サーの奇妙な体験 22
マーかここが横浜ベイブリッジだよとサーにつたえました。
マー
右に見えるのが観覧車とか横浜の街全体だよ
本当に天気が良いから気持ち良いね
サー
すごく素敵
出来ればゆっくり走れると良いのにね
マー
高速だからそれは無理なんだよね
もう少しで降りるからね。
お腹すいたでしょ?
サー
確かに、でも楽しくて、忘れてました(笑)
マー
サーちゃんそんなとこ可愛いいね(笑)
サー
そんなこと言ったら恥ずかしいじゃないですか〜(笑)
マー
まぁまぁ〜!(笑)
さて高速降りるからね。
とりあえず、中華街に行こうか?
サー
ハイ!
サーは心の中で「可愛いいって言われちゃった!」と叫びながら、顔が笑顔でいっぱいになっている自分を感じて、赤面していました。マーに気づかれないように、そっと窓の外を見つめてみましたが、笑いが止まりません。
マー
サーちゃん、なんかすごく嬉しそうだね。何かいいことあった?
サー
えっ?いや、なんでもないです!景色が素敵だからつい…
マー
そうかそうか。それなら良かった。あ、もうすぐ中華街だよ。何食べたい?
サー
えっと〜?
全部!中華料理大好きなんです!
マー
いいね(笑)その食欲。
じゃあ、今日は腹いっぱい食べよう!
サー
やったー!マーさん、ありがとう!
マー
その笑顔、ほんとに可愛いなぁ。よし、中華街、突入!
サー
もう、マーさんったら〜!」
車は中華街の入口に差し掛かり、サーとマーは笑いながら次の美味しい冒険に向かっていきました。サーの心の中は、マーの優しさと楽しさでいっぱいでした。
車を中華街近くの駐車場に停めて2人は中華街に向かって歩いています。
マー
サーちゃん、日本人向けの中華にしょうね。
本格すぎると癖があるとこもあるからね。
サー
わからないからお任せします。
中華街の入り口に着くと
サー
ここなんですね!
テレビで見たことあります
サーは興奮気味にマーに訴えます。
マーは笑いが止まらず、吹き出しました。
マー
サーちゃん、最高!
ミユちゃんが言ってたけど、サーちゃんは本当に純粋なんだね
見てて癒されるよ!
サー
だってテレビと同じなんだもん
すごいじゃないですか〜
それで私がここにいるんだもん。
マーさんに会わなかったらきっと私
ここには一生来なかったと思いますよ。
マー
笑いながら、そんな事ないよ(笑)
彼氏が連れてきてくれるかもしれないじゃないか〜ぁ
サー
そっか!
マーはまたそこで声を出して大笑いしました。
サーは中華街を歩いて物珍しく、中華街の小さなお店をキョロキョロ見ては、マーにこんなお店もあるとかいろいろ質問していました。
マー
帰りここの肉まん買って行こうね。
ここのは、フカヒレのもあるから、美味しいよ。お母さんにお土産ね。
ここのお店、昔からあってね
必ずここの肉まんとフカヒレは買って帰るんだよね
だからサーちゃんとお母さんにね。
サー
ありがとうございます。
すごく楽しくて、嬉しくて
母の事まで考えてくれて…
私、お父さん知らないから、マーさんみたいな人ならいいな〜って今すごく思っちゃって
なんか、感動しちゃって
マー
なんか、最高に嬉しいな〜!
早くご飯食べに行こう、
もうすぐそこだからね。
サー
ハイ、楽しみです
2人は目的のお店の前に到着しました。
サーはわからないのでマーの後ろについていました。
マーがお店の人と話をして、すぐに係の人が2人を席まで案内してくれました。
半個室みたいな感じです。
サー
ここはよく来るんですか?
すごく高級そうですね
マー
たまにね
でも、料理の値段は普通だから安心して庶民的な値段だからね。だから全部食べても良いからね(笑)
まだ最近リニューアルしたからすごく綺麗でしょ
雰囲気も良いしね!
サー
こんなすごいところ来た事なくて、緊張します。
マー
大丈夫だから、心配しないで!
さて、何飲む?
サーちゃんお酒飲んでも良いよ
僕は運転だから飲めないけどね。
一杯だけでも、サーちゃんビール飲めば?
