃんと受け止めるから。だから、ミユ、落ち着いて。私は、いつものミユでいてほしいんだ。」
サーの優しい言葉がミユの心に響きました。彼女の胸の中で、ミユはまた涙をこぼし始めましたが、その涙はどこか安心感とともに流れていました。サーは、ミユが落ち着くまでそっと寄り添い、彼女の背中を優しくさすり続けました。
サーはミユの背中を優しくさすりながら、彼女が落ち着くのを待っていました。しばらくすると、ミユの泣き声が少しずつ静かになり、サーはそっと彼女の顔を覗き込みました。
「ミユ、無理しなくていいんだよ。でも、もし話せるなら、私に話してほしい。何があったのか、私も一緒に考えたいから。」
サーの声は優しく、そして強く、ミユの心に寄り添っていました。ミユは少し戸惑いながらも、サーの真剣なまなざしに安心感を覚え、少し震えながらも声を絞り出しました。深呼吸をして、ようやく口を開き始めました。
「サーさん…今日、マーさんのお店に電話をしてみたんです。奥様が出てくれて、最初は普通にお話ししていたんですけど…でも、その後に聞かされて…」
ミユの声は震え、涙が再び溢れそうになるのをこらえながら続けました。
「マーさん…実は5年前に亡くなっていたんです…」
その言葉を聞いた瞬間、サーの頭の中は真っ白になりました。耳に届いた言葉が何を意味しているのか、すぐには理解できませんでした。
「…亡くなっていた…?」
サーはようやく声を絞り出しましたが、続く言葉が出てきません。心臓がドキドキと激しく鳴り、息をするのも忘れてしまいそうな感覚でした。
ミユはそんなサーの様子を見て、再び涙を流しながら言葉を続けました。
「信じられないですよね…私もまだ頭が混乱していて、どうしたらいいか分からなくて…サーさんにどう伝えればいいのか、本当に悩んでました。」
サーはその場で立ち尽くし、ただミユの言葉を受け止めることしかできませんでした。現実の重さがじわじわと胸に押し寄せ、言葉にならない思いが胸を締め付けていました。
ミユは、サーがショックを受けているのを見て、自分の言葉をさらに続けるべきか迷いましたが、真実を伝えるためにもう少し勇気を出して話すことにしました。
「それから…」
ミユは深く息を吸って、慎重に言葉を選びながら話を続けました。
「マーさんの奥様に、もしかしたらサーさんから電話があるかもしれないって伝えたんです。そしたら、奥様は『いつでも待ってます』って言ってくれました。サーさんが何か聞きたいことがあったら、いつでも説明してくださるそうです。」
ミユの声は少し震えていましたが、サーにこのことを伝えることで、少しでも役に立ちたいという思いが込められていました。サーの反応を気にしながらも、ミユは真剣な表情でサーを見つめました。
サーは、ミユの言葉を聞き終えると、静かに目を閉じて深く考え込みました。胸の中で何かが崩れるような感覚があり、心がどんどん重くなっていくのを感じます。それでも、無理に笑顔を作ろうとしながら、サーはポツリとつぶやきました。
「ミユ…もしかしたら、全てこの事で不思議な事が起こっていたのかな…?」
サーの声は震え、涙が自然と頬を伝って落ちていきました。
「マーさんは、もしかして…幽霊だったのかもしれないね。それを神様が追い払おうとしてたのかな…それで思い出を全部消すために携帯事件が起きたのかな…」
言葉にするたびに、サーの胸の内がさらに苦しくなり、涙が止まらなくなりました。ミユを前にして、自分を強く保とうとする気持ちと、どうしようもない悲しみが交差し、サーもただ泣き続けました。それでも、ミユのために、そしてマーの思いをしっかり受け止めるために、続けます
サーは涙を拭きながら、ミユに優しく語りかけました。
「私、もう少し調べてみるね…ミユはもうここで終わりにしよう。これ以上、ミユが辛い姿を見るの、私も辛いから。ミユの優しさすごくわかるから…それで今日一日苦しんだんだよね…。
ミユ、私のためにごめんね…。」
サーも涙が自然に溢れてきて、ミユの姿もにじんで見えないくらいに…。サーはそれでもミユに話し続けます。
「マーさんの奥様に会って、事情を全部話してみたいんだ。そしてマーさんのことを、もっと知りたいから。」
ミユはすぐに応じました。
「私も手伝います、サーさん。」
サーはその申し出に感謝しつつ、決意を込めて言いました。
「ミユ、本当にありがとう。でもね、今度の火曜日に、マーさんとの約束があるんだ。それまでに、自分でできるところまでやってみたいの。なんか…後悔したくなくて。マーさんのことを、自分の目で確かめたいんだ。ここまで2人でやってきたのに、最後にわがまま言ってごめんね…」
サーの言葉には、マーに対する深い思いと、ミユに対する感謝の気持ちが込められていました。それは、ただの好奇心や使命感だけではなく、父親のように慕っていたマーの真実を知りたいという、切実な願いでした。その気持ちをミユに伝えることで、ミユはわかってくれる。サーは自分自身に言い聞かせ、これからの行動を意識していかないとと考えていました。
サーとミユは、互いに気持ちを確認し合った後、ゆっくりと立ち上がり、静かに公園を後にしました。サーは深い息をつきながら、これからの重い現実を胸に抱えつつ、ミユと並んで歩き出します。
