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サーの奇妙な体験 24

もし良かったら、感想とかいただけたらと思います。

よろしくお願い致します。


これから後半になってきます。

これからとんでもない事に…


社員食堂で、わかながサーに声をかける。


わかな

サーさん、お疲れ様です!


サー

お疲れ様、お待たせ。早かったね〜


ミユ

サーさんに早く伝えたくて。


サー

何かな?


わかな

私たち、すごく頑張ったんですよ!


サー

聞いてるよ、マーさんから。


ミユ

そうなんですか?


サー

昨日、会っちゃった!


ミユとわかなは目を丸くして驚いています。


ミユ

いつの間に約束したんですか?


サー

あの晩、マーさんからLINEが来てね、それでマーさんが次の日休みだから食事に行ったんだ。


わかな

マジか!


ミユ

わかな、最近口悪いよ〜。お酒飲んでないよね!


サー

まぁまぁ〜。でもね、そんな流れになったのは、二人のおかげだよ。そのおかげで、マーさんが私に会ってみたくなったんだって!だから、ミユとわかなに感謝だよ。昨日、本当に楽しくて、最高だったよ。


ミユ

でも、私は最悪でしたよ〜ぉ!


サー

ごめん、ごめん、そんなつもりないんだけどね。でも、不思議だよね〜。わかなは何も聞こえなかったんだよね?


わかな

そうなんです。私が横にいたんですけど、突然ミユさんが携帯を下投げした感じで…


わかなは身体を使って下投げの動作を再現する。


ミユ

私は、ただただ突然のことでびっくりしてその時のことあまり覚えてないくらいなんですよ…ただ、雷が自分たちの上で鳴ったのは今でも覚えています。本当にビックリしちゃって気がついたら携帯が飛んでたんです…


サー

ミユは今まで、不思議な体験とかしたことある?例えば幽霊見たとか、金縛りにあったとか?


ミユ

全くないです。出来れば幽霊に会いたいと思うくらいなんですけど、全くないですよ。サーさんは見たことあるんですか?


サー

無いよ!でも、ミユの話聞いてると不思議じゃない?わかなには聞こえない雷の音。ミユが、冗談言う訳ないしね。


ミユ

サーさん、ありがとうございます。やっぱりサーさんは大好きです。ちゃんと信じてくれてて…


サー

不思議なことだけど、ミユがそう言ってるんだもん。信じるしかないじゃん!


ミユ

サーさん…


サー

でも、調べようが無いからどうしようか?


ミユ

大丈夫ですよ!信じてくれるだけで、私は嬉しいですから。きっとこの話、他の人に話しても、絶対信じてくれないし、自分でもなんでだろうって、ずぅーっと振り返っても全くわからなくて…だから、信じてくれる人がいるだけで大丈夫ですからね。


サー

わかなはどう思う?


わかな

私は突然、ミユさんが携帯飛ばしたからどうしたのかな〜って…でも、今思えば、飛んで行ったのが不自然な感じがするかも…


サー

それってどう言うこと?


わかな

投げたと言うよりも、引っ張られたような感じもするかも…でも、これ私のかすかな感じなので当てにしないでくださいね。映画とかでワイヤーアクションで引っ張られて飛んでいく感じかなって…


サー

なんか、やばくない?ミユちゃん、とんでもない体験してたんじゃない?


ミユ

でも携帯の代償は大きいですよ!


サー

確かに!あそこ、なんかあったっけ?例えば交通事故とか?


わかな

聞いたこと無いと思います。


ミユ

サーさんにマーさんの写真見せたかったけど、全部パーになっちゃって…すみません。わかなも撮ると言ってたから、任せればよかったと今つくづく思います…


わかな

私、ミユさんが撮るからって言ってくれたから、私一枚も撮らなかったんですよ…


サー

それは仕方ないよ。

大丈夫だよ。昨日、実はマーさんと、ツーショット撮っちゃった。


ミユ

どこ行ったんですか?


サー

横浜まで、ドライブしたんだよ。


わかな

いいな〜ぁ!


ミユ

すごい!本当に急展開!それでどうでした?