緊張ほぐれるよ(笑)
サー
どうしょう…
一杯だけ、飲んじゃおうかな(笑)
マー
よし決まり!
何飲む?ビールで良いかな?
サー
ハイ
マー
了解
すみませ〜ん
店員さんがすぐに来てくれて、グラスビールとノンアルコールビールを注文しました。
マー
さて、食事は何が食べたい?メニューはこれだけど。
サー
メニューを見ながら何が食べたいかわからなくなってきちゃいました。たくさんありすぎて…本格的なの初めてだから。
マー
そうしたら適当に頼んで良いかな?
サー
お願いします。苦手なものは何もないですから。
マー
ハイよ!では、頼んじゃうね。
店員さんがすぐに来てくれて、マーが手際よくいろいろと注文してくれています。その姿を見て、サーはふと心の中で「お父さんって、こんな感じなのかな〜」と感じました。マーが自信たっぷりにメニューを選び、店員さんと笑顔で話す姿に、サーは自然と目が釘付けになりました。
サー
すごい…マーさん、本当に頼りになるなぁ…
マー
何か言った?
サー
あ、いや、何でもないです!すごいなって思ってただけです。
マー
そう?ありがとうね。でも、サーちゃんだって立派に成長してるんだよ。これからもっといろんな経験が待ってるから楽しみだよね。
サーはその言葉に心が温かくなり、ますますマーに憧れの気持ちを抱きました。マーのように自信を持って行動できる大人になりたいと、改めて思ったのです。
最初にビールが届きました
とりあえず2人で
サーとマー
乾杯!
サー
冷たくて美味しい〜ぃ
マー
良かった!
さて、これから料理が来るからじゃんじゃん食べてよ!
サーはマーの優しさと頼りがいのある姿に、ますます心惹かれながら、美味しいそうな中華料理にサーのお腹は鳴る一方でした。
マー
さて、食べようか。遠慮しないでね。
サー
ハイ!いただきます。
マー
はいどうぞ!では、いただきます。
2人の楽しい食事タイムの始まりです。前菜の小籠包が運ばれてくると、サーは興味津々にそれを見つめました。箸で一つ摘んでみると、熱々の肉汁がこぼれ出し、思わず「わぁ、すごい!」と声を上げてしまいました。
マー
小籠包はね、ちょっと冷ましてから食べると良いよ。口の中、火傷しちゃうからね。
サー
なるほど!さすがマーさん、知識が豊富ですね。
マー
いやいや、ただの食いしん坊なんだよ。
サーはマーの冗談に笑いながら、小籠包を慎重に口に運びました。ジュワッと広がる肉汁の味わいに、思わず目を閉じて感動します。
サー
これは本当に美味しいです!次は何が出てくるんだろう…
次に運ばれてきたのは、エビのチリソース。ピリ辛のソースがエビに絡まり、食欲をそそります。
マー
エビチリも美味しいよ。辛いのは大丈夫?
サー
大丈夫です!ピリ辛は大好きなんです。
サーはエビチリを一口食べて、その美味しさに頬が緩みました。マーも満足そうに頷きながら、自分のグラスビールを持ち上げました。
マー
もう一度乾杯しようか。今日の出会いに。
サー
はい、乾杯!
2人はグラスを軽く合わせ、ビールを一口。サーは楽しくて、気がつけばグラスのビールがあっという間に無くなっていました。
サー
マーさん、すみません。ビールお代わりしてもいいですか?
マー
もちろん。サーちゃん、楽しく飲んでね。
サーは嬉しそうにお代わりのビールを注文しながら、次々と運ばれてくる料理に夢中になりました。北京ダック、麻婆豆腐、青菜の炒め物…どれも初めての味わいで、サーの心は冒険心で満たされていきました。
サー
マーさん、本当に全部美味しいです。こんなに美味しい料理、今まで食べたことがないかも。
マー
それは良かった。サーちゃんが喜んでくれるのが一番嬉しいよ。
食事の途中で、サーはふとマーの方を見ると、マーが優しい笑顔でこちらを見ていることに気づきました。その瞬間、サーはますますマーへの憧れが強まりました。
サー
マーさん、本当にありがとうございます。今日は素敵な時間を過ごせて、本当に幸せです。
マー
こちらこそ、サーちゃんと一緒にいられて楽しいよ。もっと色んな話をしようね。
サーの心は温かく、マーとの時間を存分に楽しんでいました。料理がどんどん運ばれてくる中、2人の会話は尽きることがなく、楽しいひとときが続きました。
マー
サーちゃん、昔の話しても良いかな?