あたりはすっかり暗くなり、空は薄暗く、どこか沈んだ色合いを帯びていました。二人の歩調は自然と揃い、駅へ向かう道を静かに進んでいきます。会話も途切れがちで、サーはこれから訪れるであろう困難に思いを巡らせ、ミユもまた、サーにどう声をかけるべきかを悩んでいました。
「ここまで来たら、あとは自分でやってみるよ。」
サーがようやく口を開くと、どこか決意がこもった声でした。ミユはうなずきながら、
「分かりました、サーさん。何かあったり、困ったことがあったらすぐに連絡してくださいね」と答えてくれました。
駅の入口が見えてくると、二人は自然と足を止めました。別れの時が近づくと、その場の空気が一層重く感じられます。サーはミユに向かって微笑もうとしましたが、その微笑みはどこか悲しげで、やり場のない不安が胸に広がります。
「じゃあ、またね…」
サーがそう言うと、ミユは静かにうなずいて「また、ね…」
と返します。短い言葉の中に、互いの思いがぎゅっと詰まっているようでした。
二人は最後に一瞬だけ目を合わせ、それぞれの家路へと歩み出しました。サーは駅の改札へ、ミユは別の道へ。サーの背中を見送るミユの目には、まだ重い心の影が残っていました。そして、サーもまた、ミユと別れた後に再び訪れる静寂の中で、これからの試練に対する不安を一人、抱えることになりました。
帰りの電車に揺られながら、サーは静かに車窓の外を眺めていました。暗くなり街並みが流れるように過ぎ去っていく中で、心の中には次々とマーとの思い出が蘇ってきます。
初めて出会った時の優しい笑顔、ふとした瞬間に見せる温かな眼差し、そしていつも彼がサーにかけてくれた励ましの言葉。どの記憶も鮮明に浮かび上がり、その一つ一つが心に深く刻まれていることを改めて感じます。
「どうして、マーさん…」サーは心の中で問いかけますが、答えは返ってきません。今はもう、彼がこの世にいないという現実が重くのしかかり、その事実にどう向き合えばいいのか分からず、胸が締めつけられるような思いでいっぱいです。
車窓の向こうには、夜の街が光輝いていますサーの心の中とは逆で無意識に涙が溢れてきました。手の甲でそっと拭おうとするものの、涙は次から次へと溢れ出し、止めることができません。
電車の中で一人、サーは自分の無力さと向き合いながら、ただただマーとの思い出に浸り、どうしようもない感情の波に飲まれていきます。すれ違う人々の姿も、目の前の景色も、全てが遠く感じられ、自分だけが取り残されているような孤独感が胸に押し寄せてきます。
「マーさん…」心の中で呟きながら、横浜や井の頭公園は幻だったの?
考えるだけで涙が溢れてきます。
駅に着いて自宅に向かう間サーはずぅーと、マーの事を考えています。
何で、私の前にマーさん現れたんだろう?
本当に亡くなってるのかな?
それとも、それも実は嘘で本当は生きてる?
それこそ、何かがマーさんとの関係を邪魔しようとしているのかも…
なんか疑問がおおくなってきて
サーはだんだん訳が分からなくなってきて混乱し始めています。
でも邪魔をするにしては携帯事件は普通の人では出来るわけないし…
雷も起こせないし
やっぱり普通ではない事は確かだよな〜
仮にマーさんが亡くなっていたとして何で写真も写せてお店の人とも話ができたのか?
今思い出しても、全く普通の人で、幽霊には見えなかったし…
やっぱりマーさんの奥様に会って話した方が早いかもしれない。
サーは携帯を開いて1枚だけ残ったマーさんの写真を見つめています。
この写真を見てもらって間違えないか確認してもらった方が早い。
まず、サーはマーさんの生存を確認することが今一番優先すべきことだと確信しました。期限はあと4日、実際に動けるのは3日しかありません。
サーは携帯を取り出し、上司の田中さんに電話をかけました。
サー
「お疲れ様です、田中さんですか?」
田中
「サーちゃん、どうしたの?」
サー
「実は、急なんですが明日からお休みをいただけないでしょうか。」
田中
「急にどうしたんだ?」
サー
「母がまた少し体調を崩してしまって…本当に申し訳ありません。」
田中
「そうか、それなら仕方ないな。分かったよ。それで、いつ頃出社できそうかな?」
サー
「来週の水曜日には必ず出社するつもりです。大丈夫でしょうか?」
田中
「分かったよ。何とかするから心配しないで。お母さんのために、しっかりそばにいてあげなさい。」
サー
「田中さん、いつもありがとうございます。ご迷惑をおかけします。」
田中
「また何かあったら連絡してくれ。お母さん、お大事にね。」
サー
「はい、ありがとうございます。それでは、失礼します。」
電話を切った後、サーはいつも優しい田中さんに嘘をついてしまったことに胸を痛めました。しかし、今このまま仕事を続けていても、自分は中途半端な状態になり、結果としてみんなに迷惑をかけるだけだと自分に言い聞かせました。今、やらなくてはいけないことに向き合わなければ、後で絶対に後悔する。そう感じたサーは、決意を新たにしました。
家に着くと母が明るく迎えてくれました。
母
おかえり
サー
ただいま。
母
もう少しで夕食だからね
サー
ありがとう
お母さん、明日から仕事休むね
母
どうしたの?