サー

やっぱりすごく優しいし、頼り甲斐があって、理想の男性って感じ。


ミユ

そこまで言ってしまうって事は…

サーさん、もう重症ですね(笑)


サー

そうじゃなくてね

マーさんがお父さんだったらな〜

なんて憧れだよ…


ミユ

あぁ〜…

そっか…!

なんか、サーさんの気持ちすごくわかるような気がします…

この前、飲んだ時、サーさんが憧れる意味が

今、すごくわかります。

よかったですね〜


サー

うん!

だから、昨日、小さな夢が1つかなったんだ…


わかな

羨ましいな〜


ミユ

でも、本当に良かった

私まで嬉しくなってきちゃった…


ミユとわかなは、サーの事情を勿論知っていたので、サーの気持ちがすごく伝わっていました。


ミユ

次の約束はもうしたんですか?


サー

うん

いちょう、来週の火曜日なんだけどね

まだ、何も決まってないよ

だから今夜、LINEする予定なんだ。


わかな

でも、マーさん結婚してるから気をつけて下さいね

サーさんの気持ちを、奥さんが認めてくれるのは、やっぱりムズイと思うので…


サー

確かにそうだよね…

奥さんには関係ないもんね…

だからね、自分1人の憧れでも良いと思ってるんだ。

あの事件がきっかけで、マーさんと出会えて、全く知らないお父さんをマーさんの事をお父さんとしてダブらせてもらって、これだけでも、すごく幸せ感じてるんだ。


だからあともう少しだけ、この幸せな感じを続けてみたくて…


マーさんの家庭には絶対迷惑かけたくないしね。

これは2人にも約束しておくね!


ミユ

サーさんって本当に真面目ですね〜

でも、仕方ないですよね…

でも、理想のお父さんに会えてすごく良かった!


わかな

うちの親父は全然、憧れる要素全くない!

私もマーさんみたいなお父さんがよかったな〜


サー

わかな、そう言えてることが幸せなんだよ!

だって喧嘩とか出来るんだから

出来なくなった時、多分今のわかなの発言は全然違うものになるよ、絶対!


ミユ

そうだよ。

私たちにとって、いることが当たり前になってるから、だから不満やいろいろあるんだよ


サー

そうだね…

なんか、暗くなっちゃったね

もうやめよ!


わかな

サーさん、ごめんなさい!


サー

何が〜。気にしてないから大丈夫だよ〜。そんなとこ、わかなちゃんは、かわいいね!


わかな

私、本当にサーさんの事、大好きです!サーさんと出会えて本当に良かったです!


わかなが改まってそんなことを言ったので、サーとミユは顔を見合わせて大爆笑。それに続いて、わかなも自分で何を言っているのかと後から笑い出しました。


サー

わかなちゃん、ありがとう。そんな風に言ってくれて嬉しいよ。私もわかなとミユに出会えて、本当に良かった。


ミユ

ほんと、私たち最高の仲良し3人組だね。


サー

そうだね、これからも一緒に頑張ろうね!


3人は笑いながら、改めてお互いの顔を見渡して、心からの温かさで満たされていました。


午後の仕事も無事に終わり会社を後にしたサーは、今夜、マーにLINEする事だけで頭がいっぱいです。


サー

マーさん、まだ仕事だろうな〜

とりあえず、時間と待ち合わせ場所だけでも決めておこうかな?

また、午後だと、お母さんにからかわれるから、少し早めが良いかもな〜


サーは1人でいろんな事を妄想しながら歩いています。


サー

そうだ、吉祥寺なんて良いかな?いろんなお店もあるし、井の頭公園も良いしな〜。マーさん、車だと思うし、確か駐車場あったし…井の頭公園で待ち合わせも良いかもな〜ぁ。


野外ステージのとこで待ち合わせ…う〜ん、良いかも(笑)


サーはひとり満足顔でニヤニヤしています。電車に乗り込んで席に座ると、さらに妄想は加速します。


サー

井の頭公園で待ち合わせて、そのあとカフェでお茶して…

それから…

おしゃれな雑貨屋さんも見たいな〜。

マーさん、雑貨とか興味あるかな〜?