サー
いいですし、聞いてみたいです。
マー
ありがとう、食べながらで良いからね。
こんな俺でも大恋愛したことあるんだ。
自分だけがそう思ってるだけだと思うんだけどね
20代半ばかな…
その子と同棲もしてたんだ。
4年か5年、もう結婚するつもりでいたんだ。
仕事も今思えばまだまだだったけど。
でも少しずつお客さんもついてね、そこそこ稼げるようにはなったんだ。
ある時、突然別れを告げられてね。田舎に帰ってしまった。
今でも後悔してる。
なんでもっと引き留めなかったんだろうとかね…
今どうしてるかな〜ぁとか、
多分これは、死ぬまで消えないと思ってる。
別れてから1年後、夜中に彼女から突然電話がかかってきて、どうしてる?
って聞かれて、仕事はしてるけど彼女がいなくなってから全然ダメって答えたな〜
彼女の偉大さがわかったと伝えても、もうダメだよって言われて電話が切れた。
また、その次の年3月13日やっぱり電話が同じ様にかかってきたんだよ。
同じことを聞かれて、その時も復縁頼んだけど、もう遅いよと言われてそれで電話が切れたんだ。
きっと結婚したんだなと思って諦めたんだ。
サー
その後は?
マー
うちの実家が地上げにあって引っ越したんだ。
家の電話も変わって連絡はそれっきり、彼女の実家の電話も別れた時は知らなかったから
もうそれっきりなんだよね。
サー
どちらの出身の方なんですか?
マー
山形県だよ
だから、昔スキーで何回も行って偶然会わないかな〜
なんて思って行ったっけ…
こんな話つまらないでしょ?
サー
マーさんもいろいろあったんですね
だから人に対して優しいのかな〜?
マー
そんな事ないよ
きっと、その当時の私では頼りなかったんだと思う。
それで、見切りをつけたんだろうね…
だから成長した自分を知ってもらいたくて、それから本当に仕事頑張ったんだよ。
その当時、ヘアーショーも出たし、これでも本に何回か取材を受けて本に載ったこともあるんだよ。
サー
マーさんすごい人なんですね
マー
そんな事ないよ
ただ彼女に伝えたかったんだ
今自分はここまできたよって事をね
でも、なんも変わらなかったかな
サー
そうなのかな〜?う〜ん?
でも彼女さんがいなくなったのは、なんか違う気がする?やむを得ない事情があったとか?あと、偶然なんですけど、電話があった日、私の誕生日なんですよ。鳥肌たっちゃいました!
これも運命なんですかね!(笑)
マー
そうなの?ビックリ!そうしたら、新宿の時、誕生日会だったの?
サー
ハイ、でも…
その予定が全然違う方向に行っちゃいましたけどね(笑)
マー
確かにそれどころでは無くなったもんね。昔の話はこれで終わり!さぁ、食べよう。冷めると勿体無いから。
サー
確かに。では改めて、いただきま〜す。
2人は再び楽しい会話に花を咲かせながら、料理を次々と完食していきました。サーは初めての本格中華料理に大興奮し、マーもその様子を見て嬉しそうに笑っています。
サー
もう無理です。お腹いっぱい、もう限界。
マー
そりゃよかった。しっかり食べてくれて嬉しいよ。
サー
マーさん、私もお会計払いますよ!
マー
いいよ、今日は俺がご馳走するって決めてたから。
サー
でも、さすがに全部は…
マー
気にしないで。サーちゃんの誕生日だったんだから、これは俺からのプレゼントだよ。
マーはスマートにお会計を済ませました。サーは感謝の気持ちを込めて、少し恥ずかしそうに頭を下げました。
サー
マーさん、本当にありがとうございます。こんなに美味しいものを食べたの、初めてです。
それにこんなに最高な誕生日、一生忘れません!