具合悪いの?
サー
「お母さん、今日ちょっとあって…もう上司には連絡したから大丈夫。でも、お母さんが体調悪いって嘘ついちゃった。ごめんね。」
母
「そんな嘘ついて大丈夫なの?それに、何があったの?サーが嘘をついてまで休むなんて、あなたらしくないわね。」
母の言葉を聞いた瞬間、サーは胸の奥から涙が溢れてくるのを感じました。それを拭おうともせず、母にすべてを説明しようと思ったのですが、うまく言葉が出てきません。
母
「どうしたの、サー?泣いて…一体何があったの?」
母はそう言いながら、優しくサーを抱きしめました。その瞬間、サーは堪えきれず、母の胸の中で涙が止まらなくなりました。母の温もりに包まれながら、サーはただ無言で泣き続け、心の中に溜め込んでいた感情が次々と溢れ出していくのを感じていました。
サーが少し落ち着いた頃、母はサーを抱きしめながら、優しく心配そうに尋ねました。
母
「サー、一体何があったの?何か辛いことがあったのなら、何でも話してくれていいんだよ。お母さん、あなたがそんな風に涙を流すのを見てると、心配でたまらないの…。」
サー
「うん…
ちょっと待ってね
今、話すから…」
サーは涙を拭い、胸に溜まった感情を抑えるように深く息を吸い込んでから、震える声で静かに話し始めました。
サー
「今日ね、ミユがマーさんの奥様と話をしてね、マーさんが5年前に亡くなってると言われたの。。私たちの予想とは全然違う答えで、どうしていいか分からなくなって…
私、どうしてもマーさんが亡くなった事信じられなくて…」
サーはまた、涙が溢れてきます…
それでも母に伝えようと、涙が流れながらも…
「それで私、いろいろ考えて、明日から調べてみようと思って会社、お休みにさせてもらったの…
マーさんが亡くなってるなんて信じられなくて…
あの横浜とか吉祥寺、一緒に過ごした時間幻だったの?今、現にあのマグカップはあるのに?あれも幻?お母さんと食べた肉まんも?
それにこの写真も」
サーは携帯を取り出して、初めて母にマーの写真を見せる為、携帯をわたして見せました。
サーは説明を続けます。
サー
「横浜とか、吉祥寺で写真をたくさん撮ったのに全部消えてしまって、残ったのはその1枚だけ…」
サーは話の途中で母の顔に目をやりました。すると、いつもと様子が違うことに気づきました。穏やかな母の顔が、どこか緊張しているようで、サーは驚きを隠せませんでした。さらによく見ると、母の目には涙が浮かび、頬を伝って静かに流れていました。
サー
「お母さん、どうしたの?」
母は涙を拭いながら、サーの携帯の画面に目を向けたままそして、震える声で尋ねました。
母
「サー、この携帯に写っているマーさんの名前、なんていうの?」
サー
「小野寺雅俊…」
その名前を聞いた瞬間、母はさらに涙をこぼし始めました。少し震えながら、しかしどこか懐かしそうに母はつぶやきました。
母
「マーさんって、雅俊さんだったんだ…そうだったんだ…」
母はサーの携帯の画面をじっと見つめながら、かすかに微笑んでいました。しかし、その微笑みの裏には深い感情が隠れているようでした。母は次第に下を向き、涙が頬を伝い落ち続ける様子を、サーは何も言えずにただ見守るしかありませんでした。
しばらくして、母は顔を上げ、サーをじっと見つめました。その目には、いつもの優しい母の瞳が輝いていました。
母
「サー、前に言った四角い缶のこと、とうとう話す時が来たみたいだね。」
そう言って、母はテレビの下の棚から、あの四角い缶を取り出しました。缶を手にした母の手は少し震えていましたが、その目には何かを決心したような強さがありました。
サー
「これ…前にお母さんが言っていたやつだよね。何が入ってるの?」
母はその缶をそっと撫でながら、優しく答えました。
母
「これはお母さんの大切な思い出…本当の宝物。サーと同じくらい大切な宝物…」
その言葉には、母の深い愛情と、何か大切なものを守り続けてきた時間の重みが感じられました。
続く
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