でも、私が楽しめればいいよね。うん、それで良し!


サーはスマホを取り出して、LINEの画面を開きます。マーさんに送るメッセージを考えながら、あれこれとプランを立てていきます。


サー

『こんにちは、マーさん。お仕事お疲れ様です。次のお休みに、もしよかったら吉祥寺で待ち合わせしませんか?

井の頭公園の野外ステージのところなんてどうでしょう?午前11時にお会いできたら嬉しいです!

きっと、お仕事中だと思うので、落ち着いた時にでも連絡下さい。

待ってま〜す』


送信ボタンを押す前に、サーはもう一度メッセージを見直して、ニヤリと笑います。


サー

完璧!これならマーさんも喜んでくれるはず!


サーはメッセージを送信し、ドキドキしながら返信を待ちます。心の中では、すでに吉祥寺デートが成功した後のシーンを妄想して、ひとりで盛り上がっています。電車が揺れるたびに、サーの心もワクワクと揺れ動いていました。



その時サーの自宅いるお母さん(恵美)は大阪の友達に電話をしていました。


恵美

あ〜、咲ちゃん久しぶり元気してる?


咲ちゃん

どこにいるの?

突然いなくなるんだもん?


恵美

東京、娘のとこ


咲ちゃん

なんだ、なら良いけど

どうしたん?


恵美

咲ちゃんにお願いした事あるんだけど


咲ちゃん

何?行ってごらん


恵美

家にあるもの、送ってもらいたくて


咲ちゃん

良いよ

何送る?


恵美

店のレジの下の棚で、1番下の右側に四角い缶があるんだけど、それ送ってくれるかな?


咲ちゃん

何なん?


恵美

昔の思い出

サーに教えてあげようと思ってね


咲ちゃん

そっか〜

やっとその時きたか〜ぁ

わかったよ

住所遅れ

明日にでも取ってきて送るから


恵美

悪いね

よろしくね


咲ちゃん

サーは元気か?


恵美

頑張ってるみたいだよ

なんかホッとしたよ

あたし、こっちで倒れてさー

サーに心配かけちゃったからもう少しこっちに居ようと思ってね

帰る時は、咲ちゃんに連絡するから


咲ちゃん

体大丈夫なのか?


恵美

もう大丈夫だよ

心配ないから

じゃ、後で住所送る

咲きちゃんお願いしますね


咲ちゃん

ハイよ



電話を切った恵美は、しばらくそのまま立ち尽くしていました。電話越しに頼んだ四角い缶、それは彼女が長い間、心の奥にしまい込んでいた秘密が詰まっているものでした。


恵美

これをサーに見せる時が来たんだな…。


心の中でそうつぶやきながら、恵美は深い息を吐きました。サーに真実を伝えることをずっと避けてきました。彼女が小さい頃からずっと隠していたその秘密は、サーと2人で生きていくため、そして自分自身の心の安らぎのためでした。


でも、サーはもう大人になった。彼女は自分の力でしっかりと生きている。そんなサーに、もう嘘をつき続けるのは辛くて、胸が痛む日々でした。今こそ、全てを打ち明ける時が来たのかもしれないと


恵美

サー、ごめんね…。今までずっと隠してきて。本当はもっと早く話すべきだったんだけど…。あなたに寂しい思いをさせたこと、ずっと心の中で引っかかってたの。



サーが生まれてからこれまで、ずっと一人でサーを育ててきた恵美。サー自身も、サーの父親の存在を知らないふりをしながら生きてきました。しかし、その四角い缶の中には、サーの父親との思い出が詰まっているのです。


恵美は、サーがどれほど強く育ってくれたかを誇りに思いながらも、その心の中に隠された寂しさを思うと、胸が締め付けられるような思いがしました。だからこそ、この四角い缶が届いた時、全てを話してサーに真実を伝える覚悟を決めたのです。


恵美

サーに全てを話して、母がどんな気持ちだったか伝えよう。

サーには寂しい想いをさせた、それが1番辛かったけど、母は自分の人生後悔してない事を…


恵美は涙をこらえながら、サーに全てを打ち明ける日が来たのだなと、自分に言い聞かせるのでした。


続く


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