マー
そう言ってもらえると嬉しいよ。また一緒に食べようね。
サー
はい、ぜひ。また誘ってくださいね。
マー
もちろん。さて、次はどこに行こうか。
サーとマーは大満足の表情で店を後にし、次の目的地へと向かいました。2人の楽しげな笑顔が通りを歩く人々の目を引き、周囲にまでその楽しい雰囲気が伝わっていくようでした。
車まで行く途中に先程教えてもらったお店で肉まんと、フカヒレマンをマーさんに買ってもらって、今度は山下公園に向かっています。
マー
ここは、デートの王道だから覚えておいてね。
もう夕方で夕日もすごく綺麗でいい感じだね
サー
ここすごく気持ちいい!
風がなんとも言えなくて
マー
ベンチに座ろうか?
サー
ハイ
2人はベンチに座りまた、話しはじめました。
マー
今日は出たのが遅かったからあっという間だったね。
今度はもっと早くに出かければもっといろいろなところ連れて行ってあげられるね
サー
そんな事ないです。
もっと、いろいろ連れて行ってもらいたいですけど、今日はもう充実しすぎてて、これ以上なんで考えられないですよ!
マー
あとね、さっき食事してる時にね、サーちゃんが笑ってる顔、例の彼女になんとなく似てたんだよね。
つい見惚れちゃった…
だから、メールにも書いたと思うけど、前に会ったことあったっけ?って聞いたのはそれだったんだな〜ってさっきすごく感じたんだ。
サー
なんか恥ずかしいです。
でも、なんかうれしいかも
今日はマーさんのいろんな話聞かせてもらって、すごく良かったです。
今度は私の話も聞いて下さいね
マー
勿論!
サーちゃんの話いろいろ聞いてみたいな?
マー
さて、もうこんな時間だから、そろそろ帰ろうか?今からだと大体、家まで2時間くらいかな?夜景も綺麗な時間だと思うから、帰りは、高速で湾岸通ってお台場を回って帰ろうね。このコース、夜景が綺麗だから。
サー
楽しみ!マーさん、本当にありがとうございます。もう楽しくて楽しくて、今夜寝れそうもないですよ!
2人は山下公園を後にして、駐車場まで歩き始めました。春の夕暮れ時、18時を少し過ぎた頃。空はオレンジ色から紺色へとゆっくり変わり始め、心地よい涼風が吹いています。桜の花びらが少しだけ残り、風に揺れる様子が美しい。遠くには横浜港の灯りがちらちらと見えて、ロマンチックな雰囲気が漂っています。
マー
この時間の山下公園も素敵だね。桜が少し残ってるから、余計に綺麗だ。
サー
本当に!風が気持ち良くて、歩くのが楽しいです。夕焼けも綺麗だし…
マー
今日は天気も良かったからね。最高のデート日和だよ。
サーはその言葉に少し照れくさそうに微笑みましたが、マーの隣で歩く足取りは軽く、心から楽しんでいる様子が伝わってきます。
サー
なんだか、お父さんと一緒に散歩してるみたい。お父さんもこんなに優しくて頼りになる人だったらよかったのに。
マー
それは嬉しいけど、サーちゃんのお父さんに失礼じゃないかい?(笑)
サー
ごめんなさい。でも、マーさんみたいな人が家族だったら、きっと毎日楽しいだろうなって思っちゃいます。
マー
そりゃどうかな?でも、そう思ってくれるのは嬉しいよ。
2人はそんな会話を楽しみながら、あっという間に駐車場に着きました。車に乗り込む前、サーはもう一度夜景を見渡し、思い出に焼き付けるように深呼吸しました。
マー
サーちゃん写真撮ろうか?
記念に?どうかな?
サー
いいんですか?
うれしいです
よろしくお願いします。
2人は携帯で寄り添いながら記念写真を撮りました。
サー
本当に、今日は素敵な一日でした。ありがとうございます、マーさん。
マー
こちらこそ、楽しんでもらえて良かったよ。じゃあ、安全運転で帰ろうね。
サー
「はい、お願いします。」
車に乗り込んだ2人は、これからの帰り道も楽しみながら、夜景の美しい道を通って家へと向かいました。
続く




