サーの奇妙な体験 20
19時
サーとお母さんは食事を終え、これからのことについて雑談しているうちに、自然と将来の話に移っていきました。
母
サー、これからどうしたいとか、夢はあるの?
尋ねると、
サー
笑いながら
うーん、今はとにかく仕事を頑張ることかな。でもいつか自分のカフェを開いてみたいなって思ってる
お母さんは驚いた様子で
母
カフェ!素敵ね、サー、それなら私も毎日通っちゃうわ
と冗談めかして言いました。
サー
じゃあ、お母さんには特別メニューを用意しないとね!
2人は笑いました。
お母さんが少し真面目な顔をして
母
でも、どんなお店にするの?
と聞きました。
サーは少し考えてから
サー
温かくて、みんながホッとできるような場所かな。まるで家に帰ってきたような、そんな感じのお店
お母さんは目を細めて
母
サーなら絶対成功するわよ。だって、サーの周りにはいつも笑顔があるもの
サー
ありがとう、お母さん。そう言ってくれると本当にやる気が出るよ
その後も、2人は将来の話に花を咲かせながら、冗談を言い合ったり、お互いにツッコミを入れたりして、笑い声が絶えませんでした。
母
私も、いつかサーのお店で、いろんな人たちをもてなしてみたいわ
サー
お母さんとならきっと出来そう、出来たその時は一緒に世界一周でもしようか!
冗談交じりに答えました。
母
そうね、それもいいかもね
サーが急に真面目な顔をして
サー
あのさ〜ぁ、病院に行く時来週また、付き添うね。
母
仕事大丈夫なの?
サー
有給あるし、多分大丈夫だよ
母
なんか嬉しいね
助かるよ
お母さん、病院どうもダメでね
サー
何言ってるの〜ぉ
これからは検診とかちゃんと行かないとダメだからね!
母
はい、わかりました(笑)
サー
お母さん、こっちで生活は考えられない?
今回みたいなことがあったら、大阪まですぐには行けないし…
お母さんはどう思う?
母
今回、すごく感じたよ…
サーが居てくれて、すごく安心していた。
大阪でも、きっと知り合いが助けてくれるとは思うけど、でも娘ってやっぱり安心だし、嬉しいのに気がついたよ、
今回みたいな入院、そんな環境今までなかったからね…
思い知らされたよ
サー
私も、久しぶりにお母さんと生活して、親の有り難みを素直に感じたんだ…
で、今回のことで尚更、少しでも支えないといけないのかな〜とすごく感じたんだ…
お母さんがこっちに来れるのであれば、このままの生活で、お母さんがどうしても大阪離らるないのなら、私が配置移動お願いしょうかなと思ったんだよね
大阪にも支店あるしね
母
そうなんだね
サー、なんか、嬉しいよ…
今の時代はさ、親は親、子供は子供の生活があるから、ある程度したら、良い意味で関わらなくなると言うか、距離を空けると言うか。
私もそうなるのかなーぁと思ったんだよ。
その時は覚悟しないといけないなとね…
サー
何言ってんの!
私はそんな事ないよ…
お母さんの事、例えば病気になって動けなくなったとしても、ちゃんと面倒見るつもりでいるから(笑)
だから心配しないでね!
母
なんかこんな話、サーとするとは思わなかったよ
今回、東京に出て来て良かった。
サー
だから、今ではなくて、将来、東京か大阪か、考えてみてね。
母
わかったよ、サー
ありがとね
サー
お母さん、そろそろお風呂入ってくれば
母
そうだね。もうこんな時間になってたんだ。
気がつけば、あっという間に時間が過ぎていて、お母さんが時計を見て驚きました。
サー
本当だね。楽しい時間って本当に早いね
2人は今夜、しみじみと沢山話しました。
サーはお母さんを見ながら
サー
今日は本当に楽しかった。ありがとう
サーは感謝の気持ちを伝えました。
母
こちらこそ、サー。これからも一緒に頑張ろうね
笑顔で答え、2人は笑い合いながらその夜を締めくくりました。
でも、サーの頭の中には、もう1
つミユ達のことが気になっていました。
上手くいってるかな〜ぁ
23時30分
その時メールが着信しました。
ミユからです。
ミユ
お疲れ様です
任務完了致しました。
まだ、やり残した事ありますけどね(笑)
マーさん、すごく優しい方でした。
サーさんが気になるのよくわかりましたよ(笑)
サーは、え〜ぇ!
って感じです、早速、返信します
サー
お疲れ様です。
盛り上がったんだ!
よかっね(笑)
でも、すごく助かったよ〜
母ともいろんな話ができたからね
ミユ
マーさん、サーさんのこと、すごく気になってましたよ
ちなみに、会いたいとも言ってましたよ(笑)
サー
本当に〜
私に気を遣って、もってるでしょ〜!
ミユ
違いますよ!
もってません!
現にあるミッションはクリアできませんでした。
すみません!
サー
何?
ミッションて?
ミユ
名刺ケース、返せませんでした。
すみません
サー
え〜〜〜!嘘!
それ、今回の1番の目的なのに!
なんで?飲みすぎて忘れたの?
ミユ
違いますよ!
私はお渡ししたんですけど、返されました。
なんでだと、思いますか〜?
サー
分からない!
なんで、違ったの?
意味わからないんだけど!
ミユ
では、伝えますね
最初に言っておきますが、マーさんが言ってたんですからね!
作り話しではないですよ!
サー
だから何?
早く教えて?
ミユ
実は、本当に名刺ケース返されたんです。
理由は、これを返してもらったらサーさんと会う理由がなくなるから
だから、サーさんと会うためにも今ではなくてサーさんから返してもらうと言ってました。本当ですよ!
サー
本当に…
本当に、そう言ったの?
ミユ
本当ですよ。
サーさんの事が気になるとか、
本当に会いたいとか
わかなと2人で、マーさんに、サーさんを泣かせないでくださいね
と、言っておきました。
勘違いしないでくださいね!
笑いながらですからね
サー
すごくうれしい…
なんで言ってよいか、今わからないや…
ミユ、本当にありがとう
今夜、寝れないかも…
ミユ
きっとサーさん寝れないかもと思ってました。
でも、私たちもマーさんと話をして絶対、サーさんがマーさんに渡すべきだと本当に思いましたよ…
この役は他では務まりません!
確信しました。
だから、あとはサーさん、頑張って下さいね
サー
なんか違うんだけど、ミユ。
そうではないんだよ!
ミユ
わかってます!
マーさんも、同じ事言ってましたよ。
似たもの同士ですね。
会った時は、絶対素直ないつものサーさんでいて下さいね。
きっと、マーさんに伝わりますよ。
マーさん、しっかり人を見ています。
良い意味でね。
サー
わかった。
ありがとうね
今日はお疲れ様でした。
この続きは会社でね。
ミユ
ハイ。
サーさん、明日は仕事出るんですか?
サー
明日は元々休みなんだよね。
今夜、遅くなっても大丈夫な様に休みにしておいたんだ。
ミユは仕事でしょ?
もう遅いから、これで終わりにしょうね
では、おやすみ。
ミユ
ハイ
では、また会社で
おやすみなさい
ミユとのメールを終えたサーは、新たな着信に気がつきました。
マーさんでした。
マー
お疲れ様です。
こんな遅い時間でごめんね
サーちゃん大丈夫?
今夜、ミユちゃん、わかなちゃんと、楽しかったよ。ありがとう
でも、残念なのがサーちゃんに会えなかったこと
サーちゃんに会うのすごく楽しみにしていたから
突然だけど、良かったら、明日会えそうかな?
前にメールですお休みと言ってたので
つい、メールしてしまいました。
無理なら、またにしましょう
起きてたら、返信待ってますね、
サーはマーからのメールを見て、嬉しさがこみあけてきました。
明日休みにしといて良かった〜〜ぁ!
返事なんて書こうか悩んでいるサーです
サー
お疲れ様です。
時間全く問題無いです。
母が近くで寝てますが大丈夫ですよ。
マーさんからのメール本当に嬉しいです。
明日誘ってくれるんですか?
私は大丈夫です。
よろしくお願いします。
返信してしまった。
どうしょう…
やばいかも!
サーは浮かれています。
マー
ありがとう。
結構緊張してるんだよね
こう見えても。
でも、あの2人、すごく気を遣ってくれてたよ。良い後輩だね。
サーちゃんの事、必死にアピールしてて、すごく可愛かったよ。
明日、食事どうかな?
車で横浜方面でもと思ってるんだけど?
サー
本当ですか?
あの2人本当にいい子達なんですよ。
それがわかってくれて嬉しいです。
あと、食事も大丈夫です。
ただ、名刺ケース会社まで取りに行かないといけないから、午後1時過ぎになりますが良いですか?
マー
名刺ケースは、また、後で良いよ。
とりあえず明日、デートしてみますか?
いろんな話がしてみたくて…
良いかな?
サー
勿論です。
時間は何時が良いですか?
合わせますから
マー
最寄りは中野駅だったよね。
ミユちゃんが言ってたので
中野の駅前でどうかな?
時間は13時で?
着いたらメールします
サー
わかりました。
大丈夫です。
では名刺ケースはまた、後で良いですね
それでは明日楽しみにいています。
よろしくお願いいたします。
マー
こちらこそ、急にお願いしてごめんね。
では、こちらこそよろしくお願いします。
今夜はゆっくり休んでね。
お母さんも、大した事なくて良かったね
では明日、おやすみなさい。
サー
ハイ
本当にありがとうございます。
では、おやすみなさい
ベッドの上でスマホをそっと置き、息をひそめながら小さくガッツポーズをしました。
サー
【やったー! やったー! 本当に明日マーさんに会えるんだ!】
と心の中で何度も叫びたくなる気持ちを抑えつつ、ふかふかの枕に顔を埋めました。
ベッドの下では母が寝ていることを思い出し、サーはできるだけ静かに喜びを噛みしめました。布団の中でゴロゴロと転がりながら、小声で
サー
【ありがとう、ミユ! 本当にありがとう!】
とつぶやきました。心の中は嬉しさでいっぱいで、顔に広がる笑顔を抑えきれませんでした。
気持ちが高ぶり、そっとベッドから起き上がると、静かに部屋の中で軽くダンスを始めました。リビングの鏡に映る自分に向かって
サー
【頑張るぞ!】
とガッツポーズをしながら、ふと足元の母を見て
サー
【明日、お母さんも一緒に喜んでくれるかな?】
と思わず微笑みました。
ベッドに戻り、ぬいぐるみのクマを抱きしめながら
サー
【マーさん、私、本当に頑張るからね】
とつぶやきました。しかし、興奮してなかなか眠れず、枕を抱えて
サー
【ああ、もう、どうしよう!寝れないよ〜!】
と心の中でつぶやいています、
サーはそっと母の方を見下ろしながら、静かに自分を落ち着かせました。
サー
【まあ、いいや。明日は最高の日になるに違いないんだから!】
と自分を励まし、何度もポジティブな気持ちを落ち着かせようとていました。ようやく、少しずつ眠りに落ちていくとき、心の中でマーさんとの再会を夢見ながら、サーの夜は穏やかに更けていったのでした。
続